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2017/04/26

水力発電で地域振興、豊富な水源と地形を生かして290世帯分の電力に【スマートジャパン】

2017年4月26日掲載
水力発電が盛んな岐阜県で、新たに2カ所の水力発電所が稼働した。2つの発電所の合計で年間290世帯分の電力を発電することができる。地元の農業水利施設を活用した発電所だが、売電収益を地域振興施設の電気代など、農業施設以外への活用を認めているのが特徴の事業だ。
[陰山遼将,スマートジャパン]

 岐阜県では日本トップクラスの豊富な水源を活用した小水力発電が盛んだ。豊富な流量と山間の地形が生み出す落差を生かした発電所の建設が各地で進んでいる。新たに2017年4月20日から2カ所の水力発電所が稼働を開始した。「下辻南(しもつじ)清流発電所」と「諸家(もろか)清流発電所」だ。
 2カ所の発電所は岐阜県が実施する「県単小水力発電施設整備事業」のもと、県が主体となって2014年度から建設を進めてきた。地元の農業水利施設を活用した発電所だが、売電収益を地域振興施設の電気代など、農業施設以外への活用を認めているのが特徴の事業だ。地元の再生可能エネルギーを活用した発電事業の収益を、柔軟に地域振興に活用できる。どちらも事業主体は岐阜県だが、発電所の管理や運営は町が担う仕組みだ。

  34.7メートルの落差を活用

 下辻南清流発電所は、岐阜県西部に位置する揖斐川町(いびがわちょう)の小津地域に建設した。農業用水として利用されている川の上流にヘッドタンクを設置し、発電用の水流と農業用水に分水し、落差を利用して下流で発電を行う。上流から下流まで約840メートルの水圧管路を設置した。
 下流には出力64kW(キロワット)の横軸フランシス水車を備える発電所建屋を建設した。この水車で有効落差34.7メートルの落差を利用し、年間に一般家庭90世帯分の使用電力量に相当する33.5万kWh(メガワット時)を発電する見込みだ。発電した電力は中部電力に売電する。年間の売電収入は1140万円を見込める。なお、総事業費は2億9500万円で、岐阜県が75%、揖斐川町が25%の割合で負担している。

  55メートルの落差で4億円以上の売電収益

 諸家清流発電所は揖斐川町の北西部の坂内地域に建設した。坂内地域は滋賀県と福井県に隣接しており、海抜260~500メートルと標高が高いエリアだ。諸家清流発電所もこうした標高と山間の地形を利用し、落差を利用して発電する水力発電所だ。
 下辻南清流発電所と同様に河川の上流にヘッドタンクを設置し、下流に向かって水圧管路を敷いている。有効落差は約55.2メートルで、下流にはクロスフロー水車を導入した発電施設を建設した。
 年間発電量は一般家庭200世帯分に相当する71.6万kWhを見込んでいる。こちらも中部電力に全量売電を行い、計画通り発電すれば、年間の売電収入は約2430万円を見込める。20年間の売電収入は4億8000万円以上になる。総事業費は4億900万円なので、差分の利益を地域振興に活用できる。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1704/26/news037_2.html

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