2014/10/22
茅野市は21日から、市の上水道施設を利用した小水力発電事業の実証実験を始める。八ケ岳山麓にある美濃戸水源と上原山配水池の標高差(40~45メートル)から生じる水圧で発電機を回し、電気を取り出す新たな試み。21日には柳平千代一市長が同市玉川の現地を視察し、「茅野モデル」としての実用化と全国的な普及に意欲を示した。
同事業は、産学官連携で自然エネルギーの利用を推進する「茅野市環境未来都市研究会」の取り組みの一つ。発電装置は、動力ポンプ製造メーカーの小松製作所(諏訪市)が国の補助金を活用し、2年掛かりで開発した。
具体的には、配水池の減圧弁をう回する管路を設けて発電機を接続し、減圧弁で捨てていた未利用エネルギーを電気に変換する。市は、発電機を収納する仮設建屋の建設工事を7月下旬から進めていた。
市によると、理論上の発電出力は12.75キロワット。一般的な小水力発電の発電効率(30~60%)で換算した場合、一般家庭7~14世帯分を賄う電力量を確保でき、売電すれば年127~254万円の収入になる。小水力発電には、昼夜を問わず安定的に発電できる優位性があるという。
実証実験は11月5日までに計5日間行い、流量を調整して発電量の変化を調べたり、発電機の性能を検証する。市は、より効率的な発電ができる市内の上水道施設を選定し、早ければ来年度の実用化を目指す方針。実験費用は建屋建設費を含めて約950万円(発電機導入費除く)で、小松製作所が請け負った。
柳平市長は「自然エネルギーの地産地消を諏訪圏域の企業と取り組むことに大きな意味がある。いい形で汎用性を持たせて『茅野モデル』として全国展開できれば」と話した。
研究会は、一帯を自然エネルギー関連施設の集積地にする構想で、民間企業によるメガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設も進んでいる。
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