2014/07/15
日本工営(東京都千代田区、廣瀬典昭社長)と特定目的会社の長野水力(長野市、横田裕史社長)は、上高井郡高山村奥山田の高井砂防ダムを利用した高井水力発電所を建設する。2日に現地で関係者約50人が参加して安全祈願祭が行われた。
村内を流れる松川の未利用水を活用し、県が管理する高井砂防ダムの本堤に貫通孔を空けて取水し、直下に設置される発電所で発電する。発電した電力は固定価格買取制度に基づいて売電する。
日本工営が発電所の建設資金と技術者の提供を、長野水力が発電の事業主体として発電所の建設、運転、維持管理を行う。最大出力は420kW、年間発生電力量は約276万kWアワーで、一般家庭750軒分の使用量に相当し、村内全世帯の3分の1弱の電力をまかなうとされる。建設費は約7億円。運転開始は来年9月末の予定。
2011年3月の東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故を受けて再生可能エネルギー活用への機運が高まる以前から、日本工営、村や県などが建設へ向けて検討を重ねてきた。長野水力は日本工営の子会社として、日本工営が98%、村が2%を出資して昨年1月に設立された。
安全祈願祭で日本工営コンサルタント国内本部の高野登本部長は「既存の砂防ダムを活用するので自然への影響が少ない。環境学習にも利用してもらえれば」。長野水力の横田社長は「事業を軌道に乗せ、地域貢献にもつなげたい」。施工を担当する大林組の塙守幸執行役員は「小水力発電所は、自然と人間社会の共生のシンボルとして、地域活性化に大きく貢献できる。安全管理、環境への配慮、品質管理に留意し、誠心誠意取り組む」とあいさつした。
高山村の久保田勝士村長は「松川の酸性水の活用は村にとって長年の懸案事項だった。地球環境にやさしい村づくりを推進するうえで、大変意義のあることだ」と話した。【丸山啓介】
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