2016/01/28
2016年1月28日
鳥取県日南町三吉の土砂災害について、同町は27日の町議会全員協議会で説明した。斜面崩落の原因について、町の小水力発電の水路で水があふれ、斜面内に浸透したことが崩落を誘因したとみられると報告した。
全員協議会には増原聡町長ら執行部3人が出席。被害の概要や経過、現地調査の結果を説明した。
報告によると、現場では事故が発生した25日の1週間前から計100ミリ程度の降水量があり、当日は午前2時50分ごろから小水力発電の上水槽の水位が通常より約50センチ上昇。上流から運ばれてきた雪塊が水をせき止めたためあちこちであふれ出し、水の浸透による地下水位の上昇が斜面の崩落につながったと推測される。
増原町長は「町として責任を免れるものではない。原因究明をしっかりしたい」と強調。取材に対し「被害を受けられた人には、しっかりと対応したい」と話した。
2016/01/16
2016年1月16日
県内での地域主体の再生可能エネルギー導入をさらに進めようと、市民団体「市民エネルギーとっとり」が「鳥取地域エネルギー協議会」(仮称)の設立準備を進めている。県や土地改良区、金融機関などと準備会を重ねており、来年度中にも設立して情報共有や事業化の支援に取り組むという。【太田裕之】
県の「協働提案・連携推進事業」の補助金を2014年度に受け、同年度に3回、15年度は11月と12月に準備会を開いた。県の次世代エネルギー推進室と参画協働課、鳥取信用金庫、山陰合同銀行、鳥取銀行、県土地改良事業団体連合会、県小水力発電協会、県太陽光発電システム取扱事業者協議会などが参加。温暖化防止に取り組むNGO「気候ネットワーク」主任研究員の豊田陽介さんをアドバイザーに、太陽光発電や小水力発電を実践している県外の専門家も招いて意見交換している。
県は11~14年度の「とっとり環境イニシアティブプラン」で、県内の再生可能エネルギー導入量を10年度末の66万キロワットから76万キロワットに上げる目標を設定し、14年度末には80万キロワット(達成率105・5%)に増やした。今年度中に次期プランを策定中で、平井伸治知事は昨年12月の定例県議会で「90万キロワット以上の目標を考えるべきだ。再生可能エネルギーなどによる県内のエネルギー自給率は現在、住宅の80%をまかなえるが、100%を目指す」などと述べている。
一方、これまでは民間企業や行政による導入が多かった。地域主導の事業としては、市民エネルギーとっとりが14年に鳥取市で10・48キロワットの太陽光発電所を稼働させ、市民から出資を募って4カ所計約360キロワットを計画しているが、他に目立った動きはない。県次世代エネルギー推進室は「これまで地球温暖化対策として県外の企業であっても導入量を増やすことに力を入れてきたが、今後は地域をキーワードにしたい」と話す。
昨年11月の準備会では豊田さんが地域主導の意義について「お金の流れが変わり、経済が循環する。手間はかかるが仕事が生まれる」と強調。全国小水力利用推進協議会理事で高知県を中心に活動する会社組織「地域小水力発電」を設立した古谷桂信さんも「小水力発電は地域の人と一緒でないとできず、地域密着度が強い。鳥取にも適地はまだまだある」などと話した。
東京・多摩地区の大学などの公共施設で太陽光発電を進めた多摩電力合同会社の前代表で地域エネルギー会社「たまエンパワー」の取締役、山川陽一さんは「鳥取県は資源がふんだんにあってうらやましい限り。自然エネルギー100%は東京では無理だが、鳥取では現実味がある。官民一体で全国のモデルになれる」と期待を寄せた。
準備会は12月にも開き、電力自由化や金融機関の地域貢献などについて意見交換した。今年2月にも鳥取ガスと「とっとり市民電力」を設立した鳥取市の話を聴く予定だ。協議会は市町村にも参加を呼びかけ、広く情報や認識を共有する場としつつ、具体的に地域で事業化の動きが出てきた際に技術面や資金面で支援する専門家会議のような機能も併設する形で来年度中の設立を目指すという。
市民エネルギーとっとりの手塚智子代表は「エネルギーで自立した持続可能な地域づくりを、地元の人たちが主体となって進めていきたい」と話している。
2015/11/17
2015年11月17日 09時00分
鳥取県では太陽光からバイオマスまで5種類の再生可能エネルギーの導入が活発だ。農業用のダムを中心に県営の小水力発電所が続々と運転を開始する一方、民 間企業は木質バイオマス発電に取り組む。温泉水を利用した地熱発電所も稼働して、災害に強い分散型の電力源が県内に広がっていく。
[石田雅也,スマートジャパン]
鳥取県は2011~2014年度の4年計画で「とっとり環境イニシアティブプラン」を実行した。施策の第1に「エネルギーシフト」を掲げて、再生可 能エネルギーを中心にした小規模・分散型の電源へ転換を進めることが最大の目的だ。というのも県内には火力発電所や原子力発電所がないために、長年にわ たって他県で発電した電力に依存してきた事情がある。
再生可能エネルギーの比率は水力を中心に2010年度の時点では24.6%だった。これを2014年度までに28.8%へ引き上げる目標を設定し て対策に取り組んだ結果、目標を上回る31.0%を達成することができた(図1)。太陽光・小水力・バイオマスを利用した発電設備が着実に拡大した成果 だ。
