2013/08/09
小水力発電装置を独自に開発し、県内外に設置している上伊那郡辰野町の電機設備機器製造業倉沢久人さん(69)が、第37回山崎記念農業賞を受賞した。任 意団体の山崎農業研究所(東京)が主催する賞で、農業や農村環境の向上に寄与した個人や団体を対象としている。倉沢さんは、東京電力福島第1原発事故以降 の自然エネルギーの普及に貢献したと評価された。
27日に東京で表彰式があり、倉沢さんはこれまで取り組んできた小水力発電の事例について発表もした。2004年から小水力発電装置の開発に取り組み、同郡中川村の実家で稼働。以降、辰野町ほたる童謡公園の水路など公共施設を含め、県内外の30カ所近くに設置した。
倉沢さんによると、福島第1原発事故以降、福島県や原発のある新潟県柏崎市から多数の問い合わせが寄せられた。「福島は特に意識が高く、現地を見てほし いと言われて何カ所も回った」。ただ、水量など発電条件の合う場所を見つけることや、設置後に地元の人たちで維持管理を続けていくことは難しいという。8 月には、柏崎市の農家や福島県会津若松市の寺院に最大出力300ワットの装置を設置する予定がある。
小水力発電装置は採算面などから量産しにくい。倉沢さんも要望に応じて1人で作っている。「どこでも電気が作れることが小水力発電の魅力だが、日本のよ うにどんな田舎にも電気が普及していると、わざわざ小水力発電にする意味は薄い」と足元を見据える。8月で70歳になることから引退も考えたが、「まだ元 気なうちは続けたい」と話している。
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