2016/12/27
2016年12月27日掲載
一関市赤荻字雲南の精茶百年本舗の清水恒輝会長(68)は、一関、平泉両市町を流れる照井堰(ぜき)用水を活用した水力発電の研究に取り組んでいる。同社近くの用水路に水車型の発電装置を浮かべ、「災害や停電が発生した時など、緊急充電用の電源として地域のために役立てたい」としている。
照井堰用水は、藤原秀衡の家臣照井太郎高春が平安末期に開削したとされる用水路。清水会長は、古くから水田へのかんがいや生活用水として重宝されてきた同用水を有効活用できないかと長年にわたり模索。東日本大震災発生時の大規模停電によって地域住民の生活に大きな支障が出たことを教訓に、2011年からたった一人で水力発電の研究に乗り出した。
専門外の分野のため、発電装置を造るまでに試行錯誤。最初は自転車のライトが点灯する仕組みを参考にしていたが、家庭で主に使用されている交流電源への変換がうまくいかず断念。九州の協力者から「船の発電装置を参考にしては」と助言を受け、元造船業者や一関高専教授らの手を借りながら5年がかりで小水力発電装置(発電量100ボルト、120ワット)を開発した。
装置は高さ約4メートル、縦横約2メートルで、重さは約300キロ。浮き輪と水車、ダイナモ発電機が取り付けられている。15年8月から同社南側の用水路に浮かべ、試験的に運用を開始。緩やかな水の流れで水車を回し、敷地内にある街灯などに電力を活用してきた。
冬場は農業用水が流れないため装置を取り外しているが、研究は怠らない。清水会長は「ゆくゆくは2台、3台と装置を増やし、電気をためておく仕組みも考えたい。震災時のような思いをしないためにも、多くの電力を供給できるように努めていく」と目標を語る。