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2016/09/27

課題も多い小水力発電、普及拡大へクリアすべき6項目【スマートジャパン】

2016年9月27日掲載
日本の安定的なエネルギー源として普及が期待されている小水力発電。一方で設備コストや事前調査コストが高いなど、導入拡大に向けては課題も多い。新エネルギー導入促進協議会はこうした日本国内の小水力発電の実態調査を実施し、その結果を公表した。現状の課題と、さらなる普及に向けた今後の指針を示している。
[陰山遼将,スマートジャパン]

新エネルギー導入促進協議会(NEPC)は、小水力発電の導入・普及促進を目的に「平成27年度 小水力発電の導入促進に係る調査業務」を実施し、このほどその概要を公表した。小水力発電事業の課題となっている高額な設備コスト焦点を当てており、水車・発電機の活用動向と現状の課題をまとめている。
1000kW(キロワット)以下の小水力発電事業を実施する場合、初期投資の多くを水車や発電機などの設備コストが占める。一方、事業者側の視点から見れば、発電量事業性を規定する部分であり、どういった設備を選択するかは非常に重要なポイントになる。そのため、発電量を高めるために事業地に適したオーダーメイドの設備を発注する例が多いという。しかしこうしたオーダーメイド製品の採用が、初期投資額の高額化につながっている面もある。
今回の調査では、まず国内の水車・発電機メーカーに対し、量産できる汎用製品とオーダーメイド製品の生産割合を調査した。その結果、15社の中で汎用製品を製造しているメーカーは4社で、受注割合の大半はオーダーメイド製品となっていることが分かった。市場が小さく、メーカー側に価格競争のインセンティブが働かない構造である点や、事業者側が効率の高い製品を望んでいること影響した結果といえるだろう。

図1 国内の水車・発電機メーカーにおける汎用製品とオーダーメイド製品の生産割合 出典:NEPC

では汎用品が普及し、コストが下がる見込みはないのだろうか。今回の調査ではメーカー側にヒヤリングを実施している。その結果、メーカー側には水車・発電機を既成品化・量産化すれば、コストダウンを図れるという共通認識があるとしている。しかし既製品では流況に合わせた性能の最適化ができないため、オーダーメイド製品に比べて発電効率が劣る。すなわち販売量は見込めないため、メーカー側としては量産化に向けた製造ラインの新設には踏み切れないというジレンマがあると指摘している。

メーカーと事業者がWin-Winになるためには?

一方、今回の調査で小水力発電事業の事業採算性をシミュレーションした結果、流況など条件によっては、オーダーメイド製品よりも性能で劣る汎用製品の水車を採用した方が、総合的な事業採算が改善する場合もあったとしている(図2)。これは1台のオーダーメイド製品を使用する場合と、3台の汎用品の水車を使う場合を比較したもの。設備の出力は汎用品の方が100kWほど劣るが、低流量時に台数をしぼって運転できるメリットを生かすことで、シミュレーション上ではオーダーメイド製品を利用した場合より事業採算性で上回った。

図2 NEPCが行ったシミュレーションの結果 出典:NEPC

この結果を受け今回の調査では、事業者側が水車効率の低下をある程度許容し、汎用製品の採用を進めることで、メーカー側に水車・発電機の既成品化・量産化と、価格競争を促す必要があるとしている。しかしこれを実現するためには、中長期的な水車導入市場を確保し、事業者・水車メーカーなど関連するプレイヤーがリスクマネーの低減に向けお互いに協力・努力する必要があると指摘した。

海外製品の採用は拡大する可能性あり

再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)の開始以降、小水力発電事業の増加により国内メーカーへの水車・発電機の発注量が増加した。それに伴い発注から納入までの調達期間の長期化や価格の高騰が進んでいる。調査ではこうした影響で、事業者側に水車や発電機を海外から調達することへの感心が高まっているとしている。そこで今回の調査では、複数の海外水車メーカーへのヒヤリングおよび海外製品の利用実態について調査した。
ヒヤリングを行った海外の水車メーカーは、チェコのMavel社とCINK社、ドイツのHydroWatt社、ブルガリアのVaptech社の4社。いずれも日本国内への導入実績がある(図3)。

