過去に投稿された記事の一覧です。

2017/05/10

若狭町が熊川宿に LED街灯に利用 「マツバ」寄付 【毎日新聞/福井】

2017年5月10日掲載
 若狭町は日本遺産・鯖街道の宿場町「熊川宿」を流れる農業用水路3カ所に4基の小水力発電機(出力5~10ワット)を設置した。発光ダイオード(LED)を使った街灯や案内看板の照明などに利用する。
 発電機は、水面に対し垂直に入れた軸の先にある羽根車を水の流れで回転させて発電する仕組み。滋賀県湖南市の電装品加工メーカー「マツバ」が、同町に子会社を置いている縁で町に寄付した。
 2日夜には旧熊川村役場前で点灯式が開かれた。発電機で作った電気で会場に張られた青色の電飾が照らされると、参加した約50人の住民から拍手が起こった。
 町では既に若狭瓜割名水公園(天徳寺)にも同社製の発電機が設置されており、木製水車のライトアップなどに活用されている。
 マツバグループの高畑松夫会長(81)は「東京電力福島第1原発事故後に、小水力発電の開発に取り組んでいる。自然エネルギーの普及につながれば」と話した。【高橋一隆】

https://mainichi.jp/articles/20170510/ddl/k18/010/313000c

2016/09/06

原子力の地にバイオマス発電が拡大、木材と下水から電力を作る【スマートジャパン】

2016年9月6日掲載
福井県でバイオマス発電の導入プロジェクトが相次いで始まった。林業で発生する用途のない木材や下水の汚泥を処理する時に生まれるバイオガスを燃料に利用する。風力発電や小水力発電の取り組みも広がり、停止中の原子力発電所から離れた場所で再生可能エネルギーの電力が増えていく。
[石田雅也,スマートジャパン]

 日本海に面した福井県の中で最も内陸にあるのが大野市だ。周囲を水田に囲まれた広大な土地の一角に、新しい木質バイオマス発電所が2016年4月に運転を開始した。神戸製鋼グループが地元の森林組合や運送会社などと共同で設立した福井グリーンパワーが運営する。
 総事業費40億円をかけて建設した木質バイオマス発電所は7MW(メガワット)の発電能力がある。年間に7~8万トンの木質チップを燃料に使って、5000万kWh(キロワット時)の電力を供給できる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して1万4000世帯分になり、大野市の総世帯数(1万1000世帯)を上回る。
 燃料になる木質チップの原材料は製材工場などから出る端材のほか、森林で発生する用途のない木材や道路工事などに使われた廃材を調達する。発電所に隣接して森林組合の貯木場と木質チップの製造施設を整備して、年間を通じて燃料を安定供給できる体制になっている。
 発電所の中で高くそびえ立つのはバイオマスボイラーである。最初に木質チップを高温の状態にしてガスを発生させて、そのガスをボイラーの中で燃焼して高温・高圧の蒸気を作る。蒸気でタービン発電機を回しながら、ボイラーの排ガスから熱を回収して発電効率を高める仕組みだ。
 さらに規模の大きい木質バイオマス発電所の建設が沿岸部の敦賀市で進んでいる。丸紅グループが東洋紡の事業所の遊休地を賃借して巨大なバイオマス発電所を建設中だ。発電能力は37MWに達して、年間に7万世帯分の電力を供給できる。敦賀市の総世帯数(2万7000世帯)の2.5倍に匹敵する規模になる。
 運転開始は2017年の夏を予定している。燃料は立地を生かして国内と海外から未利用の木材を調達する。発電した電力は固定価格買取制度を通じて、同じ丸紅グループの新電力がFIT電気として企業や家庭に供給する計画である。

  浄化センターにバイオガス発電が広がる

 福井県内では木質バイオマス発電に加えて、下水の汚泥を利用したバイオガス発電の導入プロジェクトが広がってきた。越前市の「家久(いえひさ)浄化センター」では2017年度にバイオガス発電設備の運転を開始する予定だ。
 浄化センターには下水を処理する工程で大量のバイオガス(消化ガス)が発生する。従来はバイオガスを自家消費するだけだったが、最近は全国各地の下水処理場でバイオガスを利用した発電事業が活発に始まっている。家久浄化センターを運営する越前市は民間の事業者に委託して発電事業を実施する。
 バイオガスの発生量は年間を通じて一定ではない。気温や地域の特性によって影響を受ける。さらに自家消費する量も季節によって変わるため、発電に利用できるバイオガスの量は常に変動する。発電設備の導入にあたっては、バイオガスの利用可能量を想定して最適な発電能力を決めることになる。
 家久浄化センターのバイオガス発電は公募で選ばれた県内企業のマルツ電波が建設・運営を請け負う。越前市はバイオガスの売却と発電設備の土地使用料を合わせて年間に最大90万円を得られる見込みだ。発電事業を実施する20年間の累計では1800万円になり、余剰のバイオガスが新たな収益をもたらす。
 これまでにマルツ電波は福井県内の2カ所の浄化センターでバイオガス発電設備を稼働させている。福井市の「日野川(ひのがわ)浄化センター」と坂井市の「九頭竜川(くずりゅうがわ)浄化センター」で2014年に運転を開始した。発電能力が25kW(キロワット)の発電機をバイオガスの利用可能量に合わせて複数台の構成で導入している。
  日野川浄化センターでは12台のバイオガス発電機を導入して、合計で300kWの発電能力がある。年間に8600時間(約358日)の稼働で228万kWhの電力を供給できる。一方の九頭竜川浄化センターは10台の構成で208万kWhの電力量を想定している。それぞれで一般家庭の600世帯程度の使用量に匹敵する。

  滝の近くに太陽光と小水力のエコビレッジ

 このところ福井県では再生可能エネルギーの中でも、風力・中小水力・バイオマス発電の導入事例が増えてきた。固定価格買取制度の認定を受けた発電設備の規模では、風力が全国で19位、中小水力が26位、バイオマスが25位に入っている。
 風力発電では日本海に面した福井港の先端に、北陸電力グループが4基の大型風車を建設中だ。1基あたりの発電能力は2MWで合わせて8MWになる。2017年1月に運転を開始する予定で、年間の発電量は1440万kWhを見込んでいる。一般家庭の4000世帯分に相当する。
 小水力発電のユニークなプロジェクトもある。原子力発電所が数多く集まる若狭湾から内陸に10キロメートルほど入った山間部で、「若狭瓜割(うりわり)エコビレッジ」の開発が進んでいる。美しい滝の周辺に、環境と共生することを目指して新しい街をつくる計画だ。
 住宅の屋根に太陽光パネルを搭載する一方、滝と住宅の近くに小水力発電設備を導入してエネルギーの地産地消を推進する。環境に優しい生活スタイルに魅力を感じる若者が全国から移住してくることを期待している。
 福井県のエネルギー政策は現在も原子力が中心だが、発電所が立地していない地域では再生可能エネルギーの取り組みが活発になってきた。原子力と比べれば発電規模は圧倒的に小さい代わりに、大規模な停電を引き起こす心配がなく、深刻な放射能汚染のリスクも避けられる。原子力の再稼働が滞る間に、再生可能エネルギーの電力が山間部を中心に浸透していく。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1609/06/news021.html

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