過去に投稿された記事の一覧です。

2017/02/08

広島県・福富ダムの小水力発電所、電力の購入者を入札で募集【環境ビジネスオンライン】

2017年2月8日掲載
 広島県は2月7日に、広島県福富ダム発電所の電力について一般競争入札を行うことを発表した。
 売払対象は、広島県福富ダム発電所に導入した小水力発電による電力のうち、福富ダム管理用電力として広島県が消費する電力を除いた電力。売払予定数量は4,800,000kWhだ。なお、売払予定数量は2017年度および2018年度の売払量を保証するものではないとしている。
 契約期間は、契約の日から2019年3月31日まで。ただし、電力受給開始日は2017年4月1日からとする。
 入札価格は1kWh当たりの単価。落札価格は、入札書に記載された金額に、その8%が加算され、1.08倍の金額となる。そのため、入札書に記載する金額は、契約希望金額の100/108の金額を記載すること、としている。
 入札参加には、次の要件をすべて満たしていることが必要となる。

 01.地方良治法施行令第167条の4の規定のいずれにも該当しない者であること。
 02.電気事業法第2条の2に定める小売電気事業者の登録を行ったもの。
 03.民事再生法の規定による再生手続開始の申立てまたは、会社更生法の規定による更正手続開始の申立てがなされていないこと。
 04.本件調達の公告日から開札日までの間のいずれの日においても、広島県の指名除外を受けていない者であること。

 また、一般競争入札への参加希望者は、入札説明書に明記されている申請書や必要書類などを提出する。これらの確認の結果、入札参加資格に適合するとされた者が入札の対象となる。
 入札説明書および、仕様書等の交付場所は、広島県土木建築局道路河川管理課。交付期間は2017年2月7日から2月17日まで。入札説明書・仕様書等の入手方法は、上記交付場所で直接の受け取り、または郵送による請求ができる。ただし、郵送による請求の場合は、2月13日必着で、返信用の封筒及び切手の同封が必要。
 その他、詳細については、広島県からの発表を参照のこと。

https://www.kankyo-business.jp/news/014315.php

2016/12/13

遊園地がメガソーラーに、島にはCO2の少ない石炭火力発電所【スマートジャパン】

2016年12月13日掲載
広島県では太陽光・小水力・バイオマスを利用した発電設備が拡大中だ。遊園地の跡地やゴルフ場の隣接地でメガソーラーが運転を開始した。山間部にある2つの川をつなぐ水路では小水力発電所が稼働した。世界で最先端の石炭ガス化発電所やバイオマス混焼発電所の建設も進んでいる。
[石田雅也,スマートジャパン]

 広島県の北部にある安芸高田市(あきたかたし)では、2008年までテーマパークの「広島ニュージーランド村」が営業を続けていた。自然が豊かな環境の中でヒツジやヤギと触れ合えることを売り物に、1990年に開園した当初は人気を呼んだものの、その後は入園者が減少して閉鎖に追い込まれてしまった。
 広さが100万平方メートルに及ぶ広大な跡地を利用して、「ウエストニュージーランド村ソーラーパーク」が2016年3月に運転を開始した。テーマパークの地形を生かして太陽光パネルを設置する一方、建物は保存して地域の住民に開放する予定だ。
 太陽光パネルの設置数は3万8000枚にのぼり、発電能力は9.6MW(メガワット)に達する。年間の発電量は1030万kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算すると2900世帯分に相当する電力になる。発電した電力は固定価格買取制度で中国電力に売電して、年間に4億円強の収入を得られる計画だ。
 このメガソーラーから40キロメートルほど南に下ると、瀬戸内海に面してゴルフコースを備えたリゾート施設がある。ゴルフコースに隣接する3万平方メートルの敷地には、発電能力2MWのメガソーラーが2016年5月に運転を開始した。
 雨が少なくて日射量が豊富な瀬戸内式気候の特徴を生かして、年間の発電量は290万kWhを想定している。設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は16%を超える水準になり、国内の太陽光発電の標準値13%を大幅に上回る。一般家庭で800世帯分の電力を供給できる。
 同様に瀬戸内海の沿岸部にある工業地帯の一角では、中国電力グループのエネルギア・ソリューション・アンド・サービスが「ESS福山太陽光発電所」を2016年4月に稼働させた。発電能力は7.2MWで、年間の発電量は980万kWhになる。このメガソーラーの設備利用率も15.5%と高い。隣接地には中国電力の「福山太陽光発電所」(3MW)が2011年から運転を続けている。

