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2015/08/25

地域を守る砂防ダムに小水力発電を、木材と下水はバイオマス発電に【スマートジャパン】

2015年08月25日 09時00分 更新
全国で降水量が最も多い石川県の山間部には砂防ダムが設けられている。土砂災害を防ぐ役割に加えて、未利用の水流を生かした小水力発電の導入が始まっ た。森林に放置された用途のない木材はバイオマス発電で地産地消を進めながら、都市部では下水の汚泥によるバイオガス発電が広がっていく。
[石田雅也,スマートジャパン]
石川県の年間降水量は全国平均の1.6倍に達するほど多い。豊富な水量を生かして小水力発電を実施できる場所に砂防ダムがある。砂防ダムは土砂災害を防止するために河川に設けた小規模な堰堤(えんてい)で、水ではなくて土砂を貯めることが目的だ。

従来は砂防ダムの水流を発電に利用することはなかったが、落差も水量も十分にあることから小水力発電の導入場所に適している。石川県は2013年度から2カ所の砂防ダムで小水力発電の開発プロジェクトに着手した(図1)。

sabou.jpg 図1 砂防ダムを利用した小水力発電プロジェクト。出典:石川県企画調整部

そのうちの1カ所が金沢市の内陸部にある「平沢川(ひらそがわ)砂防堰堤」だ。この砂防ダムは金沢市内を流れる犀川(さいがわ)の上流に設けられ ていて、堰堤の高さは25メートルもある。堰堤の上部から直径80センチメートルの導水管で垂直に水を引き込む方法を採用して小水力発電を可能にした(図 2)。

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図2 「平沢川小水力発電所」の設備(上)、水と電気の流れ(下)。出典:ニックスニューエネルギー

水流の落差は17メートルになり、発電能力は最大198kW(キロワット)に達する。2015年5月に運転を開始して、年間の発電量は98万kWh(キロワット時)を想定している。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して270世帯分の電力に相当する。

発電した電力は固定価格買取制度を通じて全量を北陸電力に売電する方針だ。発電能力が200kW未満の小水力発電の場合には1kWhあたり34円 (税抜き)で売電することができるため、年間の売電収入は3300万円になる。建設費は約3億円かかったが、維持管理費を加えても15年間で回収できる見 込みが立つ。

こうして砂防ダムのほかに農業用水路にも小水力発電を導入する動きが広がる一方では、既設の水力発電所の出力を増強して発電量を増やす取り組みが 進んできた。石川県内に電力を供給する北陸電力は全国の10電力会社の中で水力発電の比率が最も大きく、2014年度の発電量全体の25%を水力で供給し ている。

大規模な水力発電所の多くは運転開始から長い年月を経過したものが多い。その間に水量が増えて、発電能力を上乗せできるケースが続々と出てきた。 北陸電力は2015年の5月と6月に、山岳地帯の白山市にある2カ所の水力発電所の発電能力を相次いで引き上げた。そのうちの1カ所が59年前の1956 年に運転を開始した「白峰(しらみね)発電所」である(図3)。

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図3 「白峰発電所」の全景(左)と水車発電機(右)。出典:北陸電力

従来の発電能力は1万4200kWだったが、取水量の増加によって900kW増えて1万5100kWになった。設備を取り替えることなく、年間の 発電量が260万kWhも増えた。一般家庭で720世帯分の使用量に相当する。もう1カ所の水力発電所でも170万kWh増えて、470世帯分の電力を上 積みすることができた。

石川県内には発電能力が1万kWを超える大規模な水力発電所が10カ所あって、いずれも昭和か大正時代に運転を開始したものばかりだ。老朽化した 設備を更新する方法を含めて発電能力を増強できる余地が大いに残っている。これも再生可能エネルギーを拡大する有効な策の1つになる。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1508/25/news027.html

2014/05/09

温泉街の用水路で小水力発電、EVバスに電力を供給して「エコ温泉」【スマートジャパン】

富山県の黒部市にある宇奈月温泉で小水力発電所が運転を開始した。温泉街の用水路にある10メートルの落差を生かして一般家庭で4世帯分の電力を供給する。発電した電力は地域内を走る電気自動車(EV)のバスに利用する計画で、温泉街のエネルギー地産地消プロジェクトを推進していく。
[石田雅也,スマートジャパン]