図3 調査を行った海外メーカーの一覧 出典:NEPC

ヒヤリングの結果、海外展開への意欲は高く、条件さえ整えば日本への導入も問題ないとする会社が多いとしている。また、成熟した水力発電市場が形成されている欧州では、今回の調査対象以外にも水車メーカーが数多く存在する。一方で、欧州市場は、これ以上の大きな拡大成長は望みにくく、日本を含むアジアへの展開を検討する企業も多いという。また、欧州では日本の水力開発が一時停滞した際にも市場が存在し続けた。そのため、あらゆる規模の水力発電の設計ノウハウを持つ企業が多く、安価で効率の高い水車を量産化できる企業も存在するとした。
こうした状況を踏まえると、日本国内において海外製品の活用が促進する可能性があるが、課題となるのは維持管理や運用保守の点だ。日本の水車メーカーや電気工事会社の技術者が、海外製品のアフターフォローができる体制を整えて必要がある。また、電力会社との系統連系の基準など、制度面での改善も必要となると指摘した。

NEPCではこうした調査結果を踏まえ、今後の小水力発電の普及に向けた対応策の方向として、以下の6つのポイントを挙げている。

1.参入障壁を下げる
小水力発電事業を行うに当たり必要となる専門知識は多岐にわたり、これが新規事業者に対する大きな障壁となっている。計画段階で目利きのできる外部機関、有識者を活用できる環境を整備し、参入障壁を緩和していく必要がある。なお、経済産業省が2016年度から実施している再エネコンシェルジュ事業、山梨県などの一部地方自治体が設置している相談窓口はこうした機能を担っているとした。

2.金融機関の融資判断を支援する制度の整備
金融機関の小水力発電事業への融資実績は少なく、専門の担当者を設置できている機関も限られている。そのため、金融機関の融資判断を支援する第三者認証制度、技術デューデリジェンスに対する補助制度、技術面の相談窓口設置などの整備が求められる。なお、再エネコンシェルジュ事業、環境省の「平成27年度 地域金融機関等に対する低炭素化プロジェクト」における研修などの委託業務はこの機能を果たしているとした。

3.事前調査の費用負担を軽減
流況調査、測量、地質調査など、小水力発電は事業開始前の事前調査に大きなコストが掛かる。特に水利権を持つ地元関係者との調整に時間と労力を要するのが小水力発電事業の特徴といえる。こうした状況も新規事業者にとっての参入障壁となっており、経済産業省が2016年度から実施している「水力発電事業化促進事業費補助金」などのように、事前調査コストを負担する補助制度が求められる。

4.リスクシェアを図った事例の共有
小水力発電事業への融資実績が乏しい金融機関にとっては、参考とすべき先例の情報は貴重である。小水力発電関係4団体が2017年度の開設を目指しているポータルサイトはこうした情報提供機能を持つ予定で、事例共有の場として期待できる。

5.トラックレコードの共有
小水力発電関係者が新たな発電所建設計画を立案・評価する際に、参照できる開示された既存小水力発電所の運転記録(トラックレコード)が存在すると利用価値は高い。導入実績の乏しい新規参入メーカー製の水車や、海外製品のトラックレコードが公開されていると機種選定の際の参考になる。このような事業者のニーズに関する情報は、メーカーやメンテナンスサービス業者に対しても新たな技術開発やサービス開発のヒントとなる可能性がある。

6.保守体制の整備・拡充
海外製品を導入した際に最も懸念されるのは、故障などの不具合により運転を停止した際のリカバリータイム。代替品や補修部品の速やかな調達などにより、国内製品と比較した場合に同等、あるいは想定される影響の範囲内に抑えられるかが重要なポイントになる。こうした保守体制が整備されると、運転停止によるリスクが軽減され、金融機関の融資判断にもプラスの影響を与えることが期待できる。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1609/27/news010.html

