2017/07/06
2017年7月6日掲載
矢野経済研究所は7月4日、国内の中小水力の発電電力市場および発電所建設市場の調査結果を発表した。2016年度の中小水力の発電電力量は2015年度比4.0%増の490億kWhだった。2020年度には511億kWh、2030年度には593億kWhまで拡大すると予測する。
中小水力発電とは、出力100kW未満のマイクロ水力、100kW以上~1000kW未満の小水力、1000kW以上~3万kW未満の中水力を指す。2012年にスタートした再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)により中小水力発電が20年間の買取対象となったことを受け、2014年度から市場が急激に立ち上がった。
FIT適用に伴い新たな中小水力発電の開拓や再整備が行われたことで、2016年度の発電量のうちFIT適用分は2015年度比33.3%増の20億kWhに、FIT買取金額は同33.8%増の523億円に増加した。また、2020年度のFIT適用分は40億kWhの1000億円、2030年度は119億kWhの2300億円に拡大すると予測する。
また、中小水力発電所の建設市場規模(当該年度竣工ベース、発電容量、建設費)は、2016年度が8.5万kWの1245億円だった。今後もプラス基調が続き、2020年度は10.5万kWの1680億円、2030年度には20万kWの2700億円に拡大する見通し。
中小水力発電は、相対的に買取価格が高く維持されているとから、2017年度以降も当面3年間は活況が続く見込み。その一方、重要部品である水車を製造できるメーカーが限られ、技術要員数や生産設備についてもメーカーのキャパシティに限界があることが設備供給のボトルネックとなっている。
このほかにも、各地域の電力会社での系統容量に制限があり、再エネ発電設備を接続できない、接続に莫大な費用が掛かる場合が増えている。電力システム改革の一環である2020年の発送電分離などを契機に、系統接続問題の改善が期待される。
中小水力発電事業者、発電設備機器メーカー、コンサルタント、土木工事街者を対象に、専門調査員による直接面談、電話や電子メールによるヒアリング、文献調査併用による調査を行った。調査期間は2017年4~6月。
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/070508246/
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