2014/04/17
全国各地に小水力発電が可能な水流はあるものの、国や自治体の許可を得なければ発電設備を設置することができない。河川法の改正により、既存の水流を活用する「従属発電」の手続きが簡単になった。中部電力は2015年に運転を開始する2カ所の小水力発電所を岐阜県で初めて登録した。
[石田雅也,スマートジャパン]
2013年12月に河川法が改正されて、「従属発電」の手続きが許可制から登録制へ変わった。従属発電は既存の水流をそのまま利用する小水力発電が対象になる(図1)。農業用水のほか、ダムから下流に放流する「維持流量」が従属発電に該当する。これまで5カ月程度かかっていた水利権の取得手続きが1カ月程度で済み、小水力発電を実施するまでの期間が大幅に短くなる。
中部電力は岐阜県で初めての従属発電の登録を4月11日に申請した。5月に着工する予定の「阿多岐(あたぎ)水力発電所」と「新串原(しんくしはら)水力発電所」の2カ所である(図2)。いずれもダムからの維持流量を利用した小水力発電設備で、2015年6月に運転を開始する計画だ。従来は2015年度中の運転開始を予定していたが、従属発電の登録によって時期を早めることができた。
阿多岐水力発電所は県営の「阿多岐ダム」の維持流量を活用する(図3)。発電規模は190kWで、年間の発電量は130万kWhを見込んでいる。一方の新串原水力発電所は中電力が管理する「矢作(やはぎ)第二ダム」からの維持流量を利用して、220kWの電力を供給する。年間の発電量は170万kWhを想定している。2カ所の発電量を合わせると一般家庭で830世帯分の電力使用量に相当する。
小水力発電所が運転を開始すれば、岐阜県は中部電力から流水占用料を徴収することができる。今後も再生可能エネルギーの導入拡大と収入の増加を図るために、県内の他のダムでも従属発電を促進していく。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1404/17/news020.html
2014/04/16
県は15日、県営阿多岐ダム(郡上市白鳥町中西)を活用した小水力発電事業の登録を行ったと発表した。県営ダムを活用した小水力発電は県内初となる。
同ダムは治水目的で、1988年度に阿多岐川で運用開始。下流の河川環境保全のために放流している水を、小水力発電に活用する。今年2月、施行主体である中部電力から河川管理者の県に対して申請があり、11日付けで登録を行った。
新たに建設する「阿多岐水力発電所」は来月着工し、2015年6月に発電を開始する予定。最大出力は190キロワットで、年間発電量は、一般家庭の約360世帯分である130万キロワット時。県では、ダムの建設費や維持管理費、流水占用料などの財政的収入を見込む。
県と同社は、12年11月に、阿多岐、丹生川の県営2ダムに、小水力発電所を建設する協定を締結。今回の登録は、同協定に基づく。
また同日付けで、中部電力所有の矢作第二ダム(恵那市串原大簗)に、同社が建設する「新串原水力発電所」の登録も行った。
http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20140416/201404160843_22345.shtml
2014/04/16
住民が農業協同組合を設立し、小水力発電に取り組む。そんなユニークな取り組みが今月、郡上市白鳥町石徹白(いとしろ)で始まった。農業用水に小水力発電所を整備し、電気を売った収益を農産物の加工や集落の維持活動に使う。農林水産省の担当者は「極めて珍しい。全国のリーディングケースになる可能性もある」と評価しており、新たな取り組みとして注目を集めそうだ。
農水省などによると、発電に取り組む農協の新設は戦後の一時期に中国地方であったが、再生可能エネルギーへの関心が高まった東日本大震災後では全国で初めてとみられる。
小水力発電事業の主体となる石徹白農業用水農業協同組合(上村源悟組合長)は県の認可を受け、今月1日設立された。農業用水の維持管理を主目的とする。組合員は住民ら91人。石徹白川支流の朝日添(わさびそ)川から取水した農業用水に最大91キロワットの発電能力を持つ小水力発電所を建設する。2016年度の発電開始を目指す。
事業費は2億4千万円。県が55%、郡上市が20%補助。残る25%(6千万円)を石徹白農協が負担する。日本政策金融公庫から4千万円の融資を受ける予定で、残りを住民らで用意した。売電収益のうち、維持管理費や積立金を引いた200万円が毎年手元に残る計算だ。
この金を地域の振興事業に使う。農業の6次産業化を進めるため農産物の加工や新商品開発、耕作放棄地での農業、除雪や草刈りなど地域の維持活動に充てる。県の制度変更で売電収益の使い道が広がり、可能になった。
石徹白農協はJAのような総合農協とは異なり、畜産や園芸など特定分野のみを対象とした専門農協の一つ。専門農協の新設は1996年以来、県内12番目。
石徹白では住民団体が小水力発電に取り組んでおり、自治会が地域を維持するための手段として小水力発電と農協設立を検討してきた。農水省の担当者は「農協は地域密着の組織で、地域に売電収益も還元できる。石徹白を参考に、地域密着型の取り組みが全国で進むことを期待したい」と話した。
http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20140416/201404160846_22348.shtml
2014/03/07
福井県境にある郡上市白鳥町石徹白(いとしろ)は、標高950メートルの峠を越えたところにあり、「秘境」とも呼ばれる。自然エネルギーを生かした地域づくりで全国的に注目を集め、今春からは本格的な小水力発電所の設置に踏み出す。
「白山中居神社」がある石徹白は、白山信仰とともに歩んだ長い歴史と文化を持つ。一晩に1・5メートルの雪が積もることもある豪雪地帯で、現在の人口は約270人。50年間で4分の1に減った過疎地区だ。
地区を存続させる取り組みの一つが、豊富な自然資源に着目した小水力発電だ。2007年から力を入れてきた。手掛けるのはNPO法人「地域再生機構」副理事長の平野彰秀さん(38)らで、これまで地区内3カ所に出力合計約3キロワットのマイクロ水力発電を設置してきた。早くから地域で取り組み、再生可能エネルギーが注目された東日本大震災以降は全国的に知られるようになった。
2014/02/18
岐阜県は、中津川市加子母(かしも)地区に、農業用水を活用した小水力発電所としては東海三県で初の県営施工となる「加子母清流発電所」を完成させた。
同発電所は、白川(しらかわ)を取水河川とし、小郷(おご)用水を活用するもので、高低差は64.6m(有効落差61.55m)、使用水量は毎秒0.46立方メートル。
最大出力は220kW。年間発電電力量は168万kWh(一般家庭約400世帯分の年間使用電力に相当)。発電した電気は固定価格買取制度を利用し、中部電力に売電する。年間売電収益は約4,900万円。CO2削減効果は年間約705トン(森林66.5ha分に相当)。水車は横軸フランシス型を使用。発電機形式はかご形三相誘導発電機。