2014/10/04
県が推進する簡易型小水力発電装置の普及事業で、ポンプなどの製造を手がける「大晃機械工業」(田布施町、木村晃一社長)が開発した水車型の装置「ピコルくん」が9月、山口市の農家に県内で初めて導入された。水路に置くだけで発電できる手軽さで、獣害防止用の電気柵のほか、環境学習での活用も期待されている。(井手祥雄)
県は、再生可能エネルギーの普及を念頭に、2016年度までに県内8か所に小水力発電の整備を目指している。ハウス内の電力もまかなえる発電量100キロ・ワット前後の装置の導入を検討しているが、設置費用が1億円を超える場合もある。
そこで、経済的負担の少ない簡易型の導入を検討し、同社に委託。昨年度、萩市と田布施町で実証事業を行った結果、安定的に発電できることが確認できたという。
事業を知った農家から導入したいという要望が県に届き、同社が製品化。自転車のライトと同様の発電器具を備えた水車(幅35センチ)で、発電量4・8ワット。LED(発光ダイオード)照明付きで、9万2500円で売り出すことにした。
初設置となった山口市下小鯖(しもおさば)の山本繁さん(65)は、自宅近くの小川から水を引き、9月下旬、用水路に置いた。蓄電も可能で、主に外灯として活躍している。山本さんは「昔は水車で水の流れを動力として使っていた。もっと水を有効活用する取り組みが広がってほしい」と話す。
県農村整備課によると、周南、宇部の両市と田布施町でも設置の動きがあり、農業法人などの団体で設置すれば、国や県の交付金制度も利用できるという。
大晃機械工業は「太陽光に続く自然エネルギーとして小水力は注目されている。電力の地産地消に協力したい」としている。
http://www.yomiuri.co.jp/local/yamaguchi/news/20141004-OYTNT50229.html