2016/09/14
2016年9月14日掲載
小水力発電の普及を目指す「関西広域小水力利用推進協議会」(事務局、京都市下京区)が10月22、23日に1泊2日の見学ツアー「小水力発電を訪ねる旅」を開催する。滋賀県と岐阜県の施設計8カ所を見学する予定で、参加者を募集している。
滋賀県で見学するのは、米原市の県営姉川ダムで「いぶき水力発電」(米原市)が建設を進めている小水力発電所(約900キロワット)▽長浜市の高時川農業用水路に大阪ガスの子会社エナジーバンクジャパンが設置した小水力発電所(10キロワット)▽米原市にある「いぶきグリーンエナジー」のバイオマス発電工場(3550キロワット)。事業者による説明や資料提供もある。
岐阜県では郡上市で住民が主体となった石徹白(いとしろ)農業用水農業協同組合の石徹白番場清流発電所(125キロワット)と、同県が設置し同市が運営する石徹白清流発電所(63キロワット)を見学する他、イビデン(大垣市)の3カ所の水力発電所の外観を見る。
JR京都駅前集合で22日午前9時に貸し切りバスで出発し、23日午後9時に京都駅に帰着予定。宿泊費と4回の食事代を含め料金は2万6500円。1次募集締め切りは今月20日で問い合わせは同協議会の里中さん(080・7051・5830)。【太田裕之】
2016/09/13
2016年9月13日掲載
降水量の多い岐阜県は水力エネルギーの利用可能量が全国で最大だ。農山村では古い農業用水路を改修して小水力発電の取り組みが活発に進む。ダムに新設する水力発電所も続々と運転を開始した。農地を利用した太陽光発電や地域の森林資源を生かした木質バイオマス発電も広がりを見せる。
[石田雅也,スマートジャパン]
岐阜県の東南端に位置する中津川市は中央に木曽川が流れている。豊かな水を利用して農林業が盛んな地域で、起伏の激しい山間部には農業用水路が広がる。その中で大正時代に造られた古い用水路があり、老朽化が進んで改修が必要になっていた。約900メートルに及ぶ用水路の改修と合わせて、水流の落差を生かした「落合平石(おちあいひらいし)小水力発電所」を建設して2016年4月に運転を開始した。
改修した用水路の落差は64メートルになり、最大で126kW(キロワット)の電力を供給できる。年間の発電量は95万kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して260世帯分に相当する。発電した電力は固定価格買取制度で売電して、年間に3200万円の収入を得られる想定だ。買取期間の20年間の累計では6億4000万円になる。
この小水力発電プロジェクトは飛島建設とオリエンタルコンサルタンツの2社が共同で発電事業者になって、地元の落合平石地区と中津川市が連携しながら推進した。農業用水路の改修を含めた総事業費は2億5000万円かかっている。
発電事業者の2社は売電による収入を得る一方で、用水路を管理する落合平石地区に水路の補修や発電設備の清掃点検作業を委託する。地元の負担なしに農業用水路を改修したうえに、新たな作業を生み出して地域に利益をもたらす仕組みだ。小水力発電を実施することで農山村の活性化につなげる新しいモデル事業に位置づける。
小水力発電所の建屋の中では、赤い色の水車発電機が稼働している。水力発電が盛んなチェコ製で、横軸を中心に円筒型の水車が回転する横軸クロスフロー式だ。水流が交差する仕組みになっていて、少ない水量でも大きな水力を生み出せる利点がある。落差が大きくて水量が少ない場所に向いている。
小水力発電で人口を増やす
農業用水路を活用した小水力発電は、さらに山深い地域にも広がってきた。福井県との県境にある郡上市(ぐじょうし)の石徹白(いとしろ)地区では、小水力発電による集落の再生プロジェクトを進めている。
標高700メートルの集落には100世帯が暮らしていて、人口270人のうち約半数は65歳以上の高齢者だ。過去50年間で人口は4分の1に縮小した。地域の資源を生かした農業の復活と再生可能エネルギーの導入を通じて、全国から子育て世代の移住を促進する。
石徹白地区では農業用水路を利用した小水力発電所が4カ所で稼働している。そのうち発電能力が大きいのは「石徹白清流発電所」と「石徹白番場清流発電所」の2カ所で、それぞれ最大63kWと125kWの電力を供給できる。両方を合わせて年間の発電量は100万kWhになり、一般家庭の280世帯分に相当する。現在と比べて世帯数が3倍近くに増えても電力を自給自足できる。
