2016/04/11
千葉大学と環境エネルギー政策研究所が2007年から続けている「永続地帯」の研究結果で明らかになった。この研究では自治体ごとに再生可能エネルギーの供給量と食料の生産量を調べて、日常生活に欠かせないエネルギーと食料の自給率をもとに地域の永続性を評価する。再生可能エネルギーの太陽光・風力・小水力・地熱・バイオマスによる発電量をもとに電力の自給率を算出した結果、都道府県別では大分県が38.6%で1位になった(図1)。大分県には大規模な地熱発電所が集まっていて、再生可能エネルギーの発電量のうち半分近くを地熱発電で供給している。
市町村別に見た電力の自給率でも大分県の九重町(ここのえまち)が圧倒的な1位だ(図2)。日本最大の地熱発電所である「八丁原(はっちょうばる)発電所」をはじめ、大規模な地熱発電所が3カ所で運転中で、電力の自給率は実に2000%を超える。
第2位と第3位は長野県の南部に位置する2つの村である。高い山が連なる南アルプスから流れてくる川を利用して、水力発電が盛んな地域だ。続く第4位と第5位は熊本県の南部にある2つの村で、同様に水力発電所から大量の電力を供給できる。いずれも自給率は1000%以上に達する。
電力の自給率が100%を超える市町村は2015年3月末の時点で100カ所になった。1年前と比べて5つの市町村が加わった。小さな町や村が多い中で、市でも自給率が100%を超えているところが全国で9カ所ある。秋田県の鹿角・にかほ・湯沢の3市のほか、新潟県の糸魚川市、岩手県の八幡平市、福島県の田村市、徳島県の三好市、石川県の珠洲市、大分県の由布市である。
増加率は茨城県がトップ、太陽光とバイオマスが拡大</h4> 再生可能エネルギーは熱としても利用できる。「永続地帯」の調査では電力のほかに太陽熱・地熱・バイオマス熱を加えて、電力と熱を合わせたエネルギーの自給率も算出している(図3)。
エネルギーの自給率が10%以上に達した県は前回の調査(2014年3月末時点)から7県も増えて、合計で21県になった(図4)。大分県を筆頭に九州が5県で最も多く、東北と関東・甲信越が4県ずつ、中部が3県を占めている。
特に九州の各県の伸びが顕著で、中でも宮崎県は9.5%から15.8%へ6ポイント以上も上昇した。宮崎県ではバイオマス発電が3倍以上に拡大したほか、太陽光発電も2倍に増えている。そのほかの県でも太陽光発電の増加が自給率を引き上げた大きな要因だ。
代表的な例が茨城県である。電力と熱を合わせた再生可能エネルギーの供給量は1年間で83%も増えて、増加率では47都道府県でトップの伸びを記録した。太陽光発電が2.6倍に、バイオマス発電が1.6倍に増えている。これで太陽光発電の供給量は全国で2位、バイオマス発電も3位に拡大した。自給率は5.2%から9.4%へ上昇している。
全国すべての都道府県で再生可能エネルギーの供給量は増加した(図5)。増加率が50%を超えた県は10県にのぼる。大都市圏でも東京都が30%増、大阪府が47%増で順調に拡大している。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1604/11/news028_2.html