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2016/09/15

再生エネ重視「エコ配慮」確認を 新電力会社選び課題は?【中日新聞】

2016年9月15日掲載
 消費者が電力会社を選べる電力の小売り自由化から間もなく半年。環境に優しい再生可能エネルギーを主体として家庭に供給する新電力会社が増えている。こうした趣旨に賛同して、エコな電気を選ぶには、どこをみたらよいのか。再生エネを応援する市民団体に、選ぶポイントや課題を聞いた。
 「消費者が何を選ぶかが大事」。太陽光や風力など再生エネ重視の電力会社を応援する市民運動「パワーシフト・キャンペーン」運営委員会の吉田明子さんは力を込める。
 キャンペーンは、「脱原発」への市民参加を推進する目的。原発を持つ大手電力会社から、再生エネを中心に据える新電力会社に切り替えれば、脱原発を推進できると、地球規模の環境問題に取り組む国際的なNGO「FoE Japan」などが展開している。キャンペーンのホームページでは、委員会が考える電力会社を選ぶ際の五つのポイント=図=を各電力会社の代表や担当者に直接聞いて、紹介している。
 紹介する新電力は、電力自由化が始まった四月時点では十社。そのうち、家庭向けに電力を供給していたのは四社のみだった。現在は十七社に増えている。家庭向けに供給する会社も、試験供給も含めると十社以上に上るという。
 再生エネを前面にアピールしている会社でも、必ずしもエコに配慮しているとは限らない。大規模太陽光発電施設(メガソーラー)設置のために森林を伐採したり、電気を多く使うほど割安になる仕組みをPRしたりしている会社もある。
 今後は、再生エネの絶対量の少なさも課題になりそうだ。大規模な水力発電を除くと国内の再生エネの割合は5%。さらに、その電源となる発電施設のほとんどは大手の所有で、新電力が再生エネを調達するのは簡単ではない。
 環境保護団体「気候ネットワーク」によると、現在、石炭火力発電所の新設計画は全国で四十八。石炭は低価で仕入れられ発電コストも安いが、二酸化炭素(CO2)排出量は天然ガスの約二倍。吉田さんは「石炭火力を選べば、温暖化対策でCO2の出ない原発推進を、という流れにつながる」と危惧する。
 委員会が推薦する電力会社の紹介サイトは「パワーシフト・キャンペーン」で検索。

  予想以上の契約数 新電力「Looop」

 「契約数は予想以上です」。委員会が紹介する新電力の一つ、Looop(ループ、東京)の担当者は、こう話す。
 四月の電力自由化とともに家庭向けの供給を開始。当初は一年間で二万件の契約を見込んでいたが、これまでに東京、中部、関西電力管内で計二万三千件の契約があった。
 供給する電力は、国の再生エネ固定価格買い取り制度(FIT)を通じた太陽光などが26%。九月からは東北でも一般家庭の受け付けを始めた。
 地域の新電力も準備を進めている。愛知電力(愛知県一宮市)は夏から試験的に家庭向けの供給を開始。既に約八十カ所の事業所に供給しており、上本貴雅代表取締役は「一般家庭も年内に始めたい」と言う。
 同社は地元の太陽光発電を中心に電力を調達し、電源構成の45%(四月時点)をFIT電気が占める。上本さんは「地域貢献につながるビジネスを展開したい」と話す。
 (寺西雅広)

http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2016091502000005.html

2016/09/06

送配電ネットワークの利用料、発電事業者も2020年度から負担へ【スマートジャパン】

2016年9月6日掲載
電力市場の構造改革に伴って送配電ネットワークの費用負担を見直す。現在は小売電気事業者が電力会社の送配電ネットワークを利用するために託送料金を支払う仕組みになっている。2020年度に実施する発送電分離に合わせて、発電事業者も送配電ネットワークの費用を負担する制度に変わる。
[石田雅也,スマートジャパン]

自由化で電気料金が安くなったが、小売電気事業者にとっては電力会社に支払う送配電ネットワークの利用料(託送料金)の負担が大きい(図1)。地域によってばらつきはあるものの、小売価格の4割強を託送料金が占めている。一方で電力を供給する発電事業者には託送料金は発生しない。