2016/09/12

NEPC、小水力発電の製品・融資・保険などの調査レポートを公開【環境ビジネスオンライン】

2016年9月12日掲載
 一般社団法人新エネルギー導入促進協議会(NEPC)は、小水力発電の導入・普及の促進に向け、汎用製品や海外製品、融資・保険等に関する実態調査を行った結果の概要を公表した。

  調査事業の概要

 小水力発電事業において特に初期投資に占める割合が大きな設備投資コスト低減のため、「(1)汎用製品の活用について調査・検討」するとともに、「(2)海外製品の実態について国内製品と比較・調査」を行い、その活用法について分析・評価した。さらに、小水力発電事業の導入・促進のため、「(3)小水力発電事業における融資等や保険に関する実態調査」を実施し、発電事業者および金融機関にも利用可能なファイナンス面での対応手法等の調査・検討を行った。
 この調査事業「平成27年度 小水力発電の導入促進に係る調査業務」は、三菱総合研究所および新日本コンサルタントに委託して実施した。調査期間は2015年11月16日~2016年3月10日。
 今回、小水力発電の導入・普及の促進に資する取り組みの一環として、本調査業務の成果概要を公開した。

(全文は転載元より会員登録のうえ閲覧できます)

https://www.kankyo-business.jp/news/013302.php

2014/05/28

【NEPC】平成26年度小水力発電導入促進モデル事業の公募について

平成26年5月28日

一般社団法人新エネルギー導入促進協議会(NEPC)は、平成26年度小水力発電導入促進モデル事業の公募を以下のとおり実施します。

  1. 件名平成26年度小水力発電導入促進モデル事業
  2. 事業の概要

    (1)事業の目的

    小水力発電の導入を促進するためにネックとなっている、開発規模の小規模化や立地制約等で生じる「高コスト体質」といった課題を解決するため、試験設備を 使って実証するモデル事業に要する経費等を補助することにより、高性能で低コストな小水力発電関連技術の開発、スケールメリットを活かせるような関連設備 の標準化の促進、立地条件によらない効率的な事業運営モデルの開発など、現在の小水力発電を取り巻く各種課題の解決を目指してまいります。

    (2)補助対象事業者

    水車又は発電機の製造納入実績(ただし、設備の一部を改良し、新たに納入した実績も含む。)のある小水力発電設備メーカー又は水力発電設備を有する発電事 業者(民間事業者等(法人及び青色申告を行っている個人事業者)、非営利民間団体、又は地方公共団体等)が対象となります。

    (3)補助対象事業

    小水力発電の導入促進を図るため、試験設備を用いた実用化に向けた実証事業であって、交付要件、規模要件等を満たす事業に対し、費用の一部を補助します。

    (4)補助率

    補助対象経費の2/3以内

  3. 応募受付期間平成26年5月28日(水)~ 平成26年8月29日(金)17時00分(必着)公募期間内は随時申請を受付けます。なお、協議会への交付申請の到着時期により次のとおり審査及び交付決定時期が異なります。

    一次先行審査:継続事業および交付申請書が平成26年6月10日(火)までに到着し、かつ申請内容に不備のないものについて審査を行い、7月上旬を目途に交付決定を行う予定。

    二次先行審査:交付申請書が平成26年7月31日(木)までに到着し、かつ申請内容に不備のないものについて審査を行い、8月下旬を目途に交付決定を行う予定。

    最終審査:交付申請書が平成26年8月29日(金)までに到着し、かつ申請内容に不備のないものについて審査を行い、9月下旬を目途に交付決定を行う予定。

  4. 応募に必要な書類
    補助金交付申請書及び必要な添付資料を提出して頂きます。具体的には公募要領をご覧下さい。

    公募要領及び申請書各種様式等は以下からダウンロードしてください。

    <ダウンロードファイル一覧>
    1 公募要領(平成26年度版) pdf
    (約1,780KB)
    2 補助金交付申請書作成時のチェックリスト pdf
    (約139KB)
    3 申請書各種様式等 Excel
    (約1,016KB)
    4 補助事業事務処理マニュアル pdf
    (約988KB)

