ニュース記事の詳細です。

2016/10/23

高知市土佐山で県内初、住民出資の小水力発電を計画【高知新聞】

2016年10月23日掲載
  2012年から検討が進んでいた高知市土佐山地域の小水力発電が具体化する見通しとなった。高川地区(高橋幹博区長)の住民が出資者となり、地区内の谷川の流れを利用して70~80世帯の年間使用電力にあたる28万キロワット時を発電、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に基づき売電する。当初構想の事業規模を3分の1以下に縮小し、総事業費約8400万円で整備を進める。千キロワット以下の小水力発電は高知県内にも既存施設があるが、住民による出資・運営は前例がなく、実現すれば全国でも先駆的な民間発電所となる。
 高川地区は50世帯ほどが暮らしている。高齢化が進み地域の運営が難しくなることを見越し、集落の活動に必要な資金を売電で確保する狙いという。
 高川川支流の標高494メートル地点から取水し、内径25センチほどのポリエチレン管で約90メートル下に流して水車を回す。全量を電力会社に売電し年間収入は約930万円を見込む。
 発電所の建設費は、地区で請け負った道路清掃の収入などをためた地区費や金融機関の融資金などでまかなう予定。建設、運営のため、地区と住民有志、須崎市出身のフォトジャーナリスト、古谷桂信さんが代表を務める「地域小水力発電株式会社」(香美市土佐山田町)が出資して新会社を設立する。
 計画では、売電収入のうち毎年48万円が地区に入り、落ち葉の除去など水源地の管理や補修を担う住民には報酬を払う仕組みだ。
 事業の発端は東京電力福島第1原発の事故。高知県内の研究者らが「高知小水力利用推進協議会」を発足させ、高川地区に提案した。
 当時は最大で設備投資3億円、発電出力180キロワット前後の規模を想定していたが、住民側は資本金の負担や災害などで施設が被害を受けた際などの責任問題などを懸念。将来にわたって重荷にならないよう再検討し、発電出力49・9キロワットの規模であらためて作成した事業計画を10月16日の地区の臨時総会で承認した。
 高橋区長は「2、3年のうちに稼働にこぎ着けたい」と話しており、地区役員らの準備委員会が出資額の決定や行政の許認可手続きなどを進める。
 高知市新エネルギー推進課によると、取水する谷川は法律に定めのない水路(青線)で高知市が管理している。
 新エネルギー推進課の岩村里香課長は「地区の取り組みを後押しするスタンスだ。住民の意向を確かめながら青線を使用する許可などを検討していく」としている。
 高知県によると県内には11カ所の小水力発電所がある。いずれも四国電力や大手企業か、第三セクターを含む公営の施設。集落の機能維持を担うための地域住民による設置は例がないという。

http://www.kochinews.co.jp/article/57357/

タグ:

お問い合わせ
候補地点についてのご相談や、「小水力」に関するお問い合わせ、 当サイトへのご連絡は、こちらより承ります。
お問い合わせはこちら