2015/07/06
◆供給網構築へ実証実験
東芝は3日、北海道、釧路市、白糠町と連携し、水素の製造から貯蔵、運搬、利用までのサプ ライチェーンを構築する実証実験を行うと発表した。2019年度 までの5年間実施する。北海道白糠町の庶路ダムに出力220キロワットの小水力発電所を建設。そこで発電した電力を利用し、水電解水素製造装置で水素を製 造する。小水力発電所で発電した電力を使い水素を製造するのは、国内で初めての事例となる。
製造した水素は高圧トレーラーで貯蔵・運搬する。道内の酪農施設のほか、温水プールなどに設置される燃料電池へ供給する。酪農施設では1日当たり100 ノ ルマル立方メートル、温水プールでは千ノルマル立方メートルの水素が必要とされる。このほか、トレーラーに貯蔵した水素は、燃料電池自動車(FCV)向け の水素ステーションにも供給する計画だ。(4面)
http://www.shimbun.denki.or.jp/news/industry/20150706_01.html
2015/07/01
7/01 06:20
【白糠】東芝(東京)は本年度、釧路管内白糠町の「庶路(しょろ)ダム」の水力発電で水素を作り、同町内などの酪農 施設や温水施設の燃料にする実証試験を始める。同ダムは送電網から遠く、水力発電の事業化が難しかった。二酸化炭素(CO2)を出さない水力発電の電気を 送電網に流さず、地産地消のエコエネルギーとして利用する道を探る。
環境省によると、水素を作るのにダムの小水力発電を使う本格的な実証試験は全国で初めて。30日付で同省の委託事業に採択された。東芝のほか産業ガス大 手の岩谷産業(大阪市)が参加する。2019年度までの5年間に総額20億円程度の事業費を見込み、国が全額負担する。
計画では、庶路ダムの落差を利用し、出力220キロワットの小水力発電機で電気を起こす。その電気を使い、ダム付近に設けた装置で水を電気分解し て水素を作る。水素は気体の状態で高圧ボンベなどに詰めて貯蔵し、車で同町と釧路市の酪農施設や白糠町営の温水プールに設置する燃料電池に運ぶ。
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0151780.html
2014/10/22
【2014年10月22日(水)夕刊】
西胆振の企業、室工大で構成する産学交流プラザ創造(会長・北山茂一アール・アンド・イー社長)は21日夜、同大の活動拠点・テクノアゴラ(室蘭市輪西町)でシーズ発表会を開いた。小水力発電に着目し、新たな開発テーマを求めて見識を深めた。
創造はこれまでNHK室蘭放送局前のオブジェ・FURAIの再生事業や、函館野外塾の水舞台設計など、大学と企業間の連携でプロジェクトに取り組んでいる。今回は小水力発電を研究する同大くらし環境系領域社会基盤ユニットの中津川誠教授を講師に招いた。
小水力は出力1万キロワット以下の発電を指す。中津川教授は、山梨県都留市の小水力市民発電所の試みを紹介。「上掛け、下掛け、らせんの3種類の水車を市街地の水路に導入した。売電だけでなく一部電力はエコハウスの暖房、植物工場に利用し付加価値をつけている」と指摘した。
太陽光や風力と比べ、水力は設備が60年と長持ちする点から「発電コストが低く設備稼働率が高い。水さえ確保できれば人為的にコントロールした発電ができる」と強調。同大が研究した空知川の金山ダムの事例では、洪水に備えて水が貯められる容量分を小水力に活用する手法も伝えた。
法規制などの課題はあるものの「普通河川であれば室蘭市内にも存在し、小水力発電ができる可能性がある」とした。メンバーからは「創造として何かできないか」との声が挙がり、さらに検討を深める方針だ。
創造は35社の企業と室工大でつくり、情報交換や企業見学会などを通して連携を深め、一致協力して研究開発に取り組む。事務局は室蘭テクノセンターが担っている。
(粟島暁浩)
http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2014/10/22/20141022e_01.html
2014/02/24
函館市企業局は赤川高区浄水場(赤川町)の敷地内に小水力発電設備を整備する。取水先の新中野ダムとを結ぶ導水管路の高低差を利用した発電設備で、新年度からの2年間で整備。2016年度の稼働開始を予定する。未利用の水力エネルギーを有効活用し、環境負荷の軽減につなげる。
同浄水場の取水量は季節変動はあるが、1日平均3万2000立方㍍。約3㌔上流にある新中野ダムとの高低差は約100㍍で、流水の水圧で水車を回す仕組み。
発電設備の最大出力は199㌔㍗で、年間平均発電量(16年度から20年間の想定平均値)は、一般家庭260世帯の年間使用電力量に相当する約140万㌔㍗時を見込む。国の再生エネルギー固定価格買い取り制度を活用して、1㌔㍗時当たり34円で全量を北海道電力に売却し、年間約5000万円の売電益が得られる。二酸化炭素排出量に換算すると、年間約680㌧の削減効果があるという。
総工費は約5億円で、基本設計は本年度に終えており、新年度の水道事業会計予算案に整備費として4035万円を計上。水車の製作や建屋の実施設計に着手する。2015年度に完成、16年度からの発電を開始する。
上下水道部浄水課の川村拓樹課長は「今回の事業を進めるのにあたり、多少なりとも環境負荷の低減に貢献できれば」と話している。
2014/02/19
【函館】函館市は2016年度から、自ら水力発電を手掛けて売電事業に乗り出す。14年度から赤川町の赤川高区浄水場敷地内で小水力発電設備の建 設に着手。3キロ上流の新中野ダムとの標高差で生じる水圧を利用して発電し、全量を北海道電力に販売する計画。市として再生可能エネルギー普及に貢献する 姿勢を示す狙いだ。
同市企業局の計画によると、導水管を経由して取水する沈殿池の手前に、発電設備と建屋を設ける。新年度は水車の製作と建屋の実施設計を行う経費として約 4千万円を予算案に計上した。本格的な工事は15年度に行い、総工費は約5億円。完成後の最大出力は199キロワットで、16年4月の発電開始を予定す る。
発電量は一般家庭260世帯分に当たる140万キロワット時を想定。電力会社が20年間決められた価格で電気を買う、国の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度を利用し、売電価格は年平均5千万円を見込む。総工費は10年程度で回収できるという。
市は06年度に小水力発電導入の検討を始めたが、収支が合わずいったんは見送った。しかし、国の買い取り制度導入を受けて本年度あらためて調査した結果、採算見通しが立ったという。
ただ、今後生じる売電益は使わず、将来想定される大規模修繕費用が不足しないよう積み立てる方針。このため財政面には寄与しないが、市は近く電源開発大 間原発(青森県大間町)の建設差し止め訴訟の提起を予定しており、自ら環境に優しい発電を手掛け、再生可能エネルギー普及への貢献をアピールする。(星野 真)