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2016/04/12

ニュース一覧へ ニュース 福岡工業大、落差がなくても発電できる小水力発電機 農業用水路に低コストで設置【日経テクノロジー】

2016年4月12日掲載

 福岡工業大学は、落差のない水路でも発電できる小水力発電機「フラッター水力発電装置」を開発した(図1)。工学部知能機械工学科教授の阿比留久徳氏によるもので、飛行機の翼などが風や気流を受けて起こす振動「フラッター現象」を応用している。農業用水路などに低コストで設置できるのが特徴だ。

 開発機は従来の水車を利用した発電装置と異なり、水中翼が流れに対して左右に往復運動して発電する(図2)。流れに対して傾きを持たせることで水中翼を動かす力が発生し、端まで動いた水中翼は自動で向きを変えて反対側へ動く。水中翼につながった機械構造は、蒸気機関車のピストンに似た動きで発電機を一方向に切れ目なく回転させられる。これにより、効率的に発電できるという。

 従来の水力発電装置は、水流によって水車やプロペラを回す形式が多い。この形式の場合、水路に滝のような落差を作らなければならず、費用がかかる。それに対して開発機は、上記のような仕組みのため落差が不要で、普通の水流でも十分に発電できるという。その上、高速回転部がない構造でごみが付着したり詰まったりしにくく、人や水中に住む生物に対する安全性にも優れる。

 現状、農業用水路を利用した小水力発電へのニーズは高いものの、設置工事や発電装置そのものにかかる費用、周辺の生態系への影響、設置後の維持管理といった課題から、普及は進んでいない。開発機は、そうした場所でのニーズに応えられるとしている。例えば、専用の導水路が要らず利水に影響しないので、設置への合意を得やすい。構造がシンプルで稼働状況を目視で確認しやすいため、カメラを使った遠隔監視や地域住民によるメンテナンスも可能だ。1m/秒と低流速から発電できる一方、大雨時などの速い流れに対しては、水中翼の破損を防ぐように角度を調整できる。

 開発機の発電量は、水流が1m/秒の場合で約50W。原理的には大型化したり複数台を設置したりすることで、水路の深さや幅、水量に応じて発電量を増やすこともできる(図3)。LED街灯の点灯や非常用電源、電動農機具の夜間充電といった用途への利用が期待でき、現在、電池への充・放電の組み合わせを制御する研究も進めているという。

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/041201562/

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