過去に投稿された記事の一覧です。

2016/04/25

水車発電機を地域で開発する ― 秀建コンサルタント「開放型振り子式下掛け水車」【環境ビジネスオンライン】

2016年4月25日
 事業性を前提に導入される小水力発電は、主に河川や農業用水路などから離れた場所に建てられた発電所まで水を引き込んで発電する。

今回紹介するのはそれとは異なり、農業用水路のような人工水路などに水車と発電機を設置して発電する方式で、一般的に水路設置型と呼ばれているもの。そのタイプで、「開放型振り子式下掛け水車」を開発した、山梨県中央市で土木コンサルタント会社を営む(株)秀建コンサルタントの社長、中込秀樹さんに話をうかがった。

水路設置型の課題と工夫

「水路設置型は導水路工事が省けます」。
通常、長い導水区間を設ける小水力発電では、導入コストのうち5~8割が土木費になるというから、水路設置型ではコスト面でメリットがある。

(続きは転載元より会員登録のうえ閲覧できます)

https://www.kankyo-business.jp/column/012529.php

2016/04/24

福島発 産業観光で再生手応え 風評被害克服へ土湯温泉の挑戦【産経ニュース】

2016年4月24日掲載
 東日本大震災、東京電力福島第1原発事故から5年1カ月以上がたつが、福島の温泉街は風評などで大きなダメージを負い、いまなお傷跡は深い。福島市の土湯温泉もその一つだが、「産業観光」で町の再生を目指す企業「元気アップつちゆ」のユニークな取り組みに復活のヒントを探った。(黒沢通)

再生エネで町づくり

 土湯温泉は震災前は16軒の旅館があり、1日に2300人を収容できた。震災後の休廃業で現在は11軒が営業、収容可能人数も約1500人まで減った。

 被災で打ちひしがれる土湯に「元気アップつちゆ」が設立されたのは平成24年10月。加藤勝一(かついち)社長(67)は「途方に暮れる地域を何とか復興させ、再生したいとの思いから始まった」と振り返る。

 出資は湯遊(ゆうゆう)つちゆ温泉協同組合が90%の1800万円、NPO法人土湯温泉観光まちづくり協議会が10%の200万円出資。復興と再生、魅力ある地域の構築が設立の狙いだ。

 核となる事業は、(1)温泉を活用したバイナリー発電事業、(2)砂防堰堤(えんてい)を利用した小水力発電事業、(3)国と福島市と連携する都市再生整備計画事業-の3つだ。

 バイナリー発電は源泉段階のお湯や蒸気の熱を利用して水より低い沸点の液体(ペンタン)を蒸気化させ、発生した蒸気でタービンを回す仕組み。入浴に不要の余分な熱を使うため、湯量や成分に影響はないのも魅力だ。

 「土湯温泉16号源泉バイナリー発電所」は27年11月に完成。最大出力は400キロワット(一般家庭750世帯分の消費電力に相当)、売電額は1億円を見込む。商用バイナリー発電事業は東日本では初めてだ。

 また、砂防堰堤を利用した小水力発電所(27年4月完成)は出力140キロワットで売電額は3千万円だ。

 加藤社長は「再生可能エネルギーを通じた新たな町と観光地をつくる。売電収入の一部は復興に活用する方針だ」と話す。発電施設周辺には、再生可能エネルギーの体験学習施設を建設し、来場者が見学しやすい環境を整える。

「新しい光、見てほしい」

 土湯温泉への観光客などの入れ込み数は震災前23万人だったが、24年度は7万人にまで落ち込んだ。26年度は18万人まで回復したものの、「震災前に戻すだけではじり貧。発電施設の視察が1万人を超え、産業観光が新たな観光資源となった。選択は間違っていなかった」と加藤社長は言い切る。3年後に宿泊20万人、日帰り10万人の計30万人の入れ込みが目標だ。

 今年3月には都内で開かれた地熱資源開発を促すイベントにも参加。温泉とバイナリー発電事業を有機的に結びつけた観光の形を提案した。

 今年は3年にわたって行われた大型観光イベント「ふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)」の集大成の「アフターDC」が6月まで開催されている。温泉は「花」「食」ともに主役の一つだけに期待は膨らむばかり。加藤社長が言う。

 「『観光』はその国の光を見ることと言われる。ぜひ、全国から土湯温泉を訪れ、地域に芽生えた新しい『光』を見てほしい」

http://www.sankei.com/region/news/160424/rgn1604240020-n1.html

2016/04/22

ダムの内部に水車発電機、19メートルの落差で160世帯分の電力を作る【ITmedia】

2016年4月22日掲載
山口県の企業局がダムに建設した小水力発電所の運転を開始する。ダムから水を取り込むための取水塔の内部に水車発電機を設置した。一般家庭で160世帯分の電力を供給しながら、取水量を制御する弁の役割も果たす。固定価格買取制度を通じて20年間に4億円弱の売電収入を得る見込みだ。
[石田雅也,スマートジャパン]

