太陽光発電所で「地域の事業者を育てる政策が必要」と語る島村さん=いわき市
最終盤に入った衆院選(14日投開票)で、再生可能エネルギーの利用拡大をめぐる論戦が深まらない。福島第1原発事故を 受けて東北での関心が高まっているものの、普及促進には課題が山積みで各党が公約に掲げる対策も十分とは言い難いためだ。温室効果ガス削減でも役割が大き い再生エネだけに、事業関係者は「具体的な道筋を示してほしい」と議論の活性化に期待を寄せる。
<数値目標なし>
各党の公約要旨は表の通り。拡大を目指す方針で足並みをそろえるが、数値目標や工程表が伴わないなど全体に踏み込み不足が目立つ。
「風力や小水力を普及させるための規制緩和策を示してほしかった」。いわき市のNPO関係者らでつくる「いわきおてんとSUN企業組合」の島村守彦事務局長は不満を口にする。
組合は昨年、市内に出力49キロワットの太陽光発電施設を建設。市民にも協力を呼び掛け、設置作業を手伝ってもらった。来年度は福島県広野町内で増設し、売電収益を地域づくりイベントに充てる計画を進めている。
島村さんは「利益よりも地域振興を重視している。われわれのような事業者への支援を具体化してほしい」と強調する。
<乏しい根本策>
再生エネをめぐっては、東北電力を含む大手電力5社が今秋、固定価格買い取り制度に基づく一定出力以上の新規買い取りを中断。投資を予定していた発電事業者の反発を招いている。
こうした状況を踏まえ、一部公約には「中断解除を求める」などの文言が盛り込まれた。だが、必要になる送電網の増強策とそれに伴うコストの分担、抑制策など、根本的な解決の方向性についての言及は乏しい。
<「地域の声を」>
NPO法人環境エネルギー政策研究所(東京)の松原弘直主席研究員は「そもそも国が電源構成の目標を示していないのが問題」と指摘。その上で「地域の声を 政策に反映させる仕組みづくりをどう進めるか議論がもっと必要。市民や自治体が発電事業に参画しやすい環境を目指すべきだ」と話している。
2014年12月12日金曜日
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201412/20141212_11020.html