ニュース記事の詳細です。

2015/08/01

荻野発電所が稼働 照井土改区 らせん水車 東北初【岩手日日新聞】

荻野発電所で開放型らせん水車(中央)が稼働。右側の用水路をせき止めて、水をらせん水車に流入させ発電する=一関市赤荻

照井土地改良区(阿部克郎理事長)が一関市赤荻字荻野地内に整備してきた小水力発電の荻野発電所が完成し、31日稼働を開始した。らせん水車を使った発電は国内3例目で、東北では初。落差が小さい農業用水路を活用した取り組みで、同土改区は将来的に広げたい考えだ。

 同土改区は2010年、同市赤荻字雲南の農業用水路に小水力発電所の照井発電所を開 設。最大落差6・88メートルの急流を利用した小水力発電は、採算性ある先進事例として定着している。一方、荻野発電所は赤荻幹線用水路で最大落差1・9 メートルと小さく使用水量も毎秒0・99トンと少ないが、ドイツ製らせん水車の活用で最大13・5キロワット(常時8キロワット)の発電効果がある。

らせん水車は開放型で、水の重さを活用して回し発電する仕組み。▽プロペラ羽根の間隔が広くごみの付着が少なく、発電出力が下がりにくい▽流量変 動に対し効率的に発電▽騒音が少ない-などのメリットがある。年間で一般家庭の23軒分の発電量に相当し、二酸化炭素40トンの削減効果があるという。

事業費6800万円のうち国50%、県と同土改区が25%ずつ負担。東北電力に売電し、年間収益は約300万円が見込まれる。同土改区では8~10年で採算が取れるとみている。

赤荻小学校南側の現地で行われた発電開始式には同土改区関係者や県、施工業者、地元住民ら約40人が出席。阿部理事長らが玉串をささげ、発電所の無事稼働を祈った。

阿部理事長は「原発が否定されつつある中、小水力発電の価値は大変なもの。地域の宝を活用し、農家の希望につなげたい」とあいさつ。その後、水路のゲートをせき止め、水をらせん水車に流入させ稼働を開始した。

同土改区で現在、稼働している小水力発電はこれで2カ所目。農業用水を使う団体として地球温暖化抑止と、厳しい農業情勢下での組合員の賦課金軽減が主な目的。同土改区管内では同様に落差の小さい用水路で適地も多く、厳美町でも今年度調査に入る予定。

http://www.iwanichi.co.jp/ichinoseki/4126.html

お問い合わせ
候補地点についてのご相談や、「小水力」に関するお問い合わせ、 当サイトへのご連絡は、こちらより承ります。
お問い合わせはこちら