2014/05/09
富山県の黒部市にある宇奈月温泉で小水力発電所が運転を開始した。温泉街の用水路にある10メートルの落差を生かして一般家庭で4世帯分の電力を供給する。発電した電力は地域内を走る電気自動車(EV)のバスに利用する計画で、温泉街のエネルギー地産地消プロジェクトを推進していく。
[石田雅也,スマートジャパン]
宇奈月温泉は水力発電所が数多く集まる富山県の黒部渓谷にある。温泉資源に加えて水力エネルギーも豊富で、2009年からエネルギーの地産地消を目指して「でんき宇奈月プロジェクト」を進めてきた。小水力発電や地熱発電で電力を作り、温泉街を電気自動車(EV)のバスが巡回する。スイスの有名な山岳リゾート地であるツェルマットをモデルに、電化型の「エコ温泉観光地」を目指している。
プロジェクトの一環で、温泉街を流れる「宇奈月谷用水路」に小水力発電所を建設して5月2日から運転を開始した。この用水路は黒部川の水系から取り込んだ水を防火対策に使うためのもので、防火水槽から下流に向かう約10メートルの落差を生かして発電する(図1)。
防火水槽からは毎秒0.04立方メートルの水が流れ続けている。この水流で常時2.2kWの電力を作ることができる。水力発電機には「ターゴインパルス水車」を採用した(図2)。この水車は「衝動水車」と呼ばれるタイプの1種で、水流を集めてノズルから噴射して、その衝撃力で円形の羽根を回して発電する。水流が少ない用水路などに適した方法である。
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