2016/10/02
2016年10月2日掲載
伊那市の三峰川上流などで水力発電事業を展開する丸紅の子会社「三峰川電力」(東京)が、茅野市内を流れる農業用水を活用して小水力発電所を2基建設することが1日、分かった。同市北山に「蓼科第三発電所(仮称)」、同市泉野に「蓼科第四発電所(同)」を整備する方針で、蓼科第四は近く着工する見通し。これで同社が市内で運営する小水力発電所は4基となる。
同社の小水力発電事業は2006年に三峰川でスタート。地域の潜在的なエネルギーを活用しようと、茅野市内では小斉川を利用する蓼科発電所を11年6月に蓼科湖近くで稼働し、14年5月には同市北山糸萱に蓼科第二発電所を完成させた。国の再生可能エネルギー固定価格買取制度を活用し全量売電している。
蓼科第三は蓼科温泉石遊(いしやす)の湯近くの滝之湯堰(せぎ)、蓼科第四は音見滝上流の大河原堰から、それぞれ農業用水を発電所に取り込む。落差を利用して水を送り、建屋内の水車を回して発電し、発電後の水は用水路や河川に戻す。同社は、発電事業に伴って土地や農業用水の使用料を地元の権利者に支払うほか、固定資産税を同市に納める。
このうち今月中にも本格着工する蓼科第四は、音見滝の上流側に最大落差40・5メートル、最大出力145キロワットの発電設備を整備する。来年夏までに稼働したい意向で、総事業費は3億円程度のもよう。蓼科第三は、工期を調整中で来年度中の完成を目指す。
同社の小水力発電所は、計画中を含めて茅野市4、山梨県北杜市・福島県・広島県各3、三峰川2の計15カ所となる。同社は長野日報社の取材に、建設計画を認めた上で「詳細は竣工の際に発表させていただきます」と話した。
茅野市自然エネルギー推進室によると、同市のガイドラインに基づいて提出された小水力発電設備の建設計画は、金沢地区にも1件あるという。