2015/06/16
農業用パイプラインを有効利用
山口県は、山口市阿東徳佐に、農業用パイプラインを活用した「阿東下半久小水力発電所」が完成し、阿東土地改良区による運営が開始されたことを発表した。
これは、同県では初めての取り組みとなる、農業用のパイプラインを活用した発電所で、かねてより整備が進められてきたもの。
最大出力は3.7kW、年間想定稼働率は、太陽光発電の5倍以上である60%を想定し、年間発電電力量は1万9000kW(一般家庭約5戸分の年間消費電力に相当)となる。
6月3日には、農家や行政関係者が小水力発電への理解を深めることができるよう、施設見学会が開催され、土地改良区や県市町村の関係者約40人が参加した。
この施設の一番の特徴は、市販の船舶用ポンプを応用して建設費を抑えた点。一般に流通する高額の用品の代わりに、船舶用ポンプを利用することで、出力規模は 30%程度になるが、建設費を約15%の750万円に抑えている。これにより、20年間で1400万円の収入を見込めるようになった。
山口県では、農業用水などを管理する土地改良区とともに、小水力発電施設を普及させる実証試験を進めている。
小電力発電の導入により、水路などの地域資源の有効活用を図るとともに、農家の担い手不足などから運営管理が厳しくなっていた、土地改良区の運営改善にもつなげられることが見込まれている。
(画像はプレスリリースより)
2015/06/16
2015年6月16日掲載
環境省は、平成27年度環境技術実証事業のうち、中小水力発電技術分野の実証対象技術の募集を行う。
対象となるのは「水の位置エネルギーなどを活用し、渓流、河川部、排水路などの流量と落差を利用して小規模、小出力の発電を行う技術など」で、おおむね出力100kW未満のもの。
2015/06/16
2015年06月16日 13時00分 更新
かつて宿場町として栄えた岐阜県の山間部に古い農業用水路が流れている。この水路を利用して新しい小水力発電所の建設工事が始まった。発電事業者が老朽 化した水路も更新する取り組みで、地域の負担なしに設備を更新できる。同様の方法で県内の農業用水路に小水力発電を拡大していく。
[石田雅也,スマートジャパン]
図1 小水力発電所の位置。出典:飛島建設、オリエンタルコンサルタンツ
小水力発電所を建設する場所は、岐阜県の東部に位置する中津川市の「落合地区」にある。江戸時代には中山道の「落合宿」としてにぎわったところで、近くを木曽川が流れている(図1)。
この地区に大正時代に造られた農業用水路があって、小水力発電に適した大きな落差を得られる地点がある。再生可能エネルギー事業に取り組む飛島建 設とオリエンタルコンサルタンツの2社が発電所の建設計画を決めて、まず老朽化した水路の改修工事から着手した(図2)。水路の改修が完了して、6月12 日に発電設備の建設工事を開始した。
新たに建設する設備は発電所のほかに、農業用水路から水を取り込むための水槽と水圧管路である(図3)。発電に利用できる水流の落差は64メートルに達する。水量は季節によって変動するが、最大で毎秒0.25立方メートルになる。
水車にはクロスフロー型を使う(図4)。水が水車の外側と内側から交差するように流れることが特徴で、構造が簡単なために据付や保守に手間がかからな い。発電機と組み合わせて最大126kW(キロワット)の電力を供給することができる。運転開始は12月を予定している。
年間の発電量は「利用できる水量が季節によって変動するため公表していない」(飛島建設)。一般的に小水力発電の設備利用率(発電能力に対する実 際の発電量)は平均で60%程度だが、農業用水路を使う場合には春から秋にかけて農業に水を利用するために低めになるケースが多い。
仮に設備利用率を60%で計算すると、年間の発電量は66万kWh(キロワット時)になる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して 180世帯分に相当する。飛島建設とオリエンタルコンサルタンツは固定価格買取制度を通じて全量を中部電力に売電する方針だ。発電能力が200kW未満の 小水力発電の場合には買取価格が1kWhあたり34円(税抜き)になる。
両社は発電所の建設にあたって、地元の中津川市から関係者の調整や許認可の面で支援を受けた(図5)。農業用水路を所有・運営する水路管理組合と 生産森林組合からは水路の使用許可を得る一方、清掃や点検などを依頼することで利益を還元する。組合にとっては老朽化した水路を負担ゼロで改修できるメ リットも大きい。
岐阜県内には起伏の多い山間部が広がっていて、農業用水路を含めて小水力発電に適した場所が数多く分布している。飛島建設とオリエンタルコンサルタンツは第1弾の発電事業を成功させたうえで、中津川市をはじめ県内各地に小水力発電所を展開していく考えだ。
さらにオリエンタルコンサルタンツは小水力発電事業を皮切りに「地方創生のまちづくり」も推進する。落合地区では宿場の古い町並みを観光資源とし て生かしながら、電気自動車の導入や森林資源を活用した木質バイオマス事業にも取り組んで地域の活性化を図る計画がある(図6)。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1506/16/news021.html
2015/06/16
6月16日 朝刊
再生可能エネルギーの地産地消を目指す「スマートビレッジモデル研究事業」で県は本年度、小水力で発電した電力を農業で常時活用する実証試験を行う。15日、試験に協力する刈部養鶏場(宇都宮市)など3事業者への依頼書の伝達式を県庁で行った。
県などの産学官で組織する同事業の研究会は宇都宮市竹下町の農業用水に小水力発電所を設置し、発電した電力を電気自動車(EV)で農業施設に運んで災害時などに使う実証試験を進めてきた。
最終年度となる本年度は、発電所近くの3事業者に軽トラックなどEV2台と電動草刈り機3台を貸与し、11月まで発電所の電力を供給して使ってもらう。同養鶏場では製造販売する手作りプリンの配送でEVを使い、社会福祉法人「飛山の里福祉会」は施設利用者の農作業などでEVを利用する。環境保全に取り組む地域住民団体「こもりやグリーン倶楽部」は、EVから充電した草刈り機で作業を行う。
http://www.shimotsuke.co.jp/category/life/welfare/environment/news/20150616/1991897
2015/06/13
農業用水を貯水する国営下蚊屋(さがりかや))ダム(江府町助沢)を利用した県の下蚊屋小水力発電所の工事が完了し、7月3日から運転を始める。東日本大震災以降、県が推進する再生可能エネルギー事業の一環。年間約5600万円の売電収入を見込み、経費を除いた収益は施設の維持管理に使う。県建設の小水力発電所は12カ所目。
設置主体は県で、下蚊屋ダムの農業用水を利用する八つの土地改良区で作る「大山山麓地区土地改良区連合」が運営する。最大出力は197キロワット、年間発電量は1536メガワット時で、一般家庭430世帯分に当たる。
農林水産省の補助を使い、2012年度に事業に着手。総事業費は3億4300万円で、国が50%、県が25%、米子▽江府▽伯耆▽大山の4市町が計25%を負担した。
県農地・水保全課によると、発電所で使う電力を除いた全量を固定価格買い取り制度(FIT)で中国電力に売る。発電費用などを除き、ダムの水を使う地区の貯水池や配管など農業水利施設の維持管理費に充てる。
27日に下蚊屋ダム下流の広場で開所式を行う予定。【真下信幸】
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi_region/region/mainichi_region-20150613ddlk31040619000c.html