山口県の宇部市(うべし)は瀬戸内海沿岸の工業地帯で知られる。広大な工業地帯に水を供給する役割を担うのが「宇部丸山ダム」だ。このダムの湖面に突き出た取水塔の内部で、新たに小水力発電が始まろうとしている(図1)。

yamaguchi1_sj.jpg
図1 「宇部丸山発電所」の概要(画像をクリックすると取水塔を拡大して表示)。出典:山口県企業局

ダムを管理する県の企業局が4月26日に「宇部丸山発電所」の運転を開始する予定だ。貯水塔は40メートルを超える高さがあり、上部だけが湖面から上に出ている。内部の下のほうにはダムから水を取り込むための導水路が設けられていて、その途中に水車発電機を設置した(図2)。導水路を流れてきた水を取水塔の内部で垂直方向に分岐させて水車発電機に取り込む。

yamaguchi5_sj.jpg
図2 取水塔の内部と水車発電機の設置イメージ。出典:山口県企業局

このような仕組みでも実際に発電に利用できる水流の落差は19メートルになる。水がダムの上のほうから導水路を通って流れてくるからだ。水車発電機に取り込める水量は最大で毎秒1立方メートル弱になり、130kW(キロワット)の電力を供給できる。

年間の発電量は57万kWh(キロワット時)を想定している。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して160世帯分に相当する。固定価格買取制度を適用して1kWhあたり34円(税抜き)で売電できるため、年間に1940万円の収入を見込める。買取期間の20年間の累計では3億9000万円になる。建設費は2億2800万円かかったが、運転維持費を加えても十分に採算をとることができる。

水力発電所12カ所で5万世帯分の電力に

もともと取水塔の中には導水路を流れてくる水量を制御するための調整弁(バルブ)が設置されている。常用と予備が2組あって、万一故障が発生しても調整弁を切り替えて取水に支障が生じない仕組みだ。このうちの予備の1台を水車発電機に置き換えて、取水量を制御しながら発電も可能にした(図3)。

yamaguchi6_sj.jpg
図3 水車発電機の設置状態。出典:山口県企業局

ダムから工業用水に必要な量だけを取り込んで発電するため、水量によって発電量は変動する。設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は50%になり、小水力発電の標準値60%と比べると少し低めだ。とはいえ従来は利用できなかった水力でCO2(二酸化炭素)を排出しない電力を供給できるメリットは大きい。

山口県の企業局は県内の各地でダムと水力発電所を運営している。宇部丸山発電所を含めて大小12カ所の水力発電所を運転中だ(図4)。発電能力を合計すると5万kWを超えて、年間の発電量は1億8000万kWhに達する。一般家庭で5万世帯分に匹敵する電力量である。

yamaguchi2_sj.jpg
図4 山口県の企業局が運営する水力発電所。平瀬発電所は建設中。出典:山口県企業局

宇部丸山ダムでは小規模な太陽光発電も実施している。ダムの湖面に筏を浮かべ
て、その上に20kW分の太陽電池を搭載した(図5)。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)と共同で2002~2006年度に取り組んだ「太陽光発電モデルプラント」を現在も使い続けている。

yamaguchi8_sj.jpg
yamaguchi7_sj.jpg
図5 宇部丸山ダムの「太陽光発電モデルプラント」。取水塔の左側に太陽光パネルが浮かぶ。出典:山口県企業局

太陽電池で発電した電力は陸上のインバータに送って、そこから再び湖面に浮かぶ水質改善装置に供給する。この装置はダムに発生するアオコと呼ぶ微細藻類を防止するもので、水質の維持管理費の抑制につながる。さらに余った電力は中国電力に売電している。

 


http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1604/22/news028_2.html

2016/04/17

ライトアップ 桃色LEDでエコPR 小水力発電の電気利用 福知山 /京都【毎日新聞】

2016年4月17日掲載
 福知山市が府立工業高校の生徒に依頼して同市大江町佛性寺に設けた小水力発電設備の電気で15日、周辺の電飾やライトアップを始めた。再生可能エネルギーを活用した自然との共生をアピールする。
 設備は、二瀬川から導く農業用水で水車を回し、毎秒40リットルの流量で0.5キロワットの発電能力を持つ。再生可能エネルギー活用の実証実験として、同校機械プランニング科の生徒が2013年11月に完成させた。その後、動力の伝達方法を変更するなど、電気を安定供給させるための改良を重ねてきた。
 電飾は800球のLEDを使い、水車小屋や川辺の桜と橋脚を桃色にライトアップ。農業水利などで発電量の少ない時期を除き、毎日午後5〜10時に青や桃色に照らす。
 福知山市内には豊富な水源があるといい、市環境政策室は「同様の設備の普及や応用の幅が広がることを期待したい」と話している。【佐藤孝治】