  2つの川のあいだに28メートルの落差

 沿岸部とは対照的に降水量の多い内陸部へ行くと、小水力発電の取り組みも活発だ。山に囲まれた北部の北広島町では、中国電力の99カ所目の水力発電所「芸北(げいほく)発電所」が2016年3月に運転を開始した。
 この小水力発電所は中国山地から流れてくる川に面して建っている。ただし発電に利用する水は別の川から取り込む。2つの川のあいだをつないで、2カ所のダムの水量を調整するための分水路が山の中を通っている。2キロメートルほどの距離がある分水路の途中に取水口と水槽を設けて、そこから水圧管路で発電所まで水を送り込む方式だ。
 水流の落差は28メートルになり、最大で毎秒2立方メートルの水を発電に利用できる。発電能力は430kWで、年間に220万kWhの電力を供給できる見通しだ。一般家庭の600世帯分に相当する。これまで分水路を流れる水はダムの水量を調整するために使われてきたが、新たに再生可能エネルギーの電力を生み出せるようになった。
 長距離にわたって敷設する水圧管路には一般的な鉄製ではなくて、高密度ポリエチレン樹脂で作った水管を採用した。鉄管に比べて腐食に強く、耐震性に優れている点が特徴だ。中国電力は芸北発電所で初めて採用した。軽量で施工しやすいうえに、市販品を利用できるために工事費が安く済むメリットもある。水車発電機には汎用的な横軸フランシス水車を導入した。
  県営のダムでも小水力発電の導入プロジェクトが始まっている。県内に10カ所あるダムを対象に発電事業の可能性を調査した結果、中部の東広島市にある「福富ダム」ならば採算がとれる見通しが立った。ダムの直下に発電所を建設して、ダムから下流に放流する水を取り込む方式だ。42メートルの落差で最大1.5立方メートル/秒の水量を利用できる。
 発電能力は370kWまで上げることが可能で、2017年度に運転を開始する予定だ。年間の発電量は200万kWhを見込んでいる。このうち180万kWhを固定価格買取制度で売電して、年間に5200万円の収入を得ることができる。一方で事業費に約4億円かかり、毎年の運転維持費に900万円を想定している。買取期間の20年間の累計では3.3億円の利益を出せる計画である。

