2015/05/09
◇◇十日町、小千谷市と覚書も◇◇
JR東日本は8日、6月末に期限が迫った信濃川発電所の水利権の更新を国土交通省北陸地方整備局に申請した。申請に先立って同社は、かつて不正取水問題で関係がこじれた十日町、小千谷両市と、信濃川の河川環境と水利使用の調和に関する覚書を調印した。
覚書では、同発電所の宮中ダム(十日町市)からの放流量を11月11日~5月31日は毎秒40トン、6月1日~11月10日は同60トン程度を基本とし、夏、秋には水温やサケの遡上(そじょう)状況などに配慮して放流量を調整するとしている。
同社はこれに基づき、最大毎秒約317トンを取水し、同40トン以上を放流すると申請した。6月1日~11月10日は自主規制で同60トン程度に増量する。水利使用許可期間は10年間。
この日は同社の冨田哲郎社長が両市を訪れ、覚書に調印した。
十日町市役所で調印式に臨んだ関口芳史市長は「この5年間、JR東には誠意をもって応対してもらった。まさに信濃川を介して良きパートナーとなり得た」と喜んだ。冨田社長は「今後も河川環境と水利用の調和、地元との共生を心の中心に据えて、地元の皆様と新しい共生を作り上げていきたい」と話した。
同社は今後、十日町市などを走る飯山線沿線の活性化や、流雪溝の整備に伴う放流量の調整などに協力していくという。
◆◆十日町市 小水力発電開発へ◆◆
十日町市は8日、JR東日本信濃川発電所の宮中ダムから放流される水を活用した小水力発電所の開発を目指す方針を明らかにした。関口芳史市長が、水利権更新申請に向けた同社との覚書の調印式で明かした。
同ダムでは、同社の水利権更新後も毎秒40トン以上が放流されるが、市によると、小水力発電所を設置すると、約3000キロ・ワット時の発電が見込めるという。
同市は2016年度から10年間の総合計画を策定中だが、市の消費エネルギーの3割を市内で賄うことを盛り込みたい考えだ。その一例として、小水力発電を挙げ、25年度までの実現を目指すという。
発電所は、ダム施設の一部使用などが想定される。関口市長は「国策にも添っており、新たな産業創出につながる夢のある事業だ」と同社に協力を求めた。
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