2016/08/12
2016年8月12日掲載
【施設更新は水路1500㎞ 機場210ヵ所】
食料・農業・農村政策審議会(農林水産相の諮問機関)は、2016-20年度の5年間を計画期間とする「新たな土地改良長期計画案」について、「適当であると認められる」と山本有二農水相に9日付で答申した。政策目標として、老朽化や災害リスクに対応した農業水利施設の戦略的な保全管理と機能強化など6項目を掲げ、12の政策を集中的に実施する。政策目標ごとに、更新などに着手する基幹的農業水利施設は水路約1500㎞、機場など約210カ所といった事業量を示した。新長期計画は今月下旬の閣議決定を見込む。
新計画は、TPP(環太平洋経済連携協定)の大筋合意を始め、農業・農村を取り巻く情勢が大きく変化したことなどを踏まえ、計画期間を1年前倒しして策定することになった。
政策目標ごとの主な事業量は、「産地収益力の向上」が水田の大区画化8万3000ha、畑の区画整理・排水改良3万1000ha、畑地かんがい施設の整備2万5000haなど。「担い手の体質強化」は、水管理などでのICT(情報通信技術)を始めとした省力化技術の導入地区割合8割以上など、「農村協働力と美しい農村の再生・創造」が、地域共同活動による 農地・農業用水などの保全管理面積280万haとなっている。
「快適で豊かな資源循環型社会の構築」では、農業利水施設を活用した小水力発電電力量のうち、かんがい排水に使う電力量の割合を3割以上とし、120地区で小水力発電施設を整備する。また、農道橋と農道トンネルの機能保全計画の策定率を100%とする指標を掲げ、3100カ所の農道橋と200カ所の農道トンネルの機能保全計画を策定する。
農業水利施設の老朽化・災害リスク対応では、▽水路1500㎞と210カ所の機場などの更新に着手▽2400地区で各種防災事業を実施▽耐震対策が必要な重要度の高い国営造成施設のうち17カ所で耐震化計画策定▽水路9000㎞と2200カ所の機場などで機能診断を実施▽機能保全計画の策定は水路1万3000㎞、機場など2500カ所▽耐震照査をする重要度の高い国営造成施設110カ所--の事業量を示した。
地域の防災・減災力強化では、100土地改良区でBCP(業務継続計画)を策定するほか、防災重点ため池5000カ所で、ハザードマップなどのソフト対策を進める。