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2016/04/07

2本の川をつないで600世帯分の電力に、中国電力が99カ所目の水力発電所【ITmedia】

2016年4月7日掲載
中国電力が99番目の水力発電所として建設を進めていた「芸北(げいほく)発電所」が3月30日に運転を開始した。広島県の北西部に広がる北広島町にあり、近くには大規模なダムや水力発電所が運転中だ(図1)。芸北発電所は中国電力が発電用に運営している「王泊(おうどまり)ダム」に水を供給するための分水路を利用した。

geihoku1_sj.jpg図1 「芸北発電所」の位置(左)、周辺の川・ダム・水力発電所(右)。出典:中国電力

王泊ダムは中国山地から流れる滝山川(たきやまがわ)の水を貯めて、下流に建設した「滝山川発電所」に水を供給する役割だ。滝山川発電所は中国電力で最大の水力発電所で(揚水式を除いて)、最大出力は5万1500kW(キロワット)にのぼる(図2)。発電に使う大量の水をダムに貯めるため、近くを流れる大佐川(おおさがわ)の水を分水路で取り込んでいる。

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geihoku7_sj.jpg図2 「王泊ダム」の貯水池(上)、「滝山川発電所」の建屋(下)。出典:中国電力

全長が2キロメートルほどある分水路のうち、勾配が急な区間に新たに水圧管路を埋設して小水力発電に利用する(図3)。この方法で発電に使える水流の落差は27.5メートルになる。最大で毎秒2立方メートルの水を取り込んで、430kWの電力を供給できる。

geihoku2_sj.jpg図3 発電設備の全体構成。平面図(上)、断面図(下)。出典:中国電力

年間の発電量は223万kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の電力使用量(年間3600kWh)に換算して600世帯分に相当する。北広島町の総世帯数(8500世帯)の7%にあたる発電量になる。

発電所の設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は59%に達して、小水力発電の標準値である60%に近い水準だ。発電量は小規模ながら、これまで使われていなかった水力のエネルギーで地域に安定的に電力を供給できる。

ポリエチレン管を使ってコスト削減

芸北発電所は既設の分水路を生かしながら、水を取り込むための取水口と水槽のほか、発電所に水を送るための水圧管路、さらに水車と発電機を設置するための建屋を新設した(図4)。工事期間は全体で1年7カ月かかった。

geihoku4_sj.jpg図4 「芸北発電所」の建屋。出典:中国電力
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小水力発電は供給できる電力量が少ない割に建設費と運転維持費が高く、採算性の問題がある。中国電力は芸北発電所の建設費を削減するために、通常は鉄管を使う水圧管路に市販のポリエチレン樹脂管を初めて採用した(図5)。

高密度のポリエチレン樹脂で作った水管は内部からの水圧に耐えられるうえに、鉄管と違って腐食に強い。加えて軽量で施工しやすく、耐震性にも優れている。市販品が安く販売されているため、長い距離が必要な水圧管路に採用すれば建設費を大幅に抑えることができる。

geihoku3_sj.jpg図5 水圧管路の完成イメージ(上)、据付工事(下)。出典:中国電力

中国電力は現在のところ100カ所目の水力発電所を建設する計画を発表していない。環境破壊につながる大規模な水力発電所を新設することはむずかしく、次も小水力発電になる可能性が大きい。安価な樹脂製の水圧管路を利用して、中国地方に残っている未利用の水力エネルギーを生かせる余地は大いにある。

日本全体では2014年度に発電した電力量のうち、水力と再生可能エネルギーを合わせて12%を超えた。これに比べると中国電力の取り組みは遅れている。同じ2014年度の実績で水力は6%、再生可能エネルギーは3%にとどまり、合わせても10%に届いていない(図6)。

geihoku5_sj.jpg図6 中国電力の電源構成(他社からの受電分を含む)。出典:中国電力

一方で燃料費の安い石炭火力の比率が56%にのぼる。このような電源構成によって電気料金の水準を安く維持できる半面、CO2(二酸化炭素)の排出係数は石油火力が多い沖縄電力に次いで2番目に高い(図7)。

geihoku10_sj.jpg図7 電力会社のCO2排出係数(2014年度)。単位:t-CO2/kWh(CO2換算トン/キロワット時)。「調整後」の排出係数は再生可能エネルギーの買取量などを反映。出典:環境省

電力会社には地球温暖化対策の一環でCO2排出係数の低減が求められている。中国電力は石炭火力と石油火力の比率を引き下げながら、水力を含めて再生可能エネルギーを拡大する必要がある。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1604/07/news035.html

2013/10/31

小水力発電 価格買取制度移行へ 発電機など更新 JA広島北部、庄原 【日本農業新聞:2013/10/27】

 広島県のJA広島北部、JA庄原は、運営する小水力発電所を再生可能エネルギー固定価格買取制度の対象に移行させる方向で準備に入った。発電機本体や水圧鉄管などの更新が認可の条件。多大な費用が掛かるが、現行の4倍近い売電価格が20年間保証されるため「採算は合う」とみる。

http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=24170

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