過去に投稿された記事の一覧です。

2015/07/09

中部電力・阿多岐水力が運転開始 河川維持流量を活用【電気新聞】

 中部電力は7日、2014年5月から建設工事を進めてきた阿多岐水力発電所(岐阜県郡上市、190キロワット)の営業運転を開始し、同日、完工式を現地で開いた。同発電所は岐阜県が管理する阿多岐ダム直下に、河川維持流量発電所として建設された。完工式には勝野哲社長のほか来賓として古田肇・岐阜県知事も出席。関係者などあわせて約50人が参加し、無事故無災害での工事完了を祝った。
 式典であいさつに立った勝野社長は、同発電所の検討段階から完工までの経緯を説明した上で、「短期間での工事だったが、無事完工を迎えられたのもダム建設当時の先人たちの工夫による賜物。貴重な純国産エネルギーである再生可能エネルギーをうまく活用し、今後も安定的な発電電力量が期待できる河川維持流量発電所の開発を進めていきたい」と述べた。
 来賓として祝辞を述べた古田知事は「岐阜県では清流の恵みを生かした取り組みを積極的に進めている。水力発電所を通じ、半永久的に地域の発展に寄与できることを期待している」と話した。
 同発電所はダム建設時に、将来の発電用としてあらかじめ分岐管路を設置。これが水圧管路新設では大幅な工期短縮とコストダウンにつながった。中部電力が岐阜県営のダムで水力発電所を開発したのは、今回が初めて。年間発電電力量は、一般家庭約360世帯分に相当する130万キロワット時を想定。二酸化炭素(CO2)の削減量は、年間約700トンを見込んでいる。
 同発電所の運開により、中部電力が保有する水力発電所は196カ所、最大出力535万6千キロワットとなった。16年6月には、同じく岐阜県営ダムの丹生川水力発電所(高山市、350キロワット)が運開を予定している。

2015/07/08

エネ庁、中小水力の開発リスク低減へ支援拡充 16年度に後継事業立ち上げへ【電気新聞】

 経済産業省・資源エネルギー庁は、中小水力発電の導入支援策を強化する。2015年度で終了する導入促進事業の後継事業を今夏の16年度概算要求に盛り込み、開発リスク低減への支援を拡充する方向で調整する。30年度の電源構成(エネルギーミックス)では、出力が安定した再生可能エネルギーである水力発電の導入を拡大する方針で、このうち中小水力は今後15年で最大約200万キロワットの追加導入を見込んでいる。事業化調査に長期を要することなど、導入障壁を取り除くための予算措置を講じたい考えだ。
 政府は30年度に再生可能エネの発電電力量比率22~24%を目指すが、このうち中小も含んだ水力発電の比率は4割弱の8.8~9.2%。新規開発と既設を合わせて最大981億キロワット時(4931万キロワット)の導入を見込んでいる。新規導入281万キロワットのうち中小水力は7割に当たる201万キロワットで、ウエートが大きい。
 中小水力は発電に使う流水量の状況が採算性に直結するが、事業化検討開始後の流量調査に最大で10年程度かかる場合もあり、その間に事業化を断念するといったリスクも存在する。
 エネ庁は12~15年度までの4年間、メーカーや発電事業者、自治体を対象にコスト低減技術の開発・実証を支援する事業を行ってきているが、今年度で期間が終了する。このため後継事業を立ち上げ、リスクの低減策を手厚くする方向で調整する。
※紙面より転載

2015/07/08

岐阜県にもダムの維持流量を利用した小水力発電所【環境ビジネス】

岐阜県は7月7日、県が管理する「阿多岐(あたぎ)ダム」の直下に新設した河川維持流量を利用する「阿多岐水力発電所」(岐阜県郡上市白鳥町)の運転を開始した。
 同発電所は、本県初の県営ダムの放流水を活用した小水力発電所。発電方式はダム式(維持流量)。最大使用水量は毎秒0.7立法メートル。有効落差は37.7m。最大出力は190kW。年間可能発電電力量は130万kWh(一般家庭の約360世帯分に相当)。


http://www.kankyo-business.jp/news/010860.php

2015/07/08

川の環境を守る水流で360世帯分の電力、ダムに展開する小水力発電【スマートジャパン】

 岐阜県では3000メートルを超える山々から川が広がり、治水と発電を目的にダムが各地域に設けられている。ダムの下流の環境を守るために放流する水のエ ネルギーを利用した小水力発電の第1弾が始まった。これまで発電に利用していなかった水流で360世帯分の電力を供給することができる。
[石田雅也,スマートジャパン]
 新たに小水力発電を開始したダムは、岐阜県の中部を流れる阿多岐川(あたぎがわ)に設けた「阿多岐ダム」である(図1)。岐阜県が治水を目的に1988年から運用を続けているダムで、堤の高さは71メートル、横幅は200メートルに及ぶ。

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図1 「阿多岐ダム」の位置。出典:中部電力

水を貯めて川の流量を調整しながら洪水を防ぐ以外にも、下流に生息する動植物などを保護するために一定量の水を常に放流している。その「維持流量」を利用した小水力発電所が7月7日に運転を開始した(図2)。