〔丹波・丹後版〕

http://mainichi.jp/articles/20160417/ddl/k26/040/335000c

2016/04/15

農業用水路にチェコ製の水車発電機、未利用の水流で265世帯分の電力を作る【ITmedia】

2016年4月15日掲載

起伏の激しい岐阜県の山間部を流れる農業用水路を改修して新しい小水力発電所が運転を開始した。64メートルの大きな落差を生かすためにチェコ製の水車発電機を使っている。農業用水路は大正時代に造ったもので、自治体と民間企業が連携して発電事業による地域の活性化に取り組む。
[石田雅也,スマートジャパン]

 

岐阜県の東部に位置する中津川市の山中を「平石用水路」が流れている。大正時代に造った農業用水路は老朽化が進み、改修が必要になっていた。長さが918メートルに及ぶ水路を改修して、「落合平石小水力発電所」が4月1日に運転を開始した(図1)。

ochiai7_sj.jpg
図1 「落合平石小水力発電所」の位置(左)、建屋の外観(右)。出典:飛島建設

 

発電に利用できる水流の落差は64メートルもある。流量は最大で毎秒0.25立方メートルと少ないが、それでも126kW(キロワット)の発電が可能だ(図2)。年間の発電量は95万kWh(キロワット時)を見込んでいて、一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算すると265世帯分の電力になる。発電所がある落合地区の総世帯数(1350世帯)の2割をカバーできる。

ochiai1_sj.jpg
図2 横軸クロスフロー型の水車発電機。出典:飛島建設

 

小水力発電用に横軸クロスフロー型の水車発電機を導入した。鮮やかな赤い色をしたチェコ製である。円筒形の水車が水平方向の横軸で回転して発電する仕組みだ。水車発電機を納入した日本小水力発電によると、水流の落差が10~100メートル程度で、流量が少ない場合に適している(図3)。

ochiai13_sj.jpg
図3 落差と流量による水車の選定イメージ。出典:日本小水力発電

 

落合平石小水力発電所の設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)を計算すると86%と極めて高い。小水力発電の標準的な設備利用率は60%程度で、それと比べて1.4倍の高効率で運転できる。平石用水路の流量が年間を通じて大きく変動しないことが理由の1つだ。
発電した電力は全量を固定価格買取制度で中部電力に売電する。発電能力が200kW未満の小水力発電の買取価格は34円(税抜き)になるため、年間で3200万円の収入を買取期間の20年間にわたって見込める。
水路の改修は2通りの方法で実施した(図4)。1つの方法はU字フリュームをベンチフリュームに入れ替えて、横幅を500mm(ミリメートル)から1000mmへ2倍に広げた。ベンチフリュームは高さよりも横幅のほうが長い構造の溝で、さほど強度を必要としない農業用水路には多く使われている。

ochiai8_sj.jpg
図4 水路の改修状況(画像をクリックすると拡大)。出典:飛島建設

 

もう1つの方法は山林の中に古い石積みで造られている区間をモルタルで全面塗布して補強した。モルタルはセメントに砂を混ぜた建築材料で、砂利も加えるコンクリートと比べると高価だが、塗布面が滑らかになって水が流れやすくなる。
このほかに農業用水路の流量を安定させるためのヘッドタンク(上部水槽)を鉄筋コンクリートで全面的に改修した(図5)。小水力発電では水路を流れるごみが水車発電機のトラブルを引き起こすことがある。その防止策として、ごみを除去する除塵機をヘッドタンクに据え付けた。

ochiai12_sj.jpg
図5 ヘッドタンク(上部水槽)の改修状況。出典:飛島建設、オリエンタルコンサルタンツ

 

さらに水車発電機まで水を送り込む水圧管路を敷設したほか、水車発電機を収容する建屋を新設して、小水力発電所が完成した。このように既存の農業用水路を改修して小水力発電に活用すれば、全体の建設費を低く抑えることができる。と同時に水路を共用することによって、農業用水路の維持管理費の軽減にもつながる。
発電所を建設・運転する事業者は飛島建設とオリエンタルコンサルタンツの2社による共同体である(図6)。両社が建設・運転費用を折半で負担する。地元の中津川市は開発の許認可などで支援した。落合地区は水路の使用許可を与える代わりに、補修・清掃点検業務を請け負って収入を得ることができる。

ochiai5_sj.jpg
図6 小水力発電事業のスキーム。出典:オリエンタルコンサルタンツ

 

落合地区は江戸時代に東京と京都をつなぐ中山道の「落合宿」として栄えた場所でもある。小水力発電事業に参画したオリエンタルコンサルタンツは落合宿の観光資源を生かして、地域の活性化に取り組んでいく方針だ(図7)。電気自動車の導入や木質バイオマス燃料の製造などを通じて環境保全や防災対策にも役立てる。

ochiai9_sj.jpg
図7 小水力発電事業を中核にした地域活性化イメージ(画像をクリックすると拡大)。出典:オリエンタルコンサルタンツ

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1604/15/news033.html

お問い合わせ
候補地点についてのご相談や、「小水力」に関するお問い合わせ、 当サイトへのご連絡は、こちらより承ります。
お問い合わせはこちら