2カ所の小水力発電所を建設するために、県が農業用水路を改修して1.6キロメートルの導水路を整備した。1つ目の清流発電所は郡上市が発電事業者になって2015年6月に運転を開始している。2つ目の番場清流発電所は地元の農業協同組合が県と市の補助を受けながら2016年4月に運転開始にこぎつけた。子育て世代の移住者も徐々に増えている。
内陸にある岐阜県には木曽川のように太平洋に向かって長い距離を流れる川と、北へ向かって日本海に注ぐ川の2種類がある。岐阜県の北部から富山県を通って日本海まで流れる神通川(じんづうがわ)の流域には、高い山に囲まれて大小さまざまな水力発電所が運転中だ。
北部の飛騨市を拠点とする神岡鉱業は明治時代から銅や亜鉛を掘削して精錬事業を続けてきた。自家用と売電用に10カ所の水力発電所を運転しているが、老朽化が進んだことから5カ所の設備の更新に取り組む。すべての更新が完了すると発電能力が1800kW増えて、10カ所の合計で4万kW近くに達する予定だ。総事業費は220億円にのぼる。
その中で規模が最も大きいのは「金木戸(かなきど)発電所」で、1953年に運転を開始して60年以上を経過した。従来の発電能力は1万8000kWだったが、設備を更新して1万8252kWに増強する。2017年8月に運転を再開する予定だ。このほかに「跡津(あとつ)発電所」が1万1850kWから1万3026kWに増強して、2018年5月に運転を再開することになっている。
水力発電で需要のピークにも対応
自治体や民間企業が地域の再生に向けて水力発電に取り組む一方で、岐阜県を供給エリアに含む中部電力も新しい水力発電所を相次いで開発している。特に注目すべきは2016年3月に全面運転を開始した「徳山水力発電所」である。最近では珍しい大規模な水力発電所で、1号機と2号機を合わせて16万1900kWの発電能力がある。中部電力の水力発電所の中では揚水式を除くと最大だ。
徳山水力発電所は2008年に完成した「徳山ダム」からの水流を利用する。ダムの中にある取水塔から導水路と水圧鉄管路を通して、ダムの直下にある発電機まで水を送り込む。その間の落差は1号機が182メートル、2号機が146メートルに及ぶ。発電機は地下に設置されていて、発電能力の大きい1号機のほうが下部にある構造だ。
1号機と2号機では使い方が違う。1号機(発電能力13万9000kW)は電力の需要が多い時に大量の水を使って発電する一方、2号機(同2万4300kW)はダムの下流の環境維持のために放流する水量で電力の供給を続ける。再生可能エネルギーでも需要に合わせて発電量を調整できる体制になっている。
特に最近は河川の環境維持に必要な「河川維持流量」を利用した小水力発電の取り組みが活発に進んでいる。2016年6月に運転を開始した「丹生川(にゅうがわ)水力発電所」は、中部電力が県営ダムの直下に建設した2つ目の小水力発電所である。47メートルの落差を生かして最大で350kWの電力を供給できる。年間の発電量は210万kWhを見込んでいて、一般家庭の580世帯分に相当する。
中部電力はグループ会社のシーテックのプロジェクトを含めると、河川維持流量を利用した小水力発電所を岐阜県内の4カ所で稼働させている。いずれも2015年以降に運転を開始した。さらに中部電力グループは温泉で有名な下呂市(げろし)にあるダムの直下でも同様の小水力発電所を建設する計画で、2018年7月に運転を開始する予定だ。
太陽光パネルの下でサトイモを栽培
岐阜県は水力発電の導入可能量が全国で最も大きくて、年間に138億kWhの電力を生み出せるポテンシャルがある。実に380万世帯分の使用量に匹敵する電力で、岐阜県の総世帯数(75万世帯)の5倍にもなる。すでに7割が開発済みだが、残りの3割で100万世帯分を超える。
このほかに森林の面積が全国で5位、年間の日照時間でも全国で8位に入る。森林地帯が広がる県の中部から北部にかけて木質バイオマス発電が始まる一方、南部の平野では太陽光発電が活発になってきた。県内には温泉も数多く分布していて、北部の奥飛騨温泉では地熱発電の開発プロジェクトが進んでいる。固定価格買取制度の認定を受けた発電設備も風力を除いて拡大中だ。
太陽光発電では農地を利用した営農型の導入事例が南部を中心に増えてきた。各務原市(かがみはらし)の個人農家が2014年から実施している先行事例では、2400平方メートルの農地に50kW分の太陽光パネルを設置した。支柱の上に細長いパネルを設置する方法で、農地の遮光率を30%程度に抑えている。パネルの下ではサトイモや小松菜を栽培する。
