2016/01/16
2016年1月16日
県内での地域主体の再生可能エネルギー導入をさらに進めようと、市民団体「市民エネルギーとっとり」が「鳥取地域エネルギー協議会」(仮称)の設立準備を進めている。県や土地改良区、金融機関などと準備会を重ねており、来年度中にも設立して情報共有や事業化の支援に取り組むという。【太田裕之】
県の「協働提案・連携推進事業」の補助金を2014年度に受け、同年度に3回、15年度は11月と12月に準備会を開いた。県の次世代エネルギー推進室と参画協働課、鳥取信用金庫、山陰合同銀行、鳥取銀行、県土地改良事業団体連合会、県小水力発電協会、県太陽光発電システム取扱事業者協議会などが参加。温暖化防止に取り組むNGO「気候ネットワーク」主任研究員の豊田陽介さんをアドバイザーに、太陽光発電や小水力発電を実践している県外の専門家も招いて意見交換している。
県は11~14年度の「とっとり環境イニシアティブプラン」で、県内の再生可能エネルギー導入量を10年度末の66万キロワットから76万キロワットに上げる目標を設定し、14年度末には80万キロワット(達成率105・5%)に増やした。今年度中に次期プランを策定中で、平井伸治知事は昨年12月の定例県議会で「90万キロワット以上の目標を考えるべきだ。再生可能エネルギーなどによる県内のエネルギー自給率は現在、住宅の80%をまかなえるが、100%を目指す」などと述べている。
一方、これまでは民間企業や行政による導入が多かった。地域主導の事業としては、市民エネルギーとっとりが14年に鳥取市で10・48キロワットの太陽光発電所を稼働させ、市民から出資を募って4カ所計約360キロワットを計画しているが、他に目立った動きはない。県次世代エネルギー推進室は「これまで地球温暖化対策として県外の企業であっても導入量を増やすことに力を入れてきたが、今後は地域をキーワードにしたい」と話す。
昨年11月の準備会では豊田さんが地域主導の意義について「お金の流れが変わり、経済が循環する。手間はかかるが仕事が生まれる」と強調。全国小水力利用推進協議会理事で高知県を中心に活動する会社組織「地域小水力発電」を設立した古谷桂信さんも「小水力発電は地域の人と一緒でないとできず、地域密着度が強い。鳥取にも適地はまだまだある」などと話した。
東京・多摩地区の大学などの公共施設で太陽光発電を進めた多摩電力合同会社の前代表で地域エネルギー会社「たまエンパワー」の取締役、山川陽一さんは「鳥取県は資源がふんだんにあってうらやましい限り。自然エネルギー100%は東京では無理だが、鳥取では現実味がある。官民一体で全国のモデルになれる」と期待を寄せた。
準備会は12月にも開き、電力自由化や金融機関の地域貢献などについて意見交換した。今年2月にも鳥取ガスと「とっとり市民電力」を設立した鳥取市の話を聴く予定だ。協議会は市町村にも参加を呼びかけ、広く情報や認識を共有する場としつつ、具体的に地域で事業化の動きが出てきた際に技術面や資金面で支援する専門家会議のような機能も併設する形で来年度中の設立を目指すという。
市民エネルギーとっとりの手塚智子代表は「エネルギーで自立した持続可能な地域づくりを、地元の人たちが主体となって進めていきたい」と話している。
2016/01/11
2016年1月11日掲載
小水力発電に対する関心が高まっている。2015年8月末時点における、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)に基づく小水力発電(出力1千kW未満)の新規設備認定容量は7万8549kWで、前年同月の3万5026kWに比べ、2.2倍という高い伸びを示しており、事業者の参入意欲が旺盛なことを裏付けている。
関心の高まりに合わせ、さまざまなプレーヤーが小水力発電分野に参入しようとしているが、一方で合意形成などをめぐる、地元関係者らとの摩擦も水面下で増加しつつあるのが現状だ。連載の1回目となるこの記事では、小水力発電の社会学的な特性と合意形成の重要性について改めて確認してから、個別事例として小水力を活用した地域活性化で草分け的な存在である、栃木県の那須野ヶ原土地改良区連合(水土里ネット那須野ヶ原)の取り組みを紹介する。
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2016/01/11
2016年1月11日掲載
県温暖化対策課によると、県内の再生可能エネルギー発電設備の容量は昨年7月現在で145・6万キロワット。再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)が導入された2012年度から96・5万キロワット増えた。県は20年度までに12年度比で100万キロワット増やす計画を立てていたが、5年前倒しして今年度中に目標を達成する可能性が高まっている。
145・6万キロワットはFITで認定された設備の容量(136・3万キロワット)と、自家発電設備などFIT認定が必要ない設備の容量を合わせたもの。FIT認定の容量では兵庫は全国4番目だ。