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図2 「阿多岐水力発電所」の全景と「阿多岐ダム」。出典:岐阜県県土整備部

毎秒0.7立方メートルの水流で190kW(キロワット)の電力を作ることができる。水量は少ないものの、落差が38メートルもあるために発電能 力は大きい。年間の発電量は130万kWh(キロワット時)になる見込みで、一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して360世帯分に相当する。

発電事業者は中部電力である。阿多岐ダムを管理する岐阜県の提案を受けて、小水力発電所を建設・運営することになった。ダムの堤の脇を通る放流管から水圧鉄管を敷設して、発電所に水流を取り込んでから川へ放流する(図3)。

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図3 発電所の設置イメージ。出典:中部電力

中部電力は固定価格買取制度を適用して発電コストを吸収する一方で、岐阜県に対して流水の占用料を支払うスキームだ。従来は流すだけだった水流が電力になり、県の収入源にもなる。

この小水力発電は2013年12月に施行した河川法の改正を機に計画が進んだ。河川の環境保全のためにダムから放流している維持流量や農業用水を 利用した発電事業が法改正によって許可制から登録制へ変わった。許可制では5カ月ほどかかっていた手続きが登録制に移行して1カ月程度に短縮されたこと で、小水力発電を実施しやすくなった。阿多岐水力発電所は岐阜県で初めて登録制を適用した発電事業である。

岐阜県は県内の5カ所でダムを運営していて、さらに2025年度には新しいダムの運用も開始する(図4)。合計6カ所になる県営ダムのうち、維持 流量の多い阿多岐ダムと「丹生川(にゅうかわ)ダム」の2カ所で中部電力が小水力発電を実施することが決まっている。丹生川ダムの小水力発電所は2016 年度に運転を開始する予定だ。中部電力は新設の「内ヶ谷(うちがたに)ダム」でも小水力発電を検討する。

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図4 岐阜県が運営するダム。出典:岐阜県県土整備部


http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1507/08/news028.html

2015/07/06

京は水もの:えにし訪ねぶらり探訪/3 関西電力夷川発電所 大正生まれのミニ水力 /京都【毎日新聞】

 新緑が映える琵琶湖疏水の夷川(えびすがわ)船だまりに臨み赤レンガ造りの建物がたたずむ。春はお花見でにぎわい、ゴールデンウイークにかけては観光客を乗せた「十石舟」が行き交う。京都でも人気の親水空間だが、ひっそりと風景に溶け込んだレトロな建物が、れっきとした発電所だとはなかなか気付かない。
 その関西電力夷川発電所(京都市左京区)は大正3(1914)年生まれ、101歳で現役の水力発電所である。一般公開していないが、特別にお願いし内部に足を踏み入れると、ウィーンという高い音と、ゴロゴロゴロという低いうなり音が重なって響く。直径約3メートルの鉄製チューブの中を水が流れ、プロペラのついたシャフトを回転させ、その動力で発電機を回すシンプルな構造だ。発電所というよりも、どこか町工場の雰囲気が漂ってくる。発電能力は300キロワットと小粒だが、家庭500軒分の電力を今も生み出している。
 2キロほど上流にある蹴上発電所(4500キロワット)はわが国初の事業用発電所として1891年に産声を上げ、その電力を利用して日本初の市電が走るなど、京都の近代化を進める原動力となったことで有名だ。一方、夷川発電所は第2疏水の開削に伴って建設された弟分の「ミニ発電所」で、一般の話題になることは少ない。だが関西広域小水力利用推進協議会(中京区)の里中悦子事務局長は「これからの日本で大きな可能性を秘めている。気になる存在ですね」と注目。「蹴上発電所は33・5メートルの落差を利用して発電していますが、夷川はわずか3・4メートル。ヨーロッパではドナウ川など、平野をゆったり流れる大河の水を引き入れた低落差式の発電所が結構あるんですが、日本では珍しい。そんな発電所が、150万都市の真ん中で、しかも大正時代から続いているのが驚き」と話す。
 大きな落差が必要であれば設置場所は山間部などに限られる。だが低落差の水力発電なら都市部でも“地産地消型”の発電が可能。だからこそ「日本に小水力発電を普及させるヒントになる」と期待するのだ。
 その夷川発電所。運用開始から90年近くたった1993年に水車や発電機を一度交換しただけ。技術が成熟し、長持ちするのも水力発電の利点である。
 運営に当たる関電京都電力システムセンター主任の藤井健二さん(53)は「大きな発電機も、小さな発電機もチェックすべき点は同じ。回転部の温度や湿度の管理など、小さいからといって手間に異なるところはありません」と説明。「水力発電は水力という再生可能な純国産エネルギーを利用しており重要度は高まっている。特に夷川はわずかな落差で発電しており、都市で使うのに適した性質を持っている。疏水べりにある夷川発電所は、私が入社したときから30年以上も見慣れた発電所であり、『そこにあるのが当然』の風景。100年以上使われてきた発電所を、これからも次世代へ大切に引き継いで行きたい」と、うなりをあげる発電機をいとおしそうに眺めた。【榊原雅晴】
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 次回(27日)は嵐山のマイクロ発電所を訪ねます。


http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20150706ddlk26040343000c.html

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