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2014/01/08

鉄道トンネルの思わぬ利用法、湧水が電力を生む【スマートジャパン】

JR西日本は鉄道事業者として初めて、鉄道トンネルの湧水を使った小水力発電のフィールド試験を開始する。売電事業というより、自社施設が生み出す再生可能エネルギーを有効利用するための試みだ。
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 JR西日本は2014年1月から、鉄道トンネルの壁面にわき出す水を使った小水力発電のフィールド試験を開始する。鉄道事業者として初の試みだという。邪魔な湧水の思わぬ活用策だといえるだろう。
 同社が選んだのは北陸本線にある「北陸トンネル」。敦賀駅(福井県敦賀市)と南今庄駅(福井県南越前町)を結ぶ全長約14kmの鉄道専用トンネルだ(図1)。1962年に開通した当時は日本最長のトンネルとして知られていた。新幹線用などを除けば現在でも日本最長の鉄道用トンネルである。
 ただし、北陸トンネルを試験対象として選んだ理由は長さではない。「当社には新幹線と在来線を合わせて約1200のトンネルがある。環境負荷の低減を目的に小水力発電に取り組む際、湧水量と落差の2つの条件を満たすトンネルを捜していた。全トンネルの調査は完了していないものの、北陸トンネルが条件を満たしていた」(JR西日本)。北陸トンネルの湧水量は毎秒0.17m3、落差は1.4mだ。
 同社によれば、フィールド試験の目的は2つある。「1つは三菱電機から調達した縦軸クロスフロー水車*1)の性能を確認し、現場に合わせて一部を改修することだ。もう1つは時間をかけて確実に発電できるかどうかの確認だ」(同社)。縦軸クロスフリー水車は小水量・低落差でも発電できることから選択した。フィールド試験には2015年3月末まで1年以上をかける。
*1) 三菱電機プラントエンジニアリングによれば、直方体の筐体の下部に水車を置き、増速機を経て、上部に発電機を配置した一体型の構造を採る。電圧や周波数を安定させる電力供給装置と接続することで、電源として機能するという。

 水車と発電機を設置するのはトンネルの南側(敦賀側)である(図2)。線路脇にある湧水排水路に機器を設置する。出力は1.2kW、想定年間発電量は約1万kWhである(図3)。「年間発電量は一般家庭の3世帯分の消費電力量に相当する。今回は近くに当社の事務所があるため照明用電力として使い、余った分は北陸電力に無償譲渡する。1200のトンネルのうち適地に展開を検討しており、事務所や駅の他、トンネル内照明に役立てたい。売電収入を得るというよりも再生可能エネルギーの有効利用を狙っている」(同社)。

 なお、同社は小水力以外にも再生可能エネルギーの利用に取り組んでいる。大阪駅ではホームの西側屋根に太陽電池モジュールを448枚設置済みであり、年間9万kWの発電を見込む。駅の消費電力の約25%をまかなっているという。山口県では社有地に出力5MWのメガソーラーを建設中だ。2014年度冬の完成を目指す。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1401/08/news029.html

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