2014/01/30

【NEPC】平成26年度再生可能エネルギー発電設備等導入促進支援対策事業の公募について

一般社団法人新エネルギー導入促進協議会(NEPC)は、平成26年度再生可能エネルギー発電設備等導入促進支援対策事業の公募を以下のとおり実施します。

  1. 事業の概要
    (1)補助対象事業

    本公募開始時点における東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律(平成23年法律第 40号)第2条第3項で定める「特定被災区域」(具体的には公募要領をご覧下さい。)に設置する風力、バイオマス、水力及び地熱の再生可能エネルギー発電 設備(以下「発電設備」という)、及びそれに付帯する蓄電池や送電線(以下「蓄電池及び送電線」という)であって、交付要件、規模要件等(具体的には公募 要領をご覧下さい。)を満たす設備を導入する事業が補助の対象となります。
    太陽光発電に関しては一般社団法人太陽光発電協会JPEA復興センターにて公募を行いますので、太陽光発電の公募に関しては下記ホームページをご覧ください。

    一般社団法人 太陽光発電協会JPEA復興センターホームページ(URL: http://www.jprec.jp/

    (2)補助対象事業者

    風力発電、バイオマス発電、水力発電及び地熱発電の発電設備の導入事業を行う民間事業者等(法人及び青色申告を行っている個人事業者)、非営利民間団体及び地方公共団体等が対象となります。

    (3)補助率

    補助率は発電設備が補助対象経費の1/10以内、蓄電池及び送電線が補助対象経費の1/3以内となります。
    ただし、太陽光発電、風力発電については、別途条件(具体的には公募要領をご覧下さい。)が定められています。

    (4)補助金額

    補助金額は補助対象経費に補助率を乗じた額となります。ただし、1件当たりの年間の補助金額の上限額は、原則として発電設備は5億円、蓄電池及び送電線はそれぞれ5億円とします。
    また、1件あたりの補助金額の上限額は、原則として、発電設備は10億円(補助期間の年数(最大2年)×5億円)、蓄電池及び送電線はそれぞれ10億円(補助期間の年数(最大2年)×5億円)とします。
  2. 応募受付期間平成25年12月20日(金)~平成26年2月14日(金) 17時00分(必着)
  3. 応募に必要な書類補助金交付申請書及び必要な添付資料を提出して頂きます。具体的には公募要領をご覧下さい。
    公募要領は、以下からダウンロードして下さい。

    ダウンロードファイル一覧
    公募要領 pdf
    (約844KB)
    再生可能エネルギー発電設備等
    導入促進支援対策事業実施細則
    (風力発電、バイオマス発電、水力発電、地熱発電に限る)
    pdf
    (約189KB)
    再生可能エネルギー発電設備等
    導入促進支援対策事業実施細則
    (太陽光発電に限る)
    一般社団法人 太陽光発電協会
    ホームページに掲載
    (URL:http://www.jprec.jp/

2013/10/25

福島県向けの再エネ事業補助金、交付先決定 太陽光発電で9件、小水力で2件【環境ビジネス:2013/10/24】

一般社団法人新エネルギー導入促進協議会(NEPC)は、福島県内において、太陽光発電または水力発電を導入する事業と併せて、学習施設等を併設し市民への啓蒙活動を行う事業を行う11事業に対して、補助金を交付する。

NEPCは平成25年度福島県市民交流型再生可能エネルギー導入促進事業費補助金(福島県市民交流型再生可能エネルギー導入促進事業)の公募を行い、その補助金交付先を決定した。

補助交付が決定したのは、太陽光発電の導入事業が9件。

http://www.kankyo-business.jp/news/006069.php

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