2016/04/05
2016年4月5日
洲本市鮎屋の農業用ダム「鮎屋川ダム」に、ダムから河川への放流水を利用した「小水力発電所」が完成し、このほど発電を開始した。県洲本土地改良事務所によると県内の県有農業用ダム(18カ所)では初めて。
1970年に建設された同ダムは重力式コンクリートダムで貯水量180万立方メートル。堤体長約198メートル、高さ約46メートル。鮎屋川土地改良区(組合員約1170人)が管理し、受益面積は鮎屋川流域の洲本市と南あわじ市にまたがる約670ヘクタールに及ぶ。
同事務所によると、同ダムは河川を維持するため年間を通じて毎秒0・07~0・1立方メートルの水を河川に放流しており、同ダムの有効落差(約21メートル)が生み出す水力エネルギーを活用して発電し、ダムの水を有効活用することにした。
発電所はダムの取水施設に設置された。ダムのえん堤にある放流用の導水管(直径80センチ)の途中に取水管(同25センチ)を取り付け、取水管から流れる水でポンプ水車を回して発電する仕組み。
発電出力は16キロワットで、年間発電量が約8万7000キロワット時。一般家庭約40世帯が使用する電気を発電する。全量を関西電力に売電し、年間約250万円の売電収入を見込んでいる。
同事務所は「売電収入はダムの維持管理などの経費に充てられるので、経費削減にもつながる」としている。総事業費は約7300万円で、うち50%が国の農山漁村地域整備交付金、県が25%、2市が10%を補助し、土地改良区は15%負担する。【登口修】
2016/04/04
2014年4月4日
先進国と発展途上国の双方で再生可能エネルギーの投資が拡大している。国連の環境問題を担当する機関が各国の投資状況をまとめたところ、2015年の投資額は全世界で35兆円に達して、過去最高だった2011年を上回った。日本は中国と米国に次いで3番目に多く、投資額は4兆円にのぼった。
[石田雅也,スマートジャパン]
2015年の世界各国における再生可能エネルギーの投資状況をUNEP(United Nations Environment Programme、国連環境計画)がレポートにまとめて発表した。全世界の投資額は前年から5%増えて、2859億ドルに達した(図1)。2015年の平均為替レート(1ドル=122円)で換算すると約35兆円になる。2013年から3年連続で増加した。
特に注目すべき点は、発展途上国の投資額が2015年に初めて先進国を上回ったことである。中国を中心に発展途上国の投資拡大が着実に進む一方、先進国では2011年をピークに縮小傾向が続いている(図2)。今後さらに差が開いていくことは確実だ。
再生可能エネルギーの種類で分けると、太陽光と風力に投資が集中している(図3)。両方を合わせると全体の投資額の95%に達する。このほかのバイオマス、小水力、バイオ燃料、地熱、海洋は前年を下回る状況だ。太陽光と風力は発電能力の大きい設備を建設しやすいことから、投資が集まる傾向にある。
太陽光は発電コストの低下が急速に進んだことも投資を呼び込む一因になっている。5年前の2010年と比べて、シリコン系の太陽電池による発電コストは2分の1以下に下がった(図4)。太陽電池の生産拡大による価格低下の効果が大きい。一方で風力は陸上・洋上ともに、5年間で発電コストは下がっていない。
国別では中国の投資額が圧倒的に大きい。前年から17%増えて、1000億ドルを超えた(図5)。世界全体の36%を占めている。第2位は米国で、第3位に日本が続く。日本の投資額はドル・ベースでは0.1%の増加だが、年間の平均為替レートが2014年の107円から2015年に122円へ上昇した影響がある。この点を考慮すると実際には14%の伸びになり、中国や米国に近い水準の成長率で拡大した。
日本の特徴は発電能力が1MW(メガワット)未満の小規模な設備に対する投資が非常に多いことだ。投資額の9割近くを小規模な発電設備が占めていて、米国や中国を大きく引き離している(図6)。ドル・ベースの成長率で13%、実質的には30%近く拡大した。太陽光を中心に固定価格買取制度の対象になる発電設備が増加したためだ。ただし太陽光の買取価格が低下してきたことにより、今後は成長率が鈍る可能性が大きい。
全世界の再生可能エネルギーに対する投資額は火力発電や原子力発電を大きく上回っている。2015年の火力発電の投資額は石炭とガスを合わせて1300億ドルで、再生可能エネルギーの半分以下だった。原子力は200億ドルに過ぎず、大規模な水力の430億ドルと比べても小さい(図7)。もはや原子力に投資する国が少ないことを示している。
