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2015/09/20

面白峡発電所:大多喜・小水力発電施設、完成 環境学習や観光資源に活用 /千葉【毎日新聞】

2015年09月16日 地方版
官民共同事業で稼働した大多喜町の「面白峡発電所」。急な斜面に、古い導水管(右)と並行して新しい導水管が設置された
官民共同事業で稼働した大多喜町の「面白峡発電所」。急な斜面に、古い導水管(右)と並行して新しい導水管が設置された
 大多喜町面白地区に養老渓谷の地形を利用した小水力発電施設「面白峡(おもじろきょう)発電所」が完成し、発電を始めた。町と総合設備会社の関電 工(本社・東京都港区)の共同事業で、自治体による小水力発電は県内で初めて。東京電力福島第1原発事故後、再生可能エネルギーの利用に関心が高まってお り、町は地球温暖化対策などの環境学習や観光資源としても活用したい考えだ。
 1960年に撤退した東電の旧老川発電所の跡地を活用した。町が現在所有している土地を提供し、関電工が3年前から発電所小屋や導水管などを建設した。総工費は1億6400万円。1年かけて試運転や調整を続け、今年8月に正式稼働にこぎ着けた。
 発電方法は「水路式流込方式」。同町粟又で養老川から取った水を約2キロ下流の面白の貯水槽にため、そこから約97メートルの導水管で43・5 メートル下の施設に水を落とし、発電水車を回して発電する。使われた水は養老川に戻す。最大出力は130キロワットで、一般家庭約130世帯分の発電を目 標にしている。電気は関電工が東電に売り、町は関電工から発電所にかかる経費を受け取る。
 当初は、昨年度中に稼働する計画だった。町環境水道課は「養老川の水量が年間通して一定ではないため安定した発電能力の調整に時間がかかり稼働が遅れた」と話している。
 小水力発電所は河川や農業用水などの水を利用して発電する仕組みで、最大出力は1000キロワット未満のもの。環境負荷が少ない上、太陽光や風力に比べて天候の影響が少なく、安定的に電力供給できるのが特徴で、全国で広がっている。【吉村建二】

http://mainichi.jp/area/chiba/news/20150916ddlk12020352000c.html

2014/04/06

大多喜町の面白地区 小水力発電所完成し試運転【東京新聞】

 大多喜町が養老渓谷の渓流を利用して建設した小水力発電所が完成し、本年度中の本格稼働を目指して試運転が行われている。自治体による小水力発電は県内で初めての取り組みだ。東日本大震災による東京電力福島第一原発の事故を受け、再生可能エネルギーに関心が集まる中、小さな町が挑むプロジェクトの成果が注目されている。 (砂上麻子) 
◆高低差45メートル

 急峻(きゅうしゅん)な渓谷を勢いよく流れる養老川。川沿いの面白(おもじろ)地区に、小水力発電所「面白峡発電所」はある。

 上流から取水した水が、切り立ったがけの上に設けられた貯水槽にためられ、長さ九十六メートルの水圧管路を通って一気に谷底の発電所に流れ込む。

 高低差は約四十五メートル。この大きな落差が一時間当たり最大出力百三十キロワットの発電を可能にする。

 工事は二〇一二年十二月から始まり、今年一月に完成した。

 総工費は一億六千四百万円。発電所の設計、施工は「新工法開発研究所」(市原市)が担当した。

 所長の川本正男さん(65)によると、従来の小水力発電は水流の生み出すエネルギーの40%以下しか電力に変換できず効率が悪かった。

 面白峡では「水車の羽根を増やし、水流をしっかりとらえるように工夫した」(川本さん)結果、70%まで引き上げることができたという。

 現在は安定した電力を確保できるように水量を調整する試運転の段階。本格的に稼働すれば年間百八十八世帯分の電力をまかなえる計算だ。
◆観光資源にも

 町が小水力発電に注目したのは東日本大震災がきっかけ。福島第一原発事故で再生可能エネルギーへの関心が高まる中、町は東京電力が所有していた旧老川(おいかわ)発電所の跡地に目をつけた。

 旧発電所は一九二三年に起工。六〇年まで稼働していたが、発電量が少なく、効率が悪いことから廃止となった。発電所は取り壊されたが、土地は町が所有しているため、約半世紀ぶりに再利用することにした。

 こうした取り組みを県も評価し、二〇一二年、新エネルギー活用推進プロジェクトの重点支援プロジェクトに選んだ。

 町は本格稼働後、発電した電力を東京電力に売電する。年間二千二百万円の収入が見込めるが、施設は十年間借り上げるため、リース料などを差し引くと、収入は当面ほとんど期待できない。

 町は「(リースが終わる)十年後からは年間千六百万円の収入が見込める」と、そろばんをはじく。

 養老川の上流は首都圏から多くの観光客が訪れる「粟又(あわまた)の滝」など観光資源にも恵まれている。

 同町環境水道課の三上清作課長補佐は「地球温暖化や資源の有効活用のほか、観光施設としても活用したい」と、町の発電所の未来に期待を込めた。
◆全国で導入広がる

 起伏に富む日本の地形を生かし、小さな河川や用水路の水圧や水流で水車を回して発電する「小水力発電」は再生可能エネルギーの有効活用につながるとして、全国の自治体で導入する動きが広がっている。

 一般的に出力1000キロワット以下の小規模な発電施設を指し、川をせき止めるダムを必要としないため、環境に優しいのも利点。石炭などを燃やす火力発電と違い、地球温暖化対策に適していることも導入を後押ししている。

 政府は2012年から、小水力など再生可能エネルギーでつくられた電気を、電力会社が買い取る「固定価格買い取り制度」を導入した。

 首都圏では、東京都が葛西給水所(江戸川区)に買い取り制度を活用して、発電した電気をすべて売電する設備をつくり、昨年10月から運転を始めた。

 政府はこれまで買い取り対象を制度導入後に新設した設備などに限っていたが、今後さらに対象を広げ、小水力発電の導入を促す方針。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20140406/CK2014040602000138.html

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