2014/11/15
空調メーカーのダイキン工業が小型の小水力発電システムを開発した。エアコンのモーターやインバータなどの技術を応用して、水車と発電機をコンパクトな パッケージにまとめた。発電能力は最大で22kWを発揮する。小水力発電が盛んな富山県で実証実験を開始して商品化を目指す。 [石田雅也,スマートジャパン]
全国各地にある農業用水や上下水道を利用して、小水力発電に取り組む事例が急速に増えている。水路を流れる水のエネルギーは水車発電機を使って電 力に転換しやすい。ダイキン工業は環境省の「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」の補助金を受けて、狭い水路でも設置できる小型の小水力発 電システムを開発した。
水車発電機とパワーコンディショナーを組み合わせたシステムで、水路に設置する水車発電機を小型のパッケージにまとめた点が特徴だ(図1)。水車 発電機はポンプを逆回転させて発電する「ポンプ逆転水車」を採用した。ダイキン工業が得意とするエアコン用のファンの流体解析技術を応用して発電効率を高 めた。発電能力は最大で22kWを発揮する。
さらに発電機とコントローラを水車の上部に配置することで横幅を小さく抑えた。水車発電機全体の大きさは横幅93×奥行き55×高さ130センチ メートルである。管水路に直結する構造になっていて、上下水道の送水管や工場の排水管などに設置することができる。年間の発電量は最大で13万 5000kWh程度を見込める。一般家庭で38世帯分の電力使用量に相当する。
ダイキン工業は商品化に向けて、開発した小水力発電システムの実証実験を11月19日から富山県の南砺市(なんとし)で開始する。市内の「森清 (もりきよ)配水池」に小水力発電システムを設置して、2015年4月まで実証実験を続ける予定だ。設置場所の水流の落差や水量により、発電能力は最大で 15.3kWになる見込みである。
年間の発電量は9万8000kWhを想定している。発電した電力は全量を北陸電力に売電する。ダイキン工業は実験設備の発電能力を検証しながら商品化を進めていく。現時点で発売時期や価格帯は決まっていない。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1411/14/news022.html