年間の発電量は6万kWhを見込んでいて、固定価格買取制度で売電すると1年間に200万円前後の収入になる。農作物の栽培は通常に近い状態で続けることができるため、農家の所得は従来よりも増える。導入費用は1800万円かかったが、農家が日本政策金融公庫の融資を受けながら全額を負担した。10年程度で採算がとれる見通しだ。
木質バイオマス発電では林業や製材業と連携した取り組みが3つの市をまたいで始まっている。森林から伐採する木材を品質によってA材からD材まで4種類に分類して、製品に使えないC材とD材を発電に利用する体制を構築した。従来は森林に放置していたC・D材の利用量が大幅に増えることで、森林の保全に役立つのと同時に森林の所有者の収入も増加する。
県内で初めて未利用の木材を燃料に使った木質バイオマス発電所が、南部の瑞穂市(みずほし)で2014年12月に運転を開始した。発電所に隣接して木質チップの製造工場があり、森林から集めたC・D材を燃料に加工している。発電能力は6250kWと大きくて、1日24時間の連続運転で年間に330日稼働する。送電できる電力の規模は1万1000世帯分になり、瑞穂市の総世帯数(2万世帯)の半分以上をカバーできる。
岐阜県では全国一の水力を中心に、太陽光から地熱、バイオマスまで含めて地域の資源を活用した発電設備が順調に拡大中だ。内陸県の特色を生かして再生可能エネルギーによる電力の供給量がますます増えていく。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1609/13/news018_4.html
2016/09/08
2016年9月8日掲載
滝の町として知られる下呂市小坂町で、「日本の滝百選」に唯一選ばれている「根尾の滝」が、通常の三倍という豊富な水量で見頃になっている。近くの水力発電所の工事の影響とみられ、“期間限定”の絶景が観光客を楽しませている。
根尾の滝は小坂川上流の濁河川にあり、落差六十三メートル、幅五メートル。同じ水源から取水する中部電力小坂川水力発電所が、六月から鉄管の塗装工事で取水を止めているため、増水しているとみられる。
根尾の滝は、近くの駐車場から徒歩で往復約二時間半。激しい水流が滝つぼにたたきつけるように落ちた後、豪快に水しぶきを上げる様子が楽しめる。
NPO法人飛騨小坂200滝のガイドらによると、これほど水量が豊富なのは三十年ぶりという。初心者向けに、同法人のガイドツアーもある。
中部電力飛騨電力センター(小坂町)によると、工事は十二月まで続くが、取水停止は十月末まで。登山道入り口で、環境維持協力金二百円を募っている。
(問)飛騨小坂200滝=0576(62)2215
(小柳津心介)
http://www.chunichi.co.jp/article/gifu/20160908/CK2016090802000025.html?ref=daily
2016/06/27
2016年06月27日
小水力発電事業の推進と地域の活性化策を考える、住民対象の勉強会「郡上市自然エネルギー学校」の本年度第1回講座が26日、岐阜県郡上市白鳥町石徹白(いとしろ)で開かれた。本年度は高鷲町向鷲見と大和町上栗巣の2地区が対象で、住民らが適地を探る。
学校は、NPO法人地域再生機構(岐阜市)と郡上市の共催。同機構の副理事長で、石徹白に住みながら小水力発電事業を支える平野彰秀さんが、主に講師を務める。昨年度は同市明宝寒水地区で実施した。
講座には、2地区の住民ら約50人が参加。平野さんは小水力発電の仕組みのほか、石徹白地区のほぼ全戸が出資し、6月1日に稼働した「石徹白番場清流発電所」を紹介。「地域にプラスになる発電所にするため、自治会中心に半年かけて議論し、事業を進めてきた」と振り返った。また、売電収入で新たな農業事業を進める方針であることも説明した。
住民からは、事業主体を農協とするメリットとデメリット、水利権、採算性などの具体的な質問が上がった。
座学後、石徹白で稼働している発電施設を見学した。
http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20160627/201606270900_27543.shtml
2016/06/23
2016年6月20日掲載
石徹白(いとしろ)で「生きる」を学ぶ「いとしろカレッジ」、1期生募集!!
