2014/11/10
山形県内で水道施設を活用した小水力発電の取り組みが拡大している。高い場所にある浄水場から地域全体に水を供給するための送水・配水設備の1つ「量水 所」で小水力発電を開始する。浄水場から送水管を流れてくる69メートルの落差を生かして、470世帯分の電力を供給することが可能だ。
[石田雅也,スマートジャパン]
山形県の南部にある鶴岡市で11月13日に「鶴岡量水所小水力発電所」が開所する。「量水所」は浄水場からの水を市内に複数ある配水池に供給するために、水道用水の量を計測する施設である。
鶴岡市の水道用水は月山(がっさん)をはじめとする周辺の山から流れてくる水を「朝日浄水場」で浄化してから、「鶴岡量水所」を経由して市内の各 地に送る体制になっている。浄水場と量水所のあいだを結ぶ送水管には69メートルの落差があり、その水力を生かして発電する仕組みだ(図1)。
発電能力は199kWで、年間に170万kWhの電力を供給することができる。一般家庭で470世帯分の電力使用量に相当する。発電した電力は全 量を固定価格買取制度で売電する方針だ。1kWhあたり34円(税抜き)の買取価格を適用して、年間の売電収入は約5800円を見込むことができる。買取 期間の20年間の累計では11億6000万円になる。
水車発電機は量水所に隣接する地下に設置した。既設の計量設備から配管を分岐して水車発電機に水を取り込む方式だ。水車は水力発電で最もポピュ ラーなフランシス水車を採用した(図2)。ステンレス製で水質に影響を及ぼさない。発電設備の事業費は約3億円で、売電収入によって十分に回収できる。
山形県内ではすでに2カ所の浄水場で2013年から小水力発電を実施しているほか、鶴岡量水所に続いて天童市の「天童量水所」でも小水力発電所の建設を進めている。天童量水所の小水力発電設備も鶴岡量水所と同様の仕組みで、2014年度内に運転を開始する予定だ。
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