  木質バイオマスを45%混焼する石炭火力発電所

 広島県の再生可能エネルギーは太陽光発電と小水力発電に加えて、バイオマス発電の導入量も増えてきた。固定価格買取制度の認定を受けて運転を開始したバイオマス発電設備の規模は全国で11位に入る。その中でも林業が盛んな地域の資源を生かして、木質バイオマス発電の導入が進んでいる。
 木質バイオマスと石炭を混焼する大規模な発電所の建設プロジェクトがある。広島ガスがLNG(液化天然ガス)の基地の構内に、発電能力11万2000kWの「海田(かいた)バイオマス混焼発電所」を建設する計画だ。2017年に着工して、2019年に運転開始を予定している。
 地域の林地残材や海外から輸入する木質バイオマスを年間に26万トン利用する。さらにコストの安い石炭を32万トン、補助燃料として天然ガスを1~2万トン加える予定だ。バイオマスの混焼比率は45%になり、石炭火力発電で問題になるCO2排出量を抑制できる。最先端の発電設備でもCO2排出量は0.8kg-CO2/kWh(キログラム換算CO2/キロワット時)を超えてしまうが、6割以下の0.458kg-CO2/kWhまで低下する。
 石炭火力発電のCO2排出量を低減する試みは、瀬戸内海に浮かぶ大崎上島(おおさきかみじま)でも進行中だ。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援を受けて中国電力とJ-Power(電源開発)が共同で取り組む「大崎クールジェンプロジェクト」である。石炭をガス化してからガスタービンと蒸気タービンで2段階に発電するIGCC(石炭ガス化複合発電)の実証試験設備が2016年8月に運転を開始した。
 IGCCで発電効率を高めてCO2の排出量を減少させたうえで、排出したCO2を回収して再利用する。最終的には発電に伴って発生する水素まで回収して、燃料電池でも発電するIGFC(石炭ガス化燃料電池複合発電)へ進化させる構想だ。
 IGFCの実証運転を2021年度まで続けた後に、2025年をめどに発電設備を大型に拡張できる技術を確立する。この時点で発電効率(燃料の熱エネルギーを電力に変換できる割合)は55%に達して、最新のLNG火力発電と同等の水準になる見通しだ。広島県が次世代の石炭火力発電の技術開発をけん引していく。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1612/13/news016.html

2016/11/21

【eco最前線を聞く】洋上風力や小水力で「エコな電力」を【SankeiBiz】

2016年11月21日掲載

丸紅 幾島渉・国内電力プロジェクト部長

 丸紅は今年4月の電力小売り全面自由化を受け、家庭向け電力販売にも参入した。同社グループが持つ国内発電能力は約47万キロワットだが、うち6割以上は洋上風力発電をはじめとする再生可能エネルギーが占めている。地球温暖化防止に向けて二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出抑制が求められるなか、丸紅は消費者に「エコな電力」をアピールする。今夏には秋田県で洋上風力の事業化調査を開始したほか、小水力発電の拡大も精力的に進めている。同社の幾島渉・国内電力プロジェクト部長に話を聞いた。

 ◆アジアでの展開視野

 --秋田県の洋上風力の計画は

 「大林組や関西電力など計14社で秋田港と能代港に洋上風力発電所を建設する事業化調査を開始した。着床式と呼ばれる海底に土台に建設する方式で2020年くらいの稼働を目指す。日本は海に囲まれているからもっと洋上風力を活用できる余地があると思うが、欧州に比べて出遅れていた。そこでまず、ノウハウを蓄積しようと11年9月に先行する英国の洋上風力発電所の運営に参画した」

 --そこで得たノウハウは

 「着床式の洋上風力の建設や修理には、専用船による据え付け工事が欠かせないと分かった。そこで産業革新機構と共同で専用船を持つ英シージャックス・インターナショナル社を買収した。専用船は需要がある地域に船を運航すれば作業ができるので、将来の日本やアジアでの展開を視野に入れ、13年にシージャックスの日本法人も設立した。洋上風力の経済波及効果は大きく、ドイツでは造船不況で衰退した港町が洋上風力で再生した事例がある。産業振興につながる」

--着床式だけでなく浮体式にも注力している

 「日本の海は欧州とは違って浅瀬は多くないので着床式だけでは限界がある。だから浮体設備を海に浮かべて、その上に風車などを搭載する浮体式の開発は欠かせない。福島沖の実証試験には三菱重工業や東大など10社1大学が参画し、15年から風況や耐久性、環境・漁業などへの影響を調査している」

 ◆自治体との連携重要に

 --浮体式の課題は何か

 「技術やコスト面など課題もある。だが、東日本大震災による原発事故で被災した福島県の復興事業の目玉であり、地元と協力して実証試験を着実に進めたい。英国は海岸線が王室管理のため漁業者との権利調整を進めやすい。だが、日本では権利関係が複雑なため、国や自治体との協力関係が重要になる」