「私たちが望む暮らしは、どんな暮らしだろうか?」
「私たちは、これから、どこでどんなふうに生きていくのだろうか?」
「自然を身近に感じながら、豊かな暮らしを送るためにはどうしていけばいいのだろうか?」
都市で暮らす日常の中で、そんなふとした疑問が出発点となり、私たちは、岐阜県郡上市・最奥の集落、石徹白(いとしろ)へ、移り住んできました。
そして、石徹白という地で日々、自然の恵みに根ざした生き方・暮らし方を、地域の方から学んでいます。
そんな移住者の私たちが企画し、案内人を務めさせていただく、いとしろカレッジ。
講座のテーマは、
【地元学/ 持続可能社会とローカリゼーション/ 石徹白民踊とわらべ唄/ 命をつなぐ川づくり/ アウトドアと生きる力/ 森林を生業にする/ 自然エネルギーと自治/ 受け継がれる伝統食/ 結の作業/ セルフデザイン/ これからの幸福論/ 自らの手でつくる未来】
その他、地元住民との交流会などを予定しています。
今の社会や世界のあり様も見つめながら、石徹白という地で古くから引き継がれた知恵や精神と現代の取組みを、地域内外の多彩な講師陣とともに「座学+フィードワーク」で体験しながら学びを深めていきます。
頭と体、心をバランスよく使い、自然・人・自分自身とのつながりを見つめ直す、全9回の連続講座。
石徹白に毎月通うことはなかなか大変なことのようにも思いますが、月に1度、日常とは違う土地で仲間たちと‘生きること’‘暮らすこと’‘自分自身’と向き合い、過ごす時間を重ねていくことは、あなたが探していた何かを見つけるきっかけになるかもしれません。
過去と今、未来をつなぐこの地(石徹白) で、自分たちの暮らしは自分たちでつくる「生きる力」をともに学び、望む未来への一歩を踏み出しませんか?
▼石徹白(いとしろ)ってどんなところ?
岐阜県郡上市にある石徹白地区は人口270人、標高700mの小さな集落。
白山信仰に根ざした深い歴史を持ち、自然とともにある暮らしが脈々と続いてきた一方、地域の小水力発電やアウトドアフィールドとしても注目を集め、石徹白の可能性に魅せられた移住者たちが集まってきています。
「いとしろカレッジ」
【日時】
2016年7月~2017年3月 月1回2日間の全9回連続講座
第1回:7月30日(土)、31日(日)
第2回:8月27日(土)、28日(日)
第3回:9月24日(土)、25日(日)
第4回:10月29日(土)、30日(日)
第5回:11月19日(土)、20日(日)
第6回:12月10日(土)、11日(日)
第7回:1月14日(土)、15日(日)
第8回:2月11日(土)、12日(日)
第9回:3月4日(土)、5日(日)
1日目13:00開始 2日目16:00終了
東京・関西からもご参加可能です!
【会場】
岐阜県郡上市白鳥町石徹白地区
【参加料】
50,000円(全9回)
【申込み先】
講座の詳細やお申し込みはこちらから!
http://itoshirocollege.com