東京23区で初めての小水力発電設備が運転を開始した。多くの川や運河が流れる江東区が再生可能エネルギーのシンボルとして導入したもので、親水公園にか かる橋の下に発電機を設置した。水流の落差は最大1.5メートル、発電能力は1.1kWながら、24時間運転で街路灯などに電力を供給する。
[石田雅也,スマートジャパン]
都心で実施する小水力発電として注目を集めていた「江東区(こうとうく)マイクロ水力発電施設」が3月18日に完成した。東京湾に面した平坦な土 地でも水が豊富な自然環境を生かして、再生可能エネルギーの導入が可能なことをアピールする狙いだ。発電した電力は周辺のLED街路灯や発電状況を示す表 示モニターに供給する(図1)。
発電設備を設置した場所は、江東区内を南北に流れる横十間川(よこじっけんがわ)にかかる水門橋の下である(図2)。この水門橋の上流側と下流側 は治水対策によって落差が生じる構造になっている。最大で1.5メートルになる落差を利用して発電する。落差の低い水流でも発電しやすい縦軸クロスフロー 式の水車を採用した。
発電能力は1.1kWで極めて小さい。一般に発電能力が1000kW以下の場合に小水力発電、その中でも100kW以下をマイクロ水力発電と呼ぶことが多い。小さな発電能力でも街路灯やモニターの電力源として利用できることを実証した。
江東区は東京23区で初めてマイクロ水力発電の導入プロジェクトを2012年度に開始して、区内9カ所の候補地点の中から24時間運転が可能な横 十間川親水公園の水門橋を実施場所に選んだ。ただし横十間川は東京湾に近く、流れる水は淡水と海水が混在している(図3)。塩分濃度が20%を超えるた め、発電機に塩害対策を施して効果を検証する予定だ。