2014/11/21
地域づくりに向けた小水力発電の可能性を話し合ったシンポジウム=20日、長野市
農業用水などを利用した小水力発電の普及を目指す第5回「全国小水力発電サミット」が20日、長野市を主会場に3日間の日程で始まった。初日は、 再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)の調達価格等算定委員会委員長を務める植田和弘・京都大大学院教授が講演。「日本は資源のない国という 枕ことばはもうやめるべきだ」と、小水力発電などを生かした地域づくりの意義を訴えた。
植田教授は、電力5社が送電網能力の限界を理由にFITの手続きを中断している問題に触れ、「FITは(東京電力福島第1原発事故を機に)再エネを急速に増やそう、資源を大事に使っていこうと始まった」と述べ、原点に立ち戻る大切さを強調した。
「地域がエネルギーづくりを自ら担い、どこにどう造るかを自ら決め、社会的・経済的利点を地域が得る3原則」に沿った再エネ開発は、今は地域外に流出している電気代やガス代を地域内で循環させる大きな利点があるとした。
パネル討議では、再エネ開発や支援などに取り組む県内外の女性5人が、小水力や太陽光による発電の試みを地域に広げた体験を披露。これとは別に、集落約 100世帯がほぼ全戸出資し、小水力発電に取り組む岐阜県郡上市の事例も報告され、地域の絆が強まり、移住してくる子育て世代が相次いでいることも紹介さ れた。
21日は長野市若里の信州大工学部で、午前9時以降に「小水力発電の事業計画づくりとその進め方」など六つの分科会で議論を深める。
http://www.shinmai.co.jp/news/20141121/KT141120FTI090028000.php