設備の8割(123・4万キロワット)を占めるのが太陽光発電だ。とりわけ1000キロワット以上のメガソーラーなど非住宅用は91・8万キロワットと12年度より84・7万キロワット増えた。関西国際空港の造成用土砂を採取した跡地など用地が豊富な淡路島などに集中している。住宅用も12年度から9・7万キロワット増の31・6万キロワットとなっている。
太陽光に続くのが、森林の間伐材や木くずを燃やして発電するバイオマス発電で10・4万キロワット。昨年、赤穂市で設備容量1・6万キロワットの発電設備が稼働。朝来市や丹波市でも来年度以降の稼働が計画されている。
そのほかは、ごみ発電5・8万キロワット▽風力発電5・5万キロワット▽小水力発電0・4万キロワット--の順。県は規模は小さいが、安定的な発電量が期待できる小水力発電の普及に力を入れている。【井上元宏】
都道府県別の再生可能エネルギー設備容量
(2015年7月、単位はキロワット)
(1)愛知県 158万7733
(2)福岡県 145万9525
(3)茨城県 145万4474
(4)兵庫県 136万3370
(5)静岡県 133万0068
※数値は再生可能エネルギー固定価格買い取り制度で設備が認定された設備容量
2015/12/25
昨日(24日)付けで、以下についてのパブリックコメントが開始されましたので、ご連絡させて頂きます。
つきましては、関係機関に周知頂きますよう御願いいたします。
【案件名】
「ダム水路主任技術者制度における規制見直しに関する「電気事業法施行規則」、「経済産業省告示第249号」及び「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」の一部改正に対する意見募集について」
【改正対象】
・電気事業法施行規則
・経済産業省告示第249号
・主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」の一部改正に対する意見募集について
【締切】
平成28年1月22日
【URL】
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=595115085&Mode=0
2015/12/21
2015年12月21日号掲載
小田原市(神奈川県)で11月13日、14日の両日「市民・地域共同発電所全国フォーラム2015 小田原大会」が開催された。主催は、市民・地域共同発電所全国フォーラムin小田原2015実行委員会、創発的地域づくり連携推進センター酒匂川流域小田原支部。
再エネを地方創生へとつなげる
全国各地から市民発電所の関係者や、企業、自治体、研究者などが2日間で延べ600人以上集まり、情報交換した。フォーラムの分科会では「里山資源のエネルギー利用と地域活性」など100人の定員を超え、立ち見が出るほどの盛況だった。
全国の市民・地域共同発電所は現在800基を超えており(主催者資料)、参加者が各自の取り組み例や今後の展望などを、活発に発言し合った。
同大会実行委員長氏川 恵次氏や加藤 憲一小田原市長、小水力発電モデル(開成町あじさい公園発電所)を運営する足柄上郡開成町 府川 裕一町長があいさつした。
エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議(エネ経会議)代表理事で小田原商工会議所会頭(鈴廣かまぼこグループ副社長)鈴木 悌介氏は講演で、「エネルギーのことをどれだけ地域でできるかは、地方創生にもつながる」「エネルギーを創ることで地域での雇用やお金を回すしくみができる」として、「新しい現実を作っていこう」と呼びかけた。
その後の総合セッションでは、加藤市長、志澤 昌彦ほうとくエネルギー副社長、豊岡 和美徳島地域エネルギー事務局長、佐々木 健洋福島県農民連事務局次長、吉中 由紀パルシステム神奈川ゆめコープ理事長らがパネリストとして登壇。それぞれの地域での取り組みについて語った。
小田原市の取り組みとしては、官民協働で、ほうとくエネルギー(本社:神奈川県小田原市)の設立に至ったこと、メガソーラーや公共施設の屋根貸し事業などで太陽光発電事業を展開していることなどが紹介された。
加藤市長は、市でも再エネ率を高めるエネルギー計画を策定していることなどから、取り組みを成功させるには「人と人とのつながりを大切にし、社会的合意を得ることが必要」「各家庭でも考えることが大事」と訴えた。
最後に、2日間で取りまとめた「再生可能エネルギー導入促進に向けてのアピール」を、大会実行委員の岡部 幸江大磯エネシフト理事長が読み上げた。
フォーラムにあわせて開催された視察ツアーでは、メガソーラーきらめきの丘おおい(大井町)、小水力発電施設(開成町)、ほうとくエネルギーのメガソーラー(小田原市)、辻村農園小水力発電遺構(小田原市/坊所川)、鈴廣かまぼこ本社ゼロエネルギービルなどを見学。
フォーラム参加者らからは「充実した内容で、勉強になった」「小田原のポテンシャルの高さに驚いた」「地元に帰ってこの体験を生かしたい」などの声があった。