 --小水力発電が見直されている

 「小水力は農業用水や河川の高低差を利用し、水車で小型発電機を回し発電する仕組みだ。太陽光など他の再生エネに比べて天候などに左右されず稼働率も高い安定電源だ。こまめにメンテナンスしていけば、100年という長期間使えるのも魅力だ。自治体からも小水力を手掛けたいというニーズが高まっている」

 --小水力の今後の計画は

 「小水力も水利権や用地買収交渉、さらには許認可などで、事業化までに5年程度はかかってしまう。だから自治体との連携が鍵になる。山梨県北杜市では官民連携で同市の用水路に小水力発電所を3カ所建設した。現在、長野県や福島県、広島県など15カ所で小水力を運営している。そのほかにも全国で調査を進めており、20年に30カ所に増やす計画は達成できると思っている」(上原すみ子)

【プロフィル】幾島渉
 いくしま・わたる 早大商学部卒。1990年丸紅入社。海外電力プロジェクト第三部副部長、国内電力プロジェクト部副部長などを経て、2016年4月から現職。49歳。千葉県出身。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1611/16/news026_2.htmlhttp://www.sankeibiz.jp/business/news/161121/bsd1611210500005-n2.htm

2016/05/30

地域経営の全量売電式「小水力発電所」を考案した織田史郎【環境ビジネスオンライン】

2016年5月30日掲載

はじめに

 昭和25年から20年間に中国地方5県では地域経営の自家用小水力発電所が90カ所(1万2,200kW)建設され、そのうち82カ所は、全量売電式で農村の経済効果のみならず戦後の厳しい電力不足に大きく貢献している。
 ここでは昭和21年中国配電(現中国電力)役員を辞任した「織田史郎」(イームル工業創立者)が、地域の小河川を利用した小水力発電が有力な電源として役立つことを考案し、その開発に生涯をかけた活動をまとめたものである。

織田史郎の略歴と人となり

 織田史郎は明治29年、4男2女の長男として広島県海田町に生まれた。家庭の経済状況から早く仕事につくため職工学校(現広島県立工業高校)へと進んでいる。織田史郎の弟は1,928年アムテルダムオリンピックにおいて、三段跳びで日本初の金メダリストに輝いた織田幹雄。幹雄の10歳上の兄である織田は、広島陸上界のホープである弟を、自らの資金援助により早稲田大学に通わせている。この時の織田は、学歴無しの入社ながら、電力会社で第一種電気主任技術者の資格をとるほどの優秀な社員で、破格の待遇を受けていたという。
 織田の賢人ぶりを思わせるエピソードが残っている。職工学校2年生の時、朝鮮人観光団の学校視察の折、生徒たちが教室のドアーに微電流を流し、案内の校長がノブに手をかけて発覚、激怒するといういたずら事件が起こった。
 織田は首謀者として放校された。しかし、実際は織田があまりに勉強家で、教科書以外にも海外の電気技術書を自習し、教師も知らないことを質問し困らせていたことが要因とされている。
 学歴は尋常高等小学校卒となったものの、職工学校で群を抜いて優秀な生徒がいるとの評判は、電力会社に伝わっていた。織田は、広島呉電力会社に就職、入社後も海外書を英語・ドイツ語辞書で読むなど猛勉強し、難関の電検一種合格したのは28歳だ。すでに対官庁では役員級の対応を受ける貴重な技術者であった。発電建設部長から42歳で取締役技術部長に昇格。豪邸を建てたが、書物が入りきらず、別棟に書庫を建てたという逸話も残っている。
 昭和20年の敗戦時には50歳、中国配電筆頭理事の要職にいたが、敗戦濃い20年初めにロケットの制御技術担当責任者として軍に招集されている。
 しかしこれが仇となって昭和21年11月マッカーサー追放令の対象者となり、退職金無しで同社を辞任した。
(続きは掲載元より会員登録のうえ閲覧できます)

https://www.kankyo-business.jp/column/012675.php

お問い合わせ
候補地点についてのご相談や、「小水力」に関するお問い合わせ、 当サイトへのご連絡は、こちらより承ります。
お問い合わせはこちら