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2016/12/07

全国の農業用水路が「発電所」に!?ミニ水力発電って何だ【産経ニュース】

2016年12月7日掲載
 巨大なダムから膨大な量の水を落として発電する-。「水力発電」と聞けば、多くの人がそうしたイメージを抱くだろう。それを覆す画期的な発電装置が登場した。公共インフラの調査・設計業務などを手がける協和コンサルタンツが産学協同で開発した「相反転方式落差型小水力発電装置」だ。最大の特徴は、水流の落差わずか1メートルでも発電できるという簡便性。担当者は「全国の農業用水路などに設置を広げ、電力の地産地消を軸にした地域活性化に貢献できれば」と期待を込める。

  強固な基礎工事は不要

 「以前から検討していたが、東日本大震災を受けてプロジェクトが本格化した」と振り返るのは、同社新規事業推進室の桑野和雄氏。2011年夏に流体機械が専門の金元敏明・九州工業大教授(当時、現佐賀大海洋エネルギー研究センター特任教授)と共同で試作機を完成させた。静岡県富士宮市などで試験を行い、今年10月に販売を始めた。
 一般的な小水力発電の場合、水流の落差は最低でも1.5メートルは必要とされる。しかし新開発の装置は1メートルで、必要な水の流量も毎秒0.15~0.2立方メートルで済む。これは、幅1.7メートルの水路を高さ十数センチの板でせき止めれば確保できる流量という。発電出力は、家庭1軒分の消費量に相当する450~600ワット時に上る。
 それを可能にするのが「相反転方式」のプロペラだ。従来の発電機は、導線を巻いたコイルの中で、プロペラと接続した磁石を回転させる仕組みだった。これに対して、相反転方式は、コイル(外ロータ)と磁石(内ロータ)を逆方向に回転させる。それぞれにプロベラをつけて、効率的に電気を起こせるというわけだ。
 利点は他にもある。2枚のプロペラが相反する方向に回転することで、それぞれの回転トルクを相殺するため、振動が小さく、装置の設置場所にコンクリート打設などの大がかりな基礎工事が必要ない。装置本体の重量も約200キロと軽いため、人力でも数時間あれば設置が可能。大雨の前などに取り外すのも容易だ。
 なお、費用は「設置する場所の年間を通じた流量・水位調査なども必要となるが、装置価格だけなら350万円前後」(桑野氏)という。

  未開拓の市場、幅広い用途

 「日本各地に流れる農業用水路の総延長は実に40万キロ。設置できる場所は数万カ所に上るだろう」
 協和コンサルタンツ新規事業推進室の左村公氏は市場の有望性をそう語る。左村氏は全国を飛び回り、装置のPRや、発電を活用した地域活動をサポートしている。
 その一例として、同社は今年3月に栃木県日光市や県立今市工業高などと産学官連携協定を締結した。希少な水生植物を保全する一環として、起こした電力を水温センサーに用いるなど、高校生の発想を生かした「地産地消型水力発電」の取り組みを進めている。
 また三重県多気町では、地域住民の協議会が江戸末期に築かれた農業用の「立梅用水」で同社の小水力発電装置を活用し始めた。超小型電気自動車を2台導入し、獣害対策などの地域パトロールに活用している。
 同社はまた、国内だけでなく海外展開も視野に入れている。発展途上国のエネルギー支援はもちろん、環境意識が高い欧州各国でのニーズも期待できそうだ。
 「単なる売電ではなく、地域活性化のツールとして役立ててほしい。その手助けができれば」と、佐村氏は期待を込める。(山沢義徳)

http://www.sankei.com/premium/news/161207/prm1612070003-n2.html

2016/11/28

協和コンサルタンツ 相反転方式落差型小水力発電装置【SankeiBiz】

2016年11月28日掲載

  落差1メートル 水路から手軽に電気
  強固な基礎工事不要

 巨大なダムから膨大な量の水を落として発電する-。「水力発電」と聞けば、多くの人がそうしたイメージを抱くだろう。それを覆す画期的な発電装置が登場した。公共インフラの調査・設計業務などを手掛ける協和コンサルタンツが産学協同で開発した「相反転方式落差型小水力発電装置」だ。最大の特徴は、水流の落差わずか1メートルでも発電できるという簡便性。担当者は「全国の農業用水路などに設置を広げ、電力の地産地消を軸にした地域活性化に貢献できれば」と期待を込める。
 「以前から検討していたが、東日本大震災を受けてプロジェクトが本格化した」と振り返るのは、同社新規事業推進室の桑野和雄氏。2011年夏に流体機械が専門の金元敏明・九州工業大教授(当時、現佐賀大海洋エネルギー研究センター特任教授)と共同で試作機を完成させた。静岡県富士宮市などで試験を行い、今年10月に販売を始めた。
 一般的な小水力発電の場合、水流の落差は最低でも1.5メートルは必要とされる。しかし新開発の装置は1メートルで、必要な水の流量も毎秒0.15~0.2立方メートルで済む。これは、幅1.7メートルの水路を高さ十数センチの板でせき止めれば確保できる流量という。発電出力は、家庭1軒分の消費量に相当する450~600ワット時に上る。
 それを可能にするのが「相反転方式」のプロペラだ。従来の発電機は、導線を巻いたコイルの中で、プロペラと接続した磁石を回転させる仕組みだった。これに対して、相反転方式はコイル(外ロータ)と磁石(内ロータ)を逆方向に回転させる。それぞれにプロペラをつけて、効率的に電気を起こせるというわけだ。
 利点は他にもある。2枚のプロペラが相反する方向に回転することで、それぞれの回転トルクを相殺するため、振動が小さく、装置の設置場所にコンクリート打設などの大がかりな基礎工事が必要ない。装置本体の重量も約200キロと軽いため、人力でも数時間あれば設置が可能。大雨の前などに取り外すのも容易だ。
 なお、費用は「設置する場所の年間を通じた流量・水位調査なども必要となるが、装置価格だけなら350万円前後」(桑野氏)という。

  未開拓市場、幅広い用途

 「日本各地に流れる農業用水路の総延長は実に40万キロ。設置できる場所は数万カ所に上るだろう」
 協和コンサルタンツ新規事業推進室の左村公氏は市場の有望性をそう語る。左村氏は全国を飛び回り、装置のPRや、発電を活用した地域活動をサポートしている。その一例として、同社は今年3月に栃木県日光市や県立今市工業高などと産学官連携協定を締結した。希少な水生植物を保全する一環として、起こした電力を水温センサーに用いるなど、高校生の発想を生かした「地産地消型水力発電」の取り組みを進めている。
 また三重県多気町では、地域住民の協議会が江戸末期に築かれた農業用の「立梅用水」で同社の小水力発電装置を活用し始めた。超小型電気自動車を2台導入し、獣害対策などの地域パトロールに活用している。
 同社はまた、国内だけでなく海外展開も視野に入れている。発展途上国のエネルギー支援はもちろん、環境意識が高い欧州各国でのニーズも期待できそうだ。
 「単なる売電ではなく、地域活性化のツールとして役立ててほしい。その手助けができれば」と、左村氏は期待を込める。(山沢義徳)

http://www.sankeibiz.jp/business/news/161128/bsc1611280500003-n1.htm

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