2015/09/17
伊那市春富土地改良区(織井秀夫理事長)の農業用水路を活用した小水力発電所の起工式が16日、同市富県の建設予定地で開かれた。2017年3月の完成、同4月の発電開始を目指す。県上伊那地方事務所が県営かんがい排水事業の一環で整備し、完成後は同土地改が管理運営を行う。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に基づき、発電した電力は全量を売電、収入を農業施設の維持管理に充てる計画だ。
斜面に設置されている水路をバイパスする形で管路を設け、その高低差を生かして発電機に水を送り発電する仕組み。有効落差22.76メートル、使用水量毎秒1.12立方メートル。発電出力は197.5キロワットを見込む。かんがい期の4~9月に発電する。
建設工事では、取水した水をいったんため、流量を調節したり、砂やごみを取り除くヘッドタンクと呼ばれるコンクリート製の水槽を上流側に設置。下流側には発電機を格納する鉄骨平屋建ての発電所を設け、長さ約40メートルの鉄管でつなぐ。
設計、工事を合わせてプロポーザル(企画提案)方式で発注し、ヤマウラが請け負った。工事費は約3億8000万円の見込み。
起工式には県、土地改、市、施工業者の関係者など約50人が出席。同事務所の青木一男所長は「売電による収益で農業、水路、地域を守ってほしい」と期待。織井理事長は「農業者の負担を少しでも軽減できるよう進めていきたい」と述べた。
農業用水路を管理する土地改は施設の老朽化に伴い維持管理の負担が大きくなっていることから、同事務所は2013年度に「上伊那地域農業生産基盤再生可能エネルギー活用研究会」を設置し、農業用水路を活用した小水力発電の可能性を検討。春富と上伊那美和(同市長谷)の2カ所の土地改で実現性が高いと判断され、事業化の運びとなった。
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