その中でも特に積極的に取り組んだのは、山間部における小水力発電所の建設である。4年間に県内4カ所のダムで小水力発電所が運転を開始したほか、農業用水路を利用した小水力発電も各地に広がり始めた。
ダムに建設した小水力発電所の中では、2015年3月に稼働した「下蚊屋(さがりかや)発電所」が最も新しい。周辺の山から流れてくる水を農業用 水として供給するダムの直下に建設した。ダムは堤体の高さが50メートル以上もあり、下流の自然環境を保護するために「河川維持放流水」を常に流してい る。この放流水を発電所に引き込む方式を採用した(図2)。
発電能力は197kW(キロワット)で、年間の発電量は150万kWhを見込んでいる。一般家庭の電力使用量(年間3600kWh)に換算して 420世帯分に相当する。発電した電力は固定価格買取制度で売電するだけではなく、災害で停電が発生した時には周辺の地域に電力を供給できるシステムを導 入した(図3)。
停電時に電力を供給する対象は、発電所が立地する江府町(こうふちょう)の2つの地区だ。町内をカバーする中国電力の配電設備に開閉器を取り付けて、電力の供給ルートを切り替えられるようにした。停電が発生しても2つの地区には小水力発電の電力を供給し続ける。
<h4> 古い水力発電所を再生させる</h4>
江府町の東側に隣接する倉吉市では、農業用水路に設置した小水力発電所が1952年から60年間にわたって運転を続けていた。用水路から県内で最 大のため池までの落差を利用した「南谷(なんこく)小水力発電所」である。ただし老朽化が進んで修理の頻度も多くなったことから、新しい発電設備に更新す ることになった(図4)。
従来と同様の横軸フランシス水車を採用したが、発電能力は76kWから90kWに増やすことができた。新設備は2014年12月に運転を開始し て、年間の発電量は64万kWhを見込んでいる。発電所の建屋は県産の木材で造られている。地域の資源を利用した再生可能エネルギーのシンボルに位置づけ るためだ。
同様の取り組みは県西部の日南町でも見られる。2015年9月に運転を開始したばかりの「新石見(しんいわみ)小水力発電所」は、61年間も稼働を続けた旧・石見発電所の設備を全面的に更新したものだ(図5)。発電能力は従来と同じ90kWである。
日南町では小水力発電に加えて340kWの太陽光発電所を2012年に稼働させた。いずれの発電所も日南町が建設して運営している。現在は町内の家庭(総世帯数2200世帯)が使用する電力の約半分を再生可能エネルギーで供給できるようになった。
鳥取県の再生可能エネルギーは水力と風力が先行していたが、最近になって太陽光とバイオマスが急速に増えてきた(図6)。2015年に入ってからは県内の間伐材を燃料に使う木質バイオマス発電所が運転を開始した。さらに日本海に面した温泉では地熱発電も始まっている。
・・以下略・・
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1511/17/news027_3.html
2015/09/16
2015年9月16日
鳥取県日南町が同町三吉で整備を進めていた「町新石見小水力発電所」が16日、完成する。同町で再生可能エネルギーによって発電される電力は、町内の電力消費量の約49%に相当。来年には別の小水力発電所も完成し、約60%に達する見通しとなっている。
16日に完成する新石見小水力発電所=14日、日南町三吉
新石見小水力発電所は、旧施設が稼働60年以上経過して老朽化したため、町小水力発電公社から譲り受けて改良。当時は集落の電気を確保する目的で造られた。
九塚川から延長約1・2キロの水路で水を運び、落差を利用して施設内の水車で発電。水は石見川に放水する。最大出力は・・・・
2015/06/13
農業用水を貯水する国営下蚊屋(さがりかや))ダム(江府町助沢)を利用した県の下蚊屋小水力発電所の工事が完了し、7月3日から運転を始める。東日本大震災以降、県が推進する再生可能エネルギー事業の一環。年間約5600万円の売電収入を見込み、経費を除いた収益は施設の維持管理に使う。県建設の小水力発電所は12カ所目。
設置主体は県で、下蚊屋ダムの農業用水を利用する八つの土地改良区で作る「大山山麓地区土地改良区連合」が運営する。最大出力は197キロワット、年間発電量は1536メガワット時で、一般家庭430世帯分に当たる。
農林水産省の補助を使い、2012年度に事業に着手。総事業費は3億4300万円で、国が50%、県が25%、米子▽江府▽伯耆▽大山の4市町が計25%を負担した。
県農地・水保全課によると、発電所で使う電力を除いた全量を固定価格買い取り制度(FIT)で中国電力に売る。発電費用などを除き、ダムの水を使う地区の貯水池や配管など農業水利施設の維持管理費に充てる。
27日に下蚊屋ダム下流の広場で開所式を行う予定。【真下信幸】
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi_region/region/mainichi_region-20150613ddlk31040619000c.html