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2015/11/17

水力とバイオマスで電力の27%を供給、地熱発電も始まる 【スマートジャパン】

2015年11月17日 09時00分
 鳥取県では太陽光からバイオマスまで5種類の再生可能エネルギーの導入が活発だ。農業用のダムを中心に県営の小水力発電所が続々と運転を開始する一方、民 間企業は木質バイオマス発電に取り組む。温泉水を利用した地熱発電所も稼働して、災害に強い分散型の電力源が県内に広がっていく。
[石田雅也,スマートジャパン]

 鳥取県は2011~2014年度の4年計画で「とっとり環境イニシアティブプラン」を実行した。施策の第1に「エネルギーシフト」を掲げて、再生可 能エネルギーを中心にした小規模・分散型の電源へ転換を進めることが最大の目的だ。というのも県内には火力発電所や原子力発電所がないために、長年にわ たって他県で発電した電力に依存してきた事情がある。

再生可能エネルギーの比率は水力を中心に2010年度の時点では24.6%だった。これを2014年度までに28.8%へ引き上げる目標を設定し て対策に取り組んだ結果、目標を上回る31.0%を達成することができた(図1)。太陽光・小水力・バイオマスを利用した発電設備が着実に拡大した成果 だ。

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図1 鳥取県の再生可能エネルギー比率(2014年度の発電量)。出典:鳥取県生活環境部

その中でも特に積極的に取り組んだのは、山間部における小水力発電所の建設である。4年間に県内4カ所のダムで小水力発電所が運転を開始したほか、農業用水路を利用した小水力発電も各地に広がり始めた。

ダムに建設した小水力発電所の中では、2015年3月に稼働した「下蚊屋(さがりかや)発電所」が最も新しい。周辺の山から流れてくる水を農業用 水として供給するダムの直下に建設した。ダムは堤体の高さが50メートル以上もあり、下流の自然環境を保護するために「河川維持放流水」を常に流してい る。この放流水を発電所に引き込む方式を採用した(図2)。

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図2 「下蚊屋発電所」の全景(上)、発電設備の構成(下)。出典:鳥取県西部総合事務所

発電能力は197kW(キロワット)で、年間の発電量は150万kWhを見込んでいる。一般家庭の電力使用量(年間3600kWh)に換算して 420世帯分に相当する。発電した電力は固定価格買取制度で売電するだけではなく、災害で停電が発生した時には周辺の地域に電力を供給できるシステムを導 入した(図3)。

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図3 「下蚊屋ダム」の所在地(上)、災害時の電力供給(下)。出典:鳥取県商工労働部

停電時に電力を供給する対象は、発電所が立地する江府町(こうふちょう)の2つの地区だ。町内をカバーする中国電力の配電設備に開閉器を取り付けて、電力の供給ルートを切り替えられるようにした。停電が発生しても2つの地区には小水力発電の電力を供給し続ける。
<h4> 古い水力発電所を再生させる</h4>

江府町の東側に隣接する倉吉市では、農業用水路に設置した小水力発電所が1952年から60年間にわたって運転を続けていた。用水路から県内で最 大のため池までの落差を利用した「南谷(なんこく)小水力発電所」である。ただし老朽化が進んで修理の頻度も多くなったことから、新しい発電設備に更新す ることになった(図4)。

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図4 「南谷小水力発電所」の所在地(上)、発電設備(下)。出典:鳥取県農林水産部

従来と同様の横軸フランシス水車を採用したが、発電能力は76kWから90kWに増やすことができた。新設備は2014年12月に運転を開始し て、年間の発電量は64万kWhを見込んでいる。発電所の建屋は県産の木材で造られている。地域の資源を利用した再生可能エネルギーのシンボルに位置づけ るためだ。

同様の取り組みは県西部の日南町でも見られる。2015年9月に運転を開始したばかりの「新石見(しんいわみ)小水力発電所」は、61年間も稼働を続けた旧・石見発電所の設備を全面的に更新したものだ(図5)。発電能力は従来と同じ90kWである。

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図5 「新石見小水力発電所」の全景(上)、導水管(下)。出典:鳥取県西部総合事務所

日南町では小水力発電に加えて340kWの太陽光発電所を2012年に稼働させた。いずれの発電所も日南町が建設して運営している。現在は町内の家庭(総世帯数2200世帯)が使用する電力の約半分を再生可能エネルギーで供給できるようになった。

鳥取県の再生可能エネルギーは水力と風力が先行していたが、最近になって太陽光とバイオマスが急速に増えてきた(図6)。2015年に入ってからは県内の間伐材を燃料に使う木質バイオマス発電所が運転を開始した。さらに日本海に面した温泉では地熱発電も始まっている。

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図6 固定価格買取制度の認定設備(2014年12月末時点)

・・以下略・・

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1511/17/news027_3.html

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