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2013/10/01

プールで小水力発電 ろ過装置に水車【中日新聞:2013/09/30】

ろ過装置に組み入れた発電システムについて説明する「ショウエイ」の山岸祐太さん=川崎市で 小さな河川や農業用水路で導入が広がる「小水力発電」が、都市部のスポーツクラブでも始まっている。プールとろ過装置を循環する水の流れに着目した珍しい取り組みを取材した。
川崎市のJR新川崎駅近くの商業ビル四、五階にあるスポーツクラブ「NAS新川崎」。一日平均千五百人がジムやプールを利用する。
昨年、五階にある二十五メートルプールと、三階のろ過装置との間を循環する水の流れを活用した小水力発電が始まった。発電システムを開発した同市のろ過装置メーカー「ショウエイ」開発部の山岸祐太さんに、システムを案内してもらった。
クリニックなどが並ぶ三階の、一般客が立ち入らない機械室へ。奥に高さ二メートルほどのろ過装置があり、そこから樹脂製の配管が伸びている。
「この中に小さな水車が三つ入っています」と山岸さんが指さした先には、丸形の機械が三つ並んでいた。発電装置の駆動部だ。プールから送られてき た水の勢いで水車が回り、水車と連結したモーターも回って電力が作られる。出力は約四百五十ワット。水を循環させるポンプを動かす電力の一部を賄ってい る。
ショウエイが発電システムの開発に着手したのは二年半前。「ろ過装置メーカーとして、水流のエネルギーを有効活用できないか、との思いがあった」と山岸さん。発電装置の本体価格は約三百万円。既存のろ過装置に組み込むので、省スペースでの発電が可能だ。

地元川崎市が二〇一一年度から、省エネや創エネの新技術に助成する事業「かわさき環境ショーウィンドウ」を始めたことも開発を後押し。ろ過装置を納入していたNAS新川崎と共同でアイデアを応募し、一二年度のモデル事業に選ばれた。

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 NAS新川崎の受付のテレビ画面には、その時々の発電量が表示され、創エネの「見える化」にも工夫している。(現在はモニター点検中。十月から通 常画面になる)。田口雄一支配人は「プールは国の水質基準を満たすため、必ずろ過が要る。自家発電で創エネできれば、環境に配慮しながらコストダウンも見 込める」と話す。
現在は横浜や長崎などのNAS三店舗でも同様のシステムを採用。発電量は施設によってばらつきがあるが、おおむねポンプが消費する電力の一割を見込んでいる。
モデル事業に選定した川崎市の担当者は「プールのろ過施設に発電装置を組み込んだアイデアは独創的。広く普及してほしい」と期待する。
全国小水力利用推進協議会理事の小林久・茨城大教授(地域資源計画学)も「高層ビル内の循環水を利用した発電は国内でも例があるが、プールでの発電は珍しい。無駄に捨てられていたエネルギーを回収しており、省エネ、創エネの観点から意義深い」と評価する。
(宮本直子)

【補足】
元水力発電メーカー勤務の機械屋さんが、補足情報を公開してくれていましたので、転載いたします。
「ショウエイさんに直接お電話して、発電システムの詳細をお伺いしました。ろ過装置はオーバーフロータンクに落としている系統と、密閉された系統が別々にあり、オーバーフロータンクに落としている系統はプールからの自由落下で発電しているそうです。密閉している方は、従来は適正流量にするためにバルブで絞って損失していたものを、発電機をバルブ(抵抗)の代わりにしてエネルギーを取り出すのと、インバーターでポンプを減速した際に正圧になってしまうので、そのエネルギーを取り出しているそうです」(10/3 16時補足 転載元:http://togetter.com/li/570809

http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2013093002000005.html

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