2016/04/13
2016年4月13日掲載
飛島建設とオリエンタルコンサルタンツが岐阜県中津川市に建設を進めていた「落合平石小水力発電所」が完成し、12日に現地で開所式を開いた。建設・運転費用を両社が出資・負担する共同事業で、既存の農業用水路を発電用導水路に活用し、その清掃や点検など維持管理の一部を地元に委託する地域共生型の事業を展開する。式典には、飛島建設の乘京正弘執行役員副社長、オリエンタルコンサルタンツの野崎秀則社長、中津川市の青山節児市長ら関係者約80人が出席。神事の後、テープカットが行われ=写真、本格的な運転を開始した。
開所式では、乘京執行役員副社長が「地元の方々には計画に賛同してもらうだけでなく、主体的に事業を進めるための建設委員会を組織してもらい、水路改修の詳細計画から発電所用地の確保に至るまで事業計画に積極的に関与してもらった」と地元関係者に感謝の意を示した。
続いて、来賓として青山市長が「これからのまちづくりには、民間の力、地元の協力が欠かせない。市としても企業と地元が連携した地域創生のモデルケースとして発信していきたい」と期待を寄せた。
また、水車・発電機の製造国であるチェコ共和国のトマーシュ・ドゥプ駐日全権大使が「チェコと日本の関係が盛んになる好事例になる」と祝辞を述べた。
最後に野崎社長が「完成までに地元の皆さんと20回以上の会議を開いてきたが、これは私どもと皆さんがともに事業を進めてきた証しであり、建設委員会が3月に開いてくれた完成式での皆さんの満面の笑顔が事業を象徴している」とあいさつした。
落合平石小水力発電所の年間発電電力量は一般家庭300-400世帯分に相当する95万3000kW時で、全量を固定価格買取制度により中部電力に売電する。運転期間は20年間。総工費は2億5000万円。建設地は中津川市落合字平石1336-523。
岐阜県の中津川市付近は起伏の多い中山間地形のため、小水力発電に適した水量・未利用落差が多い。両社は、同市内の落合平石地区で大正時代につくられた歴史のある農業用水路の未利用落差(有効落差64m)に着目。農業用水路を活用することで建設コストを抑えるとともに、経年劣化が進んだ水路や取水設備を改修・更新し、将来の農業用水路の維持管理費用も軽減した。
維持管理の一部は、地元の中津川市落合土地水路管理組合に委託し、落合生産森林組合などとも連携。企業連携、地域連携、官民連携の3つを軸とした再生可能エネルギー事業の新たな事例として事業を進めていく。