2017/06/24
2017年6月24日掲載
再生エネルギーの普及促進のため、東吾妻町が進めてきた「箱島湧水」を活用した小水力発電施設が完成し、22日に通電式があった。民間資金や技術などを活用する「PFI方式」を県内の自治体で初めて採用し、約60年ぶりに箱島湧水での発電が復活した。
町によると、箱島湧水は鳴沢川の起点で、湧水量は日量約3万トン。1985年に「名水百選」に選ばれている。年間を通じて水量がほぼ一定しているほか、最大有効落差が82メートルあることから、1910(明治43)年、民間の発電所が設置され、戦後、東京電力が継承。老朽化で56年に廃止されるまで稼働した。
今回の発電事業にあたり、町は建設会社「ヤマト」(前橋市)が100%出資する子会社と契約を締結。設計・建設のほか、20年間にわたる運営業務はヤマト側が行う。建設事業費は約3億8000万円。
発電施設は町に無償譲渡され、年間約4500万円の東電への売電収入のうち1200万円程度が施設使用料として町に支払われる。
町としては、建設・運営費の負担がないうえ、運営上のリスクを避けられるメリットがあるという。町の担当者は「災害時の非常用電源確保にも利用できる」と話している。【吉田勝】