2014/01/17
福島県を代表する土湯温泉で来年度、温泉熱を使うバイナリー発電(出力400キロワット)と小水力発電(同137キロワット)事業を始動させる。事業費はバイナリー6億5千万円、小水力3億5千万円。再生可能エネルギーの普及につながるとして計1億6500万円の国の補助金がついた。
土湯温泉は、東日本大震災で建物の一部が壊れたり、福島第1原発事故の影響で、長期休業を余儀なくされる旅館、ホテルがいくつも出た。「県外からの観光客は皆無。震災直後に受け入れた避難者が仮設住宅などに移ると、先行きが見通せなくなった」。どん底の中、元気アップつちゆが立ち上がった。
小水力は4月、バイナリーは6月着工の予定。「100%売電し、利益は土湯の再生とまちづくりに還元する。地域活性化策としても注目されている」という。福島県は全電力を再生エネルギーで供給することを目指しており、その一翼を担う。「昨年1年間で800人以上が宿泊で視察に訪れた。12月には旅館1軒が営業を再開し、新たな希望が見えてきた」と期待する。
平成12年まで旅館を経営し、観光協会長も務めた。現在は社会福祉法人の施設に衣替えしたが、ずっと土湯を見守ってきた。
土湯温泉は、県内で初めて「道の駅」を誘致するなど、「知恵と力を絞った」取り組みで知られる。「再生エネ博物館をつくり、電気自動車(EV)を走らせ、冷却水を再利用した養殖事業にも参入し、土湯をエネルギーパークにする。土湯の再生を福島の復興につなげたい」と願う。(大塚昌吾)
■元気アップつちゆ 福島市土湯温泉町下ノ町17。湯遊つちゆ温泉協同組合が1800万円、NPO法人の土湯温泉観光まちづくり協議会が200万円出資し、平成24年10月設立。電気事業の運営は、傘下子会社2社が行う。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/140117/fks14011713000000-n1.htm