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2013/12/25

中部電力が水力冷却水一部発電用に活用 【電気新聞:2013/12/25】

中部電力は、水力発電所の発電機の冷却水量を減らして発生電力量を増やす手法を開発した。熱が発電機の余寿命に与える影響を精査した結果、メーカーの推奨値より高温にしても実用上に問題はないと判断。減らした分の冷却水量を発電用水に回して増電につなげた。この手法を導入できる可能性がある同社水力すべてに適用した場合、想定増電量は年間200万キロワット時超と、メガソーラー(大規模太陽光発電所)2基分に相当すると試算している。

◆200万キロワット時上乗せも

この取り組みは、飛騨電力センター(岐阜県下呂市、樋口一成所長)エリアの久々野水力発電所(岐阜県高山市、3万8400キロワット)で行われた。この久々野水力と同型となる2万~3万キロワット以上の縦軸型の水力発電所は、中部電力エリア内に59カ所ある。久々野水力のように技術的課題や河川法をクリアでき、全社大に展開できるかの検討が現在進められている。

久々野水力の冷却水量は従来、毎分3200リットルだった。そこから水量を減らすにあたり、発電機コイルの温度が上昇し続けないことや、発熱が周辺機器に影響を与えないことなどを考慮し、900リットル削減の2300リットル(28%減)で運用。年間増電量は、約30世帯分にあたる11万1439キロワット時の効果が出た。

◆水、無駄にせず

そこからさらなる改善として、年間を通して冷却水量を一定にする必要はないと考えた。外気温や水温が低い時期はもっと削減できるとし、11~6月を季節運用期間と定めた。検証の結果、期間中は毎分1600リットルと当初から半減。年間の増電量は17万1402キロワット時で、約50世帯分に相当する効果だ。実証に参加した飛騨電力センター発変電課の南壽秀俊氏は「水一滴も無駄にしないよう、攻めの姿勢でさらに利益を出していきたい」と話した。

従来、運転温度と温度上昇警報値の幅は10度を確保していた。この幅を冷却水を減らすにあたり3度まで引き下げたが、同課の水口利彦副長は「実績を積み上げれば、もっと幅を狭くできそう」と、引き続き改善を推進する姿勢だ。

◆落ち葉きっかけ

そもそも実証のきっかけは、水圧鉄管内で冷却水のごみをとる「ストレーナ」の落ち葉詰まりだった。久々野ダムは落葉が多く、久々野水力では毎年秋に4~5回ほど断水して掃除していた。ストレーナが詰まると冷却水が減り、設備故障につながりかねない。掃除は手間がかかるだけでなく、発電が止まるため収支に悪影響を及ぼす。

それら課題を解決するため、水の流速に注目した。ストレーナは、冷却水用に水を送るところに位置する。冷却水は水量と流速が一定だったため、発電用水側の流速を上げれば落ち葉が詰まりにくくなると考えた。この検討を進めていく中で、冷却水量の削減という発想が生まれた。

保守の負担を減らす目的から、冷却水量の削減という新たな視点に着目し、電力量の増電につながった。

同課の池戸貴義氏は「考え方一つで、全然違う結果。発想の転換だった」と話す。冷却水量の削減は発電所でバルブを操作して行うため「設備投資をせず増電できた」ことの意義も強調している。

紙面より転載

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