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2016/05/09

再生可能エネルギーで新たな補助金、発電と熱利用に最高3億円【スマートジャパン】

2016年5月9日掲載
政府は再生可能エネルギーによる発電設備や熱利用設備を全国に広めるため新しい補助金制度を開始した。固定価格買取制度を適用しないことが条件で、導入費用の3分の1から3分の2を補助する。太陽光からバイオマスまでの5種類に加えて、地中熱や雪氷熱を利用する設備も対象になる。
[石田雅也,スマートジャパン]

全国の民間企業を対象にした「再生可能エネルギー事業者支援事業費補助金」の公募が4月28日(木)に始まった。経済産業省が総額33億5000万円の予算を投入して実施する新しい補助金制度で、200カ所の導入を目標に再生可能エネルギーの利用設備を拡大する狙いだ。

補助金の対象には再生可能エネルギーの熱を利用する設備と発電に利用する設備の両方を含む(図1)。いずれも導入に必要な設計費・設備費・工事費の合計額の3分の1までを補助する。さらに先進的な取り組みで自治体が認定した設備に対しては、補助率を3分の2まで引き上げる特例もある。

図1 補助金の対象になる再生可能エネルギー利用設備。出典:環境共創イニシアチブ

熱利用では太陽熱・雪氷熱・地中熱・バイオマス熱のほかに、海水や下水などの温度差をエネルギーとして利用する設備も対象になる。補助額は1件あたり最高で3億円と高額だ。ただし熱を利用する施設で再生可能エネルギーの比率を10%以上に維持できるか、年間の発熱量を200GJ(ギガジュール)以上に増やす必要がある(図2)。200GJは電力に換算すると約5万6000キロワット時に相当する。

図2 再生可能エネルギー熱利用設備の要件。GJ:ギガジュール(1GJ=約280キロワット時)。出典:環境共創イニシアチブ

一方の発電設備の対象は太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスの5種類で、固定価格買取制度と同じだ。買取制度を適用しないで自社の施設で電力を消費する場合に限る。再生可能エネルギーの電力を有効に活用するために蓄電池を併設すると補助金の対象に加えることができる。発電設備の1件あたりの補助額は最高1億円で、熱利用の設備と比べると3分の1に抑えられている。

発電能力は10kW(キロワット)以上が必要だが、地熱発電だけは制限を設けない。水力発電は10~1000kWの小水力発電に限定する。バイオマス発電では燃料に占めるバイオマス(動植物由来の有機物)の比率を60%以上に維持する必要がある。この条件はバイオマスの熱利用や燃料製造の設備にも適用する。

自治体向けに60億円の補助金も開始
補助金の申請は9月9日(金)まで、環境共創イニシアチブで受け付ける。この間に4回に分けて交付先を決定する(図3)。新しい補助金制度のため申請状況を見ながら予算を配分していく。予算額を超過した場合の対応方法については現在のところ未定だ。

図3 補助金の公募期間と交付決定日。出典:環境共創イニシアチブ

補助金の交付先を決定する審査は12項目にわたって実施する。設備の要件や費用の妥当性に加えて、実施体制や保守計画、再生可能エネルギーの導入効果も確認することになっている(図4)。バイオマスの場合には原料の入手先や調達量を確保できていることも審査の対象になる。

図4 補助金の交付先を決める審査項目(画像をクリックすると各項目の評価基準も表示)。出典:環境共創イニシアチブ

民間企業を対象にした補助金制度が始まったことに合わせて、環境省は自治体を対象に同様の補助金制度を創設して5月2日(月)に公募を開始した。予算額は民間企業向けを上回る総額60億円である。再生可能エネルギーの種類は民間企業向けの補助金と同じで熱利用と発電の両方が対象だ。

全国の政令指定都市を除いて導入費の3分の2までを補助する。補助金に上限は設けないため、大規模な設備でも適用できる。日本環境協会が6月10日(金)まで申請を受け付けて、7月末に交付先を決める予定だ。予算額に到達しない場合には2次公募を実施する可能性がある。

政府が民間企業と自治体の双方を対象に始めた再生可能エネルギーの補助金制度だが、実際にどのくらい利用されるかは未知数だ。特に発電設備は自家消費が条件になっているため、土地や施設を所有している企業や自治体でなければ適用しにくい。採算性の点で固定価格買取制度を上回るメリットが得られるかどうかも重要なポイントになる。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1605/09/news036.html

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