図1 現在の電気料金の仕組み。出典:資源エネルギー庁

電力市場の健全な競争を促進する電力・ガス取引監視等委員会が、こうした送配電ネットワークの費用負担の仕組みを変更する検討に入った。送配電ネットワークの費用には発電所から変電所、さらに住宅・商店やビル・工場まで電力を送る配電のコストが含まれている(図2)。

図2 送配電ネットワークの費用の対象(原価・単価は東京電力の例、画像をクリックすると拡大)。出典:電力・ガス取引監視等委員会

このうち発電所の費用は電力会社の火力発電所と水力発電所が対象になる。送配電ネットワークを流れる電力の周波数を調整する「アンシラリー」と呼ぶサービスのコストだ。電力は需要と供給力の変動によって周波数が不安定になるため、火力発電所や水力発電所の出力を上げ下げして調整する必要がある。需要家に供給する電力の品質を維持するコストであることから、小売電気事業者が負担する託送料金の原価に入っている(図3)。

図3 託送料金原価の算定方法。NW:ネットワーク。出典:電力・ガス取引監視等委員会

ところが電力市場の構造変化によって新たな課題が出てきた(図4)。再生可能エネルギーの電源を含めて発電設備が拡大すると、それに合わせて送配電ネットワークの容量を増強しなくてはならない場合がある。増強にかかる工事費は原則として電力会社が負担することになっているため、託送料金の原価が増える。発電設備に関連したコストであるにもかかわらず、小売電気事業者が託送料金として負担する。

図4 送配電ネットワークの費用負担の課題。VPP:仮想発電所。出典:電力・ガス取引監視等委員会

地産地消などを対象に割引制度も検討

電力・ガス取引監視等委員会が検討している新しい費用負担の仕組みは、小売電気事業者を対象にした託送料金に加えて、発電事業者にも発電設備の容量に応じて課金する方法である(図5)。すでに欧州ではイギリスやフランスをはじめ各国が発電設備に課金する制度を導入している。

図5 送配電ネットワークの費用負担の変更イメージ。NW:ネットワーク。出典:電力・ガス取引監視等委員会

送配電ネットワークの費用は発電設備の立地場所によって変わる。このため地域ごとに料金を変える案も検討していく。現在でも地域によって託送料金を安くする制度はある。「需要地近接性評価割引制度」と呼ぶもので、需要の多い地域に立地する発電設備から電力の供給を受ける場合などを対象に託送料金を割り引く(図6)。

図6 「需要地近接性評価割引制度」の適用対象地域(画像をクリックすると理由も表示)。出典:電力・ガス取引監視等委員会

典型的な例は東京電力の管内で、供給力に対して需要の多い1都4県が割引制度の対象に指定されている。このほかにも新しい発電設備が加わることによって送電時の電力の損失を低減できるような地域は割引制度の対象になる(図7)。

図7 送配電ネットワークの潮流の変化。出典:電力・ガス取引監視等委員会

今後は現行の割引制度を見直しながら、送配電ネットワークの運用コストを低減させる効果が期待できる利用方法に幅広く適用していく方針だ。発電した電力を地域内で消費する地産地消のケースが好例で、送配電ネットワークを広域で利用しないことから運用コストの低減につながるとみなされる(図8)。

図8 送配電ネットワークの高度な利用例と託送料金インセンティブ。出典:電力・ガス取引監視等委員会

送配電ネットワークの費用負担の見直しに関しては、2016年度中に基本方針をとりまとめる。2017年度には料金の算定方法を含めて詳細な制度の設計を完了させる。その後の2年間で電力会社のシステムの改修など準備を進めて、2020年度から新しい料金体系を導入する予定だ。

2020年度には電力会社の送配電部門を分離・独立させる発送電分離を実施することが決まっている(図9)。この段階では電力会社の発電部門も他の発電事業者と対等の立場で競争する必要がある。送配電ネットワークの運用コストを発電事業者と小売電気事業者が適切に負担する仕組みは発送電分離にも欠かせない。

図9 発送電分離(送配電部門の中立化)の実施イメージ。出典:資源エネルギー庁

 

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1609/06/news031.html

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