2016/10/07
2016年10月7日掲載
九州で再生可能エネルギーの普及や電力の地産池消を目的とした自治体連携が広がっている。このほど福岡県みやま市と大分県豊後大野市が協定を結んだ。両市で再生可能エネルギーを融通できる体制を構築する他、地域新電力事業なども推進していく。
[陰山遼将,スマートジャパン]
福岡県みやま市と大分県豊後大野市は2016年10月4日、「地域再生可能エネルギー活用に向けた連携協定」を結んだ。両市内にある再生可能エネルギーの活用と普及拡大、エネルギーの地産地消による「目に見える地方創生」の実現を目指すとしている。両市はこの取り組みを地域経済交流や観光交流、さらに再生可能エネルギーの活用を進める他の自治体との連携などにもつなげていく方針だ。
みやま市は全国の中でも、特に積極的に電力システムの改革に取り組んできた自治体だ。2015年3月には、日本初の自治体新電力であるみやまスマートエネルギーを設立。すでに公共施設や民間事業所、一般家庭にも地産地消電力の販売を行っている。
同市は経済産業省が実施している「大規模HEMS情報基盤整備事業」の実施地域でもある。市内の家庭に2000台のHMESを導入し、電力使用量のデータをもとにした電気料金を最適化や、生活支援サービの提供などにも取り組んでいる。九州大学によるデータ解析を活用し、サービス向上や電力事業の経営強化につながる実証事業にも取り組むなど、産学官連携の取り組みも推進中だ。
豊後大野市は市営の太陽光発電所や土地改良区が運営する小水力発電所など、再生可能エネルギーの導入拡大に取り組んでいる。地域のバイオマス資源の活用も推進しており、最近では2016年8月から大分県との協力で誘致した木質バイオマス発電所が稼働を開始した。エネルギー事業を手掛けるファーストエスコのグループ会社エフオン豊後大野が運営する「豊後大野発電所」である。出力は18MWで、地域の森林資源を使った木質チップを使い年間約12万MWh(メガワット時)の発電量を見込んでいる。
同市は再生可能エネルギーの導入拡大をはじめとする今後のエネルギー政策の方針として、2016年度中に「新エネルギービジョン」と「分散型エネルギーインフラプロジェクトマスタープラン」策定する予定である。再生可能エネルギーを活用した地域活性化と、新たな産業振興の展開、自立分散型エネルギーシステムの導入による災害に強いまちづくりを目指していく方針である。
このように再生可能エネルギーの活用を推進する両市は、今回の提携で両市の住民生活の向上と健全な経済活動の促進を図る一方、「環境負荷を抑えつつ継続して成長する新しい都市」を目指すとしている。具体的な取り組みとしてはまず、みやま市の協力のもと、豊後大野市が新電力事業を立ち上げる計画だ。それに伴い、両市の間で再生可能エネルギーを融通できるシステムを構築し、新しい住民サービスの提供などにも取り組む。この他にも調査研究や、技術開発および人材育成などについても協力していく。
なお、みやま市ではこうした再生可能エネルギーの融通や、地域新電力事業の共同推進に向けた他の自治体との提携を、以前から推進している。2016年3月には鹿児島県の肝付町と、日本で初めて再生可能エネルギーの相互融通などに関する協定を結んだ。さらに同じく鹿児島県のいちき串木野市とも同様の協定を結んでいる。九州を中心に、自治体連携による再生可能エネルギーの普及と電力の地産地消を目指す取り組みが広がっている。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1610/07/news032.html
2016/10/07
趣旨:大分県では再生可能エネルギー利活用を目的に県管理ダムにおいて小水力発電を計画しており、公募を行います。
実施箇所:稲葉ダム(大分県竹田市大字刈小野)
http://www.pref.oita.jp/soshiki/17200/inaba.html
最大取水 2.4m3/s、有効落差 約22m、想定最大発電量 422kw
※大分県の試算データによる
公告予定:平成29年11月上旬頃(公告いたしましたら、URLを記載します)
公告期間:約3箇月
2016/08/16
2016年8月16日掲載
大分市の中小企業が小水力発電の遠隔監視システムを開発した。導入した豊後大野市の土地改良区では、山深くにある取水口や発電所の異常把握と復旧処置が離れた事務所や外出先から可能になり、「安全面が向上し発電ロスが減った」と好評だ。小水力発電所の多くは山間部にあり、運営者の高齢化が進む。秋から大分発のシステムを全国の土地改良区などに売り込んでいく。
システムは電気工事業の興栄(木原倫文社長)が中心となって開発。豊後大野市緒方町の長谷緒土地改良区が持つ小水力発電所(出力1300キロワット)に昨秋、設置した。
インターネット回線を利用して改良区の事務所からそれぞれ5キロ、15キロ離れた発電所と取水口を監視。増水などでトラブルが起きると、事務所のパソコンと職員の携帯電話に異常の内容を知らせるメールが送られ、特定の復旧操作ができる。取水口にはカメラもあり、現地での復旧作業が必要か映像で確認できる。
「以前は事務所の警報が鳴るだけで原因は分からず、必ず現地に行く必要があった。山道の移動は大雨などの時は特に危なかった」と首藤幸徳事務長(56)。復旧作業は3~4時間から30分に短縮。発電停止時間が減り「少なくとも年間80万円の損失を減らせそう」という。
