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2014/04/16

石徹白発電で農村維持 住民が農協設立、売電へ【岐阜新聞】

 住民が農業協同組合を設立し、小水力発電に取り組む。そんなユニークな取り組みが今月、郡上市白鳥町石徹白(いとしろ)で始まった。農業用水に小水力発電所を整備し、電気を売った収益を農産物の加工や集落の維持活動に使う。農林水産省の担当者は「極めて珍しい。全国のリーディングケースになる可能性もある」と評価しており、新たな取り組みとして注目を集めそうだ。

 農水省などによると、発電に取り組む農協の新設は戦後の一時期に中国地方であったが、再生可能エネルギーへの関心が高まった東日本大震災後では全国で初めてとみられる。

 小水力発電事業の主体となる石徹白農業用水農業協同組合(上村源悟組合長)は県の認可を受け、今月1日設立された。農業用水の維持管理を主目的とする。組合員は住民ら91人。石徹白川支流の朝日添(わさびそ)川から取水した農業用水に最大91キロワットの発電能力を持つ小水力発電所を建設する。2016年度の発電開始を目指す。

 事業費は2億4千万円。県が55%、郡上市が20%補助。残る25%(6千万円)を石徹白農協が負担する。日本政策金融公庫から4千万円の融資を受ける予定で、残りを住民らで用意した。売電収益のうち、維持管理費や積立金を引いた200万円が毎年手元に残る計算だ。

 この金を地域の振興事業に使う。農業の6次産業化を進めるため農産物の加工や新商品開発、耕作放棄地での農業、除雪や草刈りなど地域の維持活動に充てる。県の制度変更で売電収益の使い道が広がり、可能になった。

 石徹白農協はJAのような総合農協とは異なり、畜産や園芸など特定分野のみを対象とした専門農協の一つ。専門農協の新設は1996年以来、県内12番目。

 石徹白では住民団体が小水力発電に取り組んでおり、自治会が地域を維持するための手段として小水力発電と農協設立を検討してきた。農水省の担当者は「農協は地域密着の組織で、地域に売電収益も還元できる。石徹白を参考に、地域密着型の取り組みが全国で進むことを期待したい」と話した。

http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20140416/201404160846_22348.shtml

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