2016/10/31
2016年10月31日掲載
三相電機はビル空調や工場排水設備の配管に接続し、小水力発電が行える「小型水力発電ポンプ」を新開発した。独立電源用として、早ければ2017年前半から一般販売を開始する計画だ。
[陰山遼将,スマートジャパン]
三相電機は2016年10月26~28日に東京ビッグサイトで開催された水処理技術・サービスの専門展示会「第6回 水イノベーション」(「スマートエンジニアリングTOKYO2016」内)に出展し、アシアティック エンジニアリング ジャパン(以下、アシアティック)と共同開発した「小型水力発電ポンプ」を参考出展した(図1)。独立電源用として、早ければ2017年前半から一般販売を開始する計画だ。
三相電機はモーターやポンプの設計・製造販売を手掛ける。新開発の小型水力発電機はこうした既存事業の技術を活用したもので、ポンプに水を逆に流し、通常とは逆方向に回転させて発電を行う「ポンプ逆転式」の発電機だ。大きさは430×441×180ミリメートルで、重さは約30キログラム。水車と発電機が一体化した構造になっているため小型で、狭いスペースにも設置しやすくした。大掛かりな工事も不要で、最短で1日で設置可能だという。
使い方はさまざまな方法を見込んでいる。例えばビル空調の循環水が流れる配管や工場排水設備の配管に接続することで、供給圧の残圧を利用して水力発電が行える。こうした配管の残圧が利用できる安定水源がある場合、特に有効だという。さらにため池や河川から配管を通して取水して発電を行うことも可能だ。
発電機の主な利用条件は2つ。10~21メートルの有効落差を確保でき、水量が1分あたり300~450リットル確保できること。売電機能は搭載しておらず、自立型の独立電源システムとしての利用を想定した製品となっている。発電機の最大出力は750W(ワット)で、最小が200W。未利用エネルギーを電力に変えてバッテリーに充電したり、ビルや工場内の照明などに利用したりできる他、災害時の電源としても使用可能だ。なお、設置の際には整流回路ユニットと、直流電力を交流に変換するための市販のパワコンも併設する。
三相電機とアシアティックでは、2016年11月をめどに小型水力発電ポンプの実証を兼ねたモニター販売を開始する。2017年の前半には一般販売を開始したい考え。現時点で正式価格は決まっていないが「100万円以下を実現したい」(ブース担当者)としている。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1610/31/news058.html