興栄によると、大手電力会社の水力発電所には高性能の遠隔監視システムがあるが、土地改良区などにとっては高額。新開発のシステムは約350万円で、出力20キロワット以上の発電所であれば採算が合う。
小水力発電所は以前から土地改良区などが運営する施設が全国にあり、2012年の固定価格買い取り制度スタート後、さらに増えている。
興栄は秋からシステムの全国販売を始める予定。木原社長は「多くの発電所が抱えている課題の解決をサポートすることで、小水力発電の普及にも貢献したい」と話している。
https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2016/08/16/003518468
2016/05/14
2016年5月14日
衆院経済産業委員会は11日、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を定めたFIT法改定案を採決し、自民、公明、民進などの賛成多数で可決しました。
日本共産党は再生エネルギー発電との接続義務規定の削除などにより、逆に再エネ導入を抑制しかねないとして独自の修正案を提出。修正案は、送電網を維持運営する一般送配電事業者に対し、再エネ発電を送電線に接続する義務を引き続き課し、新たに送電系統の拡張義務などを盛り込んだもの。同案は賛成少数で否決されたため、日本共産党は政府案に反対しました。
採決に先立つ質問で日本共産党の真島省三議員は、2012年7月の同制度導入後も、再エネの導入割合が3%にすぎないのは接続義務が果たされていないからだと述べ、電力会社が接続に必要な設備投資を行ってこなかったと指摘。資源エネルギー庁の多田明弘電力・ガス事業部長は設備投資が増加していないと認めながら「接続義務を果たしてきた」と強弁しました。
真島氏は、大分県九重町や由布市で、小水力発電計画が、九州電力の送電系統の容量不足を口実に事実上ストップしている事実を突きつけ、地産地消の小規模・分散型電源を後押しするためにも送電網の増強を義務づけるよう提案。林幹雄経産相は再エネ拡大には「送電網の増強は重要だ」と認め、広域機関と全国的な整備をすすめると述べました。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-05-14/2016051406_01_1.html?_tptb=032
2016/04/11
千葉大学と環境エネルギー政策研究所が2007年から続けている「永続地帯」の研究結果で明らかになった。この研究では自治体ごとに再生可能エネルギーの供給量と食料の生産量を調べて、日常生活に欠かせないエネルギーと食料の自給率をもとに地域の永続性を評価する。再生可能エネルギーの太陽光・風力・小水力・地熱・バイオマスによる発電量をもとに電力の自給率を算出した結果、都道府県別では大分県が38.6%で1位になった(図1)。大分県には大規模な地熱発電所が集まっていて、再生可能エネルギーの発電量のうち半分近くを地熱発電で供給している。
市町村別に見た電力の自給率でも大分県の九重町(ここのえまち)が圧倒的な1位だ(図2)。日本最大の地熱発電所である「八丁原(はっちょうばる)発電所」をはじめ、大規模な地熱発電所が3カ所で運転中で、電力の自給率は実に2000%を超える。
第2位と第3位は長野県の南部に位置する2つの村である。高い山が連なる南アルプスから流れてくる川を利用して、水力発電が盛んな地域だ。続く第4位と第5位は熊本県の南部にある2つの村で、同様に水力発電所から大量の電力を供給できる。いずれも自給率は1000%以上に達する。
電力の自給率が100%を超える市町村は2015年3月末の時点で100カ所になった。1年前と比べて5つの市町村が加わった。小さな町や村が多い中で、市でも自給率が100%を超えているところが全国で9カ所ある。秋田県の鹿角・にかほ・湯沢の3市のほか、新潟県の糸魚川市、岩手県の八幡平市、福島県の田村市、徳島県の三好市、石川県の珠洲市、大分県の由布市である。
増加率は茨城県がトップ、太陽光とバイオマスが拡大</h4> 再生可能エネルギーは熱としても利用できる。「永続地帯」の調査では電力のほかに太陽熱・地熱・バイオマス熱を加えて、電力と熱を合わせたエネルギーの自給率も算出している(図3)。
エネルギーの自給率が10%以上に達した県は前回の調査(2014年3月末時点)から7県も増えて、合計で21県になった(図4)。大分県を筆頭に九州が5県で最も多く、東北と関東・甲信越が4県ずつ、中部が3県を占めている。
特に九州の各県の伸びが顕著で、中でも宮崎県は9.5%から15.8%へ6ポイント以上も上昇した。宮崎県ではバイオマス発電が3倍以上に拡大したほか、太陽光発電も2倍に増えている。そのほかの県でも太陽光発電の増加が自給率を引き上げた大きな要因だ。
代表的な例が茨城県である。電力と熱を合わせた再生可能エネルギーの供給量は1年間で83%も増えて、増加率では47都道府県でトップの伸びを記録した。太陽光発電が2.6倍に、バイオマス発電が1.6倍に増えている。これで太陽光発電の供給量は全国で2位、バイオマス発電も3位に拡大した。自給率は5.2%から9.4%へ上昇している。
全国すべての都道府県で再生可能エネルギーの供給量は増加した(図5)。増加率が50%を超えた県は10県にのぼる。大都市圏でも東京都が30%増、大阪府が47%増で順調に拡大している。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1604/11/news028_2.html