2016/07/10
2016年7月10日掲載
高齢化が進み、集落人口も100人弱まで減っている古座川町平井で、和歌山大の学生ら約20人が農作業などに取り組んだ。農村技術を学ぶ実習で、国有形文化財の北海道大和歌山研究林本館を拠点に毎年実施している。学生たちは「生き残ろうと必死に工夫している集落の努力を感じた。驚くことがたくさんあった」と口々に話した。【稲生陽】
町や岩本功区長(72)によると、集落の人口は現在93人で8割を65歳以上の高齢者が占め、平均年齢は72・3歳。高齢化率は、県内30市町村で最も高い古座川町内でも特に高い。だが、約50年前から栽培するユズや山中で採る蜂蜜を使った特産品作りのほか、自前で小水力発電や道路整備にも取り組んでいる。
2、3両日にあった実習は、和歌山大産学連携・研究支援センターの湯崎真梨子教授の授業の一環。参加した2、3年生たちは、前区長の農業、松林秀起さん(74)が山中に無数に設置された養蜂用の巣箱「ゴーラ」から蜂蜜を採ってみせると、驚いた表情で見入っていた。
経済学部3年の本田昌也さん(20)は「道や橋だけでなく、電気まで作っていることに驚いた。集落を絶やさない、という強い思いを感じた」。システム工学部3年の堀内泰貴さん(20)は「この授業がなければ、農村がこれほど工夫していることを知らないままだった。来て良かった」と話していた。