この結果、2015年に運転を開始した発電設備の容量でも再生可能エネルギーが全体の5割以上を占めた(図8)。残りは石炭火力とガス火力を合わせると3割強になる。大規模な水力と原子力はそれぞれ1割以下である。
2015年に全世界にある発電設備の容量を合計すると、再生可能エネルギーの比率は16.2%まで拡大した(図9)。前年から1ポイントの上昇で、7年間で2倍になっている。年間の発電量でも初めて10%を超えた。2012年以降の投資額が火力や原子力と比べて格段に大きいことから、今後も再生可能エネルギーの比率は設備容量・発電量ともに増え続けていく。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1604/04/news026.html
2016/04/02
2016年4月2日
県営では最大規模となる中木庭ダム(鹿島市山浦、総貯水量680万立方メートル)で1日、民間事業者による小水力発電が始まった。ダムの放流を生かし、年間で一般家庭の約350戸分に当たる1250メガワットを発電する。既設のダムに民間発電事業者が参画するのは九州では初めて。
西技工業(本社・福岡市)、九州電力、九電工の3社の連合体が約3億円かけて発電所を造った。西技工業が発電主体で、九州電力に売電する。年間4200万円の収入を見込む。
事業者はダム建設費336億円の一部をさかのぼって国と県に約1750万円ずつ、鹿島市に約330万円負担する。また流水や土地の占有料として年間約30万円を県に支払う。
12年の再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度開始を受け、県は全13カ所の県営ダムでの事業化可能性を探り、最終的に中木庭ダムで事業者を公募した。河川砂防課は「地球温暖化対策やダム管理費用軽減につながる」としている。
2016/03/31
2016年3月31日
小松市の木場潟へ流れ込む水路の高低差を利用し、水の流れでプロペラ水車を動かす「加賀三湖発電所」が同市千木野町で完成し、30日、運用を始めた。CO2の発生を抑える市内初の小水力発電所。北陸電力への売電で年間約2000万円の収益を見込み、施設の維持管理費や農業振興などに充てる。
加賀三湖土地改良区が2014年7月から1億9900万円かけて整備した。最大出力は89キロワット、年間売電電力量は56万キロワット時を計画。発電所につながる水路上流の水槽との高低差19・7メートルを利用し、流れ落ちてきた水で発電機を回す仕組み。
水路は「加賀三湖導水路」と呼ばれ、白山市鳥越地区の手取川水系大日川から取水。元々は加賀三湖地区で水田開発に必要な水を確保し、木場潟の水質も浄化させるために整備された。
同土地改良区の和田慎司理事長(小松市長)は「小松は大日川によって水に恵まれている。その水を大切にして発電所を使いたい」と話した。【中津川甫】
2016/03/31
2016年3月30日
飯田市は29日、同市鼎切石の「伊賀良井用水」取水口付近(妙琴浄水場内)で行ってきた小水力発電実証実験事業の見学会を現地で開いた。行政職員や市民、地元関係者ら約50人が参加し、市内の企業が新たに開発した「開放型クロスフロー水車」を使った発電状況を確認した。
市の実証実験は、住民主体の小水力発電事業や新たな環境産業の可能性を探る狙い。2013年度に国の委託事業として、流水落差を変えられる可動式の堰(せき)を整備し、導水管内にプロペラ型発電機を取り付けて実証実験を行ったが、ごみ詰まりといった維持管理面や効率性などで課題が出ていた。
今回の実験に用いた開放型クロスフロー水車は「マルヒ」(後藤大治社長、同市桐林)を中心に製造。効率的に発電ができ、羽が開放式で水車内を流水が通り抜けるため、ごみ詰まり予防などメンテナンス面でも優れる。この時期の伊賀良井の平均流量0・49立方メートル毎秒、堰の有効落差約1メートルに対し、発電量は約1・5キロワットで、LED防犯灯で約80基分相当という。
現地見学会では後藤社長らが、流水で勢い良く水車が回転し、発電する状況を解説。発電した電気を活用し、遠隔操作も可能とする監視カメラシステムを作動させた。
本年度の実証実験は水利権の許可を受け、昨年12月25日から3月末日まで実施。開放型クロスフロー水車の特性や土砂の堆積状況の確認、騒音計測などを行ってきた。
「身近な水エネルギーを地域の活性や課題解決に生かせれば」と市環境モデル都市推進課の課長。地元企業の連携による小水力発電設備の開発を支援する南信州・飯田産業センターのオーガナイザーは「今後も耐久性などの改良を重ね、当地域の産業システムとして売り出したい」と話していた。