宇奈月温泉は水力発電所が数多く集まる富山県の黒部渓谷にある。温泉資源に加えて水力エネルギーも豊富で、2009年からエネルギーの地産地消を目指して「でんき宇奈月プロジェクト」を進めてきた。小水力発電や地熱発電で電力を作り、温泉街を電気自動車(EV)のバスが巡回する。スイスの有名な山岳リゾート地であるツェルマットをモデルに、電化型の「エコ温泉観光地」を目指している。

 プロジェクトの一環で、温泉街を流れる「宇奈月谷用水路」に小水力発電所を建設して5月2日から運転を開始した。この用水路は黒部川の水系から取り込んだ水を防火対策に使うためのもので、防火水槽から下流に向かう約10メートルの落差を生かして発電する(図1)。

図1 「宇奈月谷小水力発電所」の構造。出典:でんき宇奈月プロジェクト

 防火水槽からは毎秒0.04立方メートルの水が流れ続けている。この水流で常時2.2kWの電力を作ることができる。水力発電機には「ターゴインパルス水車」を採用した(図2)。この水車は「衝動水車」と呼ばれるタイプの1種で、水流を集めてノズルから噴射して、その衝撃力で円形の羽根を回して発電する。水流が少ない用水路などに適した方法である。

図2 発電設備と発電の仕組み。出典:でんき宇奈月プロジェクト

2013/12/12

小水力発電 仕組み学ぶ 加賀の児童、国8工事に設置で【中日新聞:2013/12/12】

 加賀市上河崎町の国道8号の拡幅工事現場に、地下水を利用して発電する小水力発電装置がお目見えし、同市南郷小学校の四~六年生四十人が十一日、見学した。児童たちは、装置で発電した電気で街路灯をともす仕組みなどを学んだ。(服部展和)

 工事を担当する国土交通省金沢河川国道事務所によると、県内の工事現場に小水力発電装置を設置したのは初めて。年末まで続ける。

 工事は黒瀬町から加茂町までの一・九キロの区間で実施。片側一車線を二車線に広げ、二〇一五年三月の完成を目指している。

 小水力発電装置は、国道の下をくぐる農道の工事現場から出る地下水を利用。地下水は従来、そのまま水路に流していたが、装置を使うことで一日十二~十三ワットの発電量が確保できる。装置に蓄電し、毎日午後六~八時に街路灯を点灯。国道沿いの仮の歩道を照らしている。

 見学した六年生の吉井こころさん(12)は「水を通すと電気ができるところが面白い」と興味津々だった。

2013/10/04

【石川県】砂防堰堤を活用した小水力発電事業における優先交渉権者(事業予定者)の決定について

県管理の平沢川砂防堰堤と直海谷川2号砂防堰堤において、堰堤を活用した小水力発電事業の計画提案について公募を行ったところ、平沢川砂防堰堤に応募がありました。

応募者からの提案内容について、有識者等からなる「砂防堰堤を活用した小水力発電事業選定委員会」により、提出書類の審査及びヒアリングを行った結果、以下のとおり最優秀提案を選定しました。

最優秀提案者は優先交渉権者(事業予定者)として、今後、詳細協議を経て、発電事業に関する基本協定書締結や各種の許認可申請などを行い、事業内容を決定した上で、発電事業を開始します。

なお、直海谷川2号砂防堰堤には、応募がありませんでした。

* 募集期間 平成25年8月8日〜平成25年9月24日

 

1.平沢川砂防堰堤 (金沢市中戸町 地内)

・最優秀提案:(株)柿本商会、(株)新日本コンサルタント  企業体

・応  募  数:1件

2.直海谷川2号砂防堰堤 (白山市河内町内尾 地内)

・応  募:なし

*  募集期間は終了しましたが、活用に関心のある場合は、

砂防課 砂防・地すべり整備グループ迄、お問い合わせ下さい。

 

<参考>

位 置 図(PDF:1,422KB)

募集要